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一転攻勢 ③

いつもより短め。


1日1話は更新しようと思います!

 魔王と対峙するラーメンライダーと体育着姿の子供。その周辺にもう魔物の姿はない。


「なあ、あの子供なんだけどもしかして召喚されて来たのか?」

「そうだよ。名前はウルトラにゃんって言うらしいの」

「ええ、ウルトラにゃんはM123銀河に端を発する一族の末裔で、日々宇宙怪獣と戦っている正義の味方なんです」

「見た目は子供なのにずいぶん強いんだな」

「そりゃあ、正義の味方ですからね!」

「そう」


 新たな正義の味方の登場により魔物の群れはいなくなり、残すは魔王1人。さらに外見から察するに魔王はかなりの傷を負っており、しかも新たな魔物を呼ぶ素振りもないとあって、明らかに魔王は疲弊しているのだと分かる。


 魔王を叩くならいまがチャンス!


 戦線に復帰すると同時に隙だらけの魔王に向かってドロップキックをお見舞いするべく跳ぼうとしたそのときだった。


 オレの大きなおなかに何かが引っ掛かったような感覚があり、跳躍に失敗したオレはそのままずっこけてしまった。あの感覚は間違いない。何者かがオレのトランクスを引っ張りやがったんだ!


「にゃにゃにゃ(いま魔王は第2形態に変身中なんだ)」


 後ろから聴こえる声に振り返れば、真剣な表情でオレを真っすぐに見詰めるウルトラにゃんがいたんだが、驚いたことにウルトラにゃんの右手がオレのトランクスのゴムを掴んでいた。


「おい、てめえ何しやがるんだ!? 危ねえじゃねえか!」


 当然、オレはウルトラにゃんを怒った。転び方やトランクスのずれ方次第じゃ色々な意味で大怪我を負う可能性があったしな。


「まあ、待て。確かにウルトラにゃんのいまのやり方は誉められた行為じゃないが、ああでもしなけりゃお前さん魔王を攻撃してたろ?」

「したら悪いかよ」

「にゃ~ん(だからいま魔王は第2形態に変身中なんだってば)」

「そういやそんなこと言ってたな。でも、だったらそれこそ魔王の変身を阻止しないといけねえだろ?」

「いや、それは違うぞ。オレ達正義の味方はな、待つんだよ」

「にゃんにゃん(そうそう)」

「待つたぁどういうことだよ?」

「魔王が第2形態になってからが勝負ってことだよ」

「にゃんにゃん(そうそう)」

「ああそうかい、てめえらは勝手に待ってろよ。オレはやるぜ!」


 そう吐き捨ててオレは魔王へ向かって走り出す。せっかく魔王を倒せるチャンスだってのに、様式美なんかにこだわってられるかってんだ!


「待て! 貴様、それでも正義の味方かぁ!」

「ああ!? オレは正義の味方じゃねえよ! ただ友達を守りたくて闘ってるだけさ!」

「にゃあ(キュンキュン)」


 師匠、いまこそ聖拳の真髄、ご覧に入れます。


 師匠、病床に伏した身体に鞭打ってオレに聖拳を伝授してくれた師匠。


 魔王の君臨する世界で、魔王に唯一怖れられた聖拳・・・・・その伝承者を抹消せんと魔王軍が攻め込んで来たとき、命を賭してオレを庇ってくれた師匠。


 いまとなってはそんな師匠もご存命でありましょうが、いまここで、前倒しの復讐を遂行します!


 いまとなっては赤の他人に過ぎませんが、見ていてください!


 師匠!


「我が肉体も精神も常に希望の女神と共にあらん!」


「震えるぞソウル!」


「闇に咲く希望ホープ!」


「奥義 ≪水鏡みかがみ≫」


 奥義は魔王の胸部にクリーンヒット。聖なる力が魔王の身体を蝕んでゆく手応えを確かに感じた。


「ごぼぉ・・・・・・おろろ」


 魔王にもこの奥義が堪えたらしく、床にどす黒い血を吐き出した。


「やったか!?」

「にゃにゃん(倒しちゃった!?)」


 後方の2人が不吉なことを言う。わざわざやっていないフラグを立ててくれなくってもいいのに。

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