聖徒会 第二章
え~、前回の投稿する際、間違えて短編小説と設定してしまい、こんがらがってしまいましたw
何とかできないかな……?
学園ファンタジーでいいのかな?
聖徒会の第二章です。
聖徒会に所属することになった蓮。
さて、どうなることやら
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「ようこそ、聖徒会へ。」
爽やかな笑顔で会長である神山仁 (かみやまじん)は握手を差し出してきた。
「僕が聖徒会会長の神山仁だ。
一緒に頑張ろう。」
「ど、どうも……。」
いきなり爽やかな対応をされたため、少し困惑しつつも蓮は握手に応じた。
さて、と、仁は話を続ける。
「女神君から話は聞いたと思う。
この学園は魔物と呼ばれる邪悪な存在に狙われている。
そこで、この学園と生徒を守る為にこの聖徒会は設立されたって訳さ。」
そこで蓮は疑問をぶつける。
「あの、会長?」
「別に仁で構わないさ、それで何だい?」
微笑みながら仁は言う。
「どうしてこの学園だけがその魔物に狙われているんですか?」
すると仁は
「この学園は聖地と言われる場所に建てられているんだ。
その聖地には実は強大なエネルギーが眠っている。
魔物達の狙いはそれさ。
もし、そのエネルギーが魔物達の手に渡ったら、この学園どころか、世界が滅亡してしまう。」
「そんな!?」
突然、告げられた事実に驚きを隠せない蓮。
「今、話した事は全て事実さ。
もちろん、簡単にそのエネルギーを奴らの手に渡すつもりはない。
その為にも、君の力が必要なんだ。
手を貸してくれるかい?」
あまりにも突然すぎて、蓮はどうしたらいいのか分からなくなっていた。
すると、
「驚くのも無理はありません。
ですが、私達は世界を、人々を守りたいのです。
力を貸していただけますか?」
と、数日前に退院した希が蓮に言った。
そこで蓮は初めて希と出会った時の事を思い出す。
希はこんな自分に優しくしてくれた。
生きてる価値なんてないと思っていた自分を救ってくれた。
そして自分は決めた。
希達と学園を守ると。
蓮はゆっくり頷き、
「分かった。
俺にも守れる力があるなら……、救って見せる。」
すると、仁は
「ありがとう。君が入ってくれれば、とても心強いよ。」
と、希も嬉しそうに微笑んだ。
その笑みに蓮は顔を赤める。
その時、聖徒会室のドアが開き、一人の男子が入ってきた。
以前、蓮と仁と一緒に魔物と戦った生徒である。
「やあ、氷神君。」
「こんにちは、氷神さん。」
二人の挨拶に対し、氷神と言う男子は何一つ、答えなかった。
「そうだ、神島君。
紹介しよう、聖徒会メンバーの氷神敬介君だ。」
そう言うと、蓮は敬介の方を見た。
いかにも、無口でクール、そんな感じの男子だった。
でも、女子にはモテそうだな……。と蓮は勝手に想像していた。
すると、仁は
「氷神君、こちらは聖徒会の新メンバーの神島 蓮君だ。」
「よ、よろしく。」
蓮は一応、手を差し出した。
しかし、敬介は蓮を睨み付けただけで、握手を拒否した。
そのまま、敬介は去ってしまう。
「……え?」
予想もしない反応に蓮はその場に立ち尽くすだけだった。
「すまない、氷神君はあまり人と接するのが好きじゃなくてね。
まあ、悪気はないんだ。」
笑いながら仁は言った。
しかし、蓮は複雑な気分だった。
「さて、早速だけど、神島君は氷神君とタッグを組んで、行動してもらう。
構わないね?」
「はあ……、て、ええ!?」
すると、それを聞いていた敬介も思わず、仁の方を振り返る。
「ど、どうして……?いくら何でも、いきなりすぎますっ!」
困惑する蓮に対し、仁は続ける。
「どうしてって、神島君と氷神君を仲良くさせる為さ。
それ以外に何があるんだい?」
「だからって……。」
更に仁は
「とにかく、何事もやってみなきゃ進まないさ。
頼んだよ、二人とも。」
蓮は敬介の方を見た。
敬介も蓮を見た。
見るというよりはもはや、睨み付けている。
そして
「……ちっ。」
軽く舌打ちをし、その場を去って行った。
どうしたらいいのかわからない蓮はすがる思いで希を見た。
希は相変わらず微笑みながら、蓮に対して頷いた。
蓮はただ、うなだれるだけだった。
その後、新たな魔物が出現したとの情報が入り、仁は早速、蓮と敬介を調査に向かわせた。
「二人とも、くれぐれも用心してくれ。」
「ここか……、魔物が出た場所は。」
蓮と敬介は学園からすぐ近くにある山へと来ていた。
ここで巨大な蜘蛛の姿をした魔物が出たと聞いている。
「見る限り、異常はないけどな……。」
そんな蓮をよそに敬介は足を進める。
「あ、おい待てよ。」
敬介を追いかける蓮。
すると、敬介はピタリと足を止めた。
そして蓮の方を振り向き、
「お前がどれ程の能力を持っているのかは知らないが、くれぐれも俺の邪魔だけはするな。」
「……は?」
いきなりの発言に蓮は訳が分からなかった。
「とにかく、足手まといにはなるなよ。」
それだけ言うと、敬介は再び足を進めた。
「な、何だよ、いきなり足手まといって!
