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魔王との決戦 ③

 まったく、このバカ共に何かを教えるってのも大変な作業だな。時間は召喚直後。僕はみんなと同様、事態を把握しようとキョロキョロしているチャラチャラ夫(以下CCO)に声を掛けた。


「おい、CCO」

「あ? なんだよ」


 まるで僕に声を掛けられたことそれ自体が気に喰わないといった様子のCCOの顔面目掛けて、思い切りグーを振り切った。拳が相手の歯に少し掛かったのか、刺々しい痛みが拳に走る。不意打ちに対しよろめくCCO。いまのでダウンさせられないなら、僕の拳は喧嘩には使えないなと思いつつも、無防備なCCOの腹目掛けて今度は蹴りを入れてやった。さすがに今度は倒れてくれた。


 疲れなどではなく、極度の緊張感に心臓が悲鳴を上げていた。一瞬、自分が何をしているのか分からなくなる。周りは僕の行動に驚いていた。


 CCOが起き上がった。目をギラギラと光らせて、何も言わずに僕の方に突進してくる。本来ならここで ≪リセット≫ を使うつもりだったんだが、できなかった。CCOの怒りに燃えた目を見て、試してみたくなったんだ。ふだん僕のことを小バカにしているCCOが一体どれ程のものなのかってのをな。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「ステータスオープン」


【氏名】GLO

【性別】男

【年齢】15歳

【職業】博徒

【レベル】3

【HP】7/18

【MP】5/8

【力】10

【体力】8

【素早さ】8

【賢さ】9


【特技】≪リセット≫ ≪セーブ≫


◆リセット 5

◆セーブ 0


 CCOはたいしたヤツじゃなかった。僕も自分のことをたいしたことのないヤツだとは思ってるが、そのたいしたことのないヤツがたいしたことのないヤツだと思うんだ。CCOも結構たいしたことのないヤツなのさ。ちなみにさっきの喧嘩では僕が勝った。先制の2打点が入っていたことに加え、僕は ≪リセット≫ 在りきで殴ったり蹴ったりしたからな。相手のその後を気遣う必要がなかったから、一切容赦しなかった。一方、CCOも人の子だから、まさか僕を殺すつもりで挑んできたわけではなかっただろう。だから、そもそも上がっていた土俵が違っていたのかもしれないがな。


≪リセット≫ 後もHPは減ったままだった。CCOに殴られた怪我や痛みも引き継いでいた。周りは召喚直後の時点から再スタートを切っている。


 ん? レベルが3に上がっているな。どうやら身内との戦闘でも経験値が入るらしい。レベルは上がるが、HPとMPは据え置きか。これは少々きついな。そうだ、とりあえず ≪セーブ≫ してみるか。それから・・・・・・。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「ステータスオープン」


≪セーブ≫ 後に ≪リセット≫ して、改めてステータスを確認してみたが、やはりレベルは3になっていた。よし、上手くゆけばここで魔王を倒すのも夢じゃないかもしれないぞ。そしたら、レべリングといきますか。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

(中略)

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「ステータスオープン」


【氏名】GLO

【性別】男

【年齢】15歳

【職業】博徒

【レベル】20

【HP】1/138

【MP】2/65

【力】48

【体力】36

【素早さ】24

【賢さ】13


【特技】≪リセット≫ ≪セーブ≫ ≪カード≫ ≪ダイス≫ ≪交換≫ ≪とんずら≫ ≪ポーカーフェイス≫


◆リセット 46

◆セーブ 41


 ふう、やれやれだぜ。≪セーブ≫ っと。みんなありがとう。こんな僕の特訓に付き合ってくれて、本当にみんなには感謝してる。だが、何度も同級生達との特訓と ≪リセット≫ を繰り返してレベル20に到達したものの、どうやら僕はここまでのようだ。さっきの特訓中にDCOのラッキーパンチを貰ってHPが1になってしまったからな。女子に肩を叩かれただけでHP1削れる可能性もあるし、これ以上はなにもできない。HP0になったらどうなるんだ? 死ぬのか、それともただ気絶するだけなのか・・・・・・いずれにせよ、詰んだってヤツだ。もう迂闊に動けない。HP回復アイテムやMP回復アイテムがあれば助かるんだが。


 召喚直後、みんなが状況を掴めていない中、僕はキキとパルムに尋ねる。


「ちょっと聞きたいんだが、HP回復アイテムとMP回復アイテムはないのか?」

「あるにはあるけど、屋敷に行かなきゃ、ここにはないよ」

「回復魔法は?」

「使えない」


 パルムの答えを聞いて、キキの方を見ると彼女も小さく首を振る。


「勇者様、大丈夫?」


 心配そうに眉をひそめるパルム。本来ならこの少女に大丈夫だと言って笑顔を向けたいところだが、そうもいかない。せっかく異世界に召喚されたってのに、召喚から10数秒でもう泣き言かよ。冒険もしてないし宿屋にも泊まっていないし女の子の仲間ともイチャイチャしてないし。ていうかむしろ女の子の仲間がいないし、いや、女の子の仲間がいないんじゃなくてむしろ仲間がいないし。イベントみたいなことも1つもなくて開幕魔王と決戦だし、しかも決戦前にHP1になってるしって、現実はこうも厳しいものなのか。


 とりあえずまずはみんなと情報を共有だな。


「みんな、ちょっといいッスか!?」


 先程と少し口調を変えてみる。聞く耳を持ってくれなければ始まらないし、いちいち問答する時間も惜しい。


「あ? よくねーよ」

「なにをってオレ達がいいと答えると思ったのか説明してみろよ」

「なんだよてめえしゃしゃり出てきてんじゃねえよバカ」

「そうよGLOは引っ込んでなよ」

「・・・・・・」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 やり直し。


 口調の問題じゃない。人の問題だ。僕じゃダメなんだな。せっかくみんなに感謝の念を抱きつつあったってのに、これじゃ誰のことも好きになれそうもない。残念だ。


 ふむ、そうだな。ここはDCOに代弁してもらうか。特訓の中でDCOが人格者であることは分かったし、あいつ以上に良いヤツなんてこのクラスにはいないからな。体躯が大きな分、包容力もあるんだろう。


「DCO、ちょっといいか?」

「ん? なんだ?」

「実はちょっと頼まれてほしいことがあってな」

「とりあえず聞くよ。聞きはするけど、内容次第じゃ断るぜぇ?」

「ああ、それでいいよ」


 僕がDCOにこれまでの経緯を話していたときだった。


「なんだてめえまた知ったかしてんのかぁ?」


 という女子の声が背後から聴こえたかと思うと同時に、首根っこを掴まれたのか、首の付け根にきゅうっと圧迫された感じと気持ち良さ、くすぐったさを感じて、目の前が真っ暗になった。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼




≪リセット≫ を使ってみた。大慌てで視線を巡らせるといた!


 GLO!

 立ってるじゃん!

 動いてるじゃん!

 一時はどうなることかと思ったじゃん!

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