偉そうにっ!」
敬介に突っかかる蓮。
その時である。
付近から何やら奇妙な音がした。
「何だ……?」
次の瞬間、
「来るぞっ!」
巨大な蜘蛛の魔物が二人の目の前に飛び出してきた。
「!!こいつが例の魔物か!」
巨大蜘蛛は二人を見つけるなり、口から紫色の液体を吐き出した。
素早くかわす二人。
その紫色の液体は樹に付着し、その樹を溶かした。
「こいつはやばそうだな……!」
すると敬介は
「何度も言うが、足手まといにはなるなよ。」
そう言い、巨大蜘蛛に向かっていった。
「またそれかよ……、偉そうにっ!」
そう言いながら蓮はポケットから赤い石を取り出した。
その石を強く握りしめる。
すると、赤い炎が蓮の身体を包み込む。
そして、蓮は炎の剣士へと姿を変えた。
「はああっ!!」
敬介と同じように蓮は巨大蜘蛛へと向かっていった。
しかし、蜘蛛は素早い動きで二人を翻弄する。
そして、紫色の液体で攻撃を仕掛けてくる。
「はあはあ……、これは厳しいな……!」
息が荒くなる蓮。
そして蜘蛛が再び、蓮に襲い掛かる。
剣を構え、立ち向かう蓮。
しかし、次の瞬間、蜘蛛は一瞬にして氷漬けにされた。
見ると、敬介が右腕から氷の波動を発していた。
その氷の波動で蜘蛛を氷漬けにしたのだ。
「ふう……、助かったよ。」
敬介にお礼を言う蓮。
しかし、それに対し、敬介は
「無様だな、何だあの戦い方は。」
と、一言。
「は?」
いきなりの言葉に戸惑う蓮。
「戦い方が全くなっていないって、言ったのが分からないのか?」
そして、
「邪魔だ、さっさと帰れ。」
それだけ言うと敬介はその場を去ろうとした。
「な、何なんだよ、さっきから!」
と、そのまま二人はもみ合いになった。
「大体な、俺は元からお前の事が気に喰わないんだ。」
「だから、俺のどこが気に喰わないんだよ!?」
そのため、氷漬けから解放された蜘蛛が襲い掛かってきた時には遅かった。
「危ないっ!」
瞬時に蓮を敬介が庇う。
蜘蛛の攻撃を食らい、吹き飛ばされる敬介。
「氷神っ!?」
そのまま蜘蛛は蓮に攻撃を仕掛けようとする。
しかし、一足先に蓮は火炎弾を放った。
放たれた火炎弾は蜘蛛に直撃した。
苦しむ巨大蜘蛛。
そのまま巨大蜘蛛は蓮たちを後にして、森の中へと逃げて行った。
「氷神っ!しっかりしろっ!」
元の姿に戻った蓮はすぐさま、敬介の元へ駆け寄った。
「うっ……!」
敬介は苦しそうだった。
蓮は敬介に肩を貸し、何とか学校の保健室まで敬介を運んだ。
「幸い、重症ではなさそうだね。」
保健室のベッドで横たわる敬介をよそに仁は呟いた。
それを聞きながら希は毛布を掛け直す。
ただ一人、蓮は自分を責めていた。
もっと自分がちゃんとしていれば……!
苦い顔をする蓮に対し、仁は
「そんなに自分を責めては駄目だ。
神島君。」
と、蓮を慰めた。
同じく、希も
「そうです……。
あまり思い詰めないでください。」
蓮を慰めた。
その時、敬介が目を覚ました。
「ここは……?」
と、辺りを見回す。
「保健室だよ。
目が覚めたんだね、氷神君。」
「ご無事で良かったです!」
と、希と仁は安堵の息を漏らす。
「氷神……。」
蓮は敬介を見た。
顔色はさっきよりも良さそうだった。
「どうした、そんな暗い顔をして。」
蓮は顔をまた俯けてしまう。
それを見た仁は、
「二人とも、今日はもう帰った方がいい。
神島君、氷神君を家まで送ってくれるかい?」
と蓮に頼んだ。
言われた通り、蓮は敬介を家まで送って行った。
敬介は大した怪我ではないと言っていたが、念のためだ。
学校からしばらく歩いたのち、二人は家の前に着いた。
敬介がチャイムを鳴らす。
すぐに応答があり、女の子の声がする。
そしてドアが開くと、中から一人の女の子が出てきた。
女の子は敬介を見ると、すぐに爽やかな笑顔になり、
「お帰りなさい、お兄ちゃんっ!」
と、敬介を出迎えた。
それから蓮を見るなり、女の子はサッとお辞儀をした。
「だから言ってるだろ、大した怪我じゃないって。」
「駄目!いいから大人しく、横になってなさい!」
蓮が椅子に座っていると、隣の部屋からそんな会話が聞こえてきた。
しばらくして、女の子が部屋から出てきた。
「わざわざ家まで送ってもらい、ありがとうございました。」
と、妹の薫は蓮にお茶を淹れてあげた。
「い、いや……、元はと言えばさっき言った通り、俺のせいだし……。」
すると薫は首を横に振る。
「兄は神島さんの事を何一つ、責めてはいません。
気にしないでください。」
と、微笑んだ。
そこで蓮は気になっていた事を口にした。
「あの、ご両親は?」
「父と母は海外で仕事をしていて、いつも家にいないんです。
だから、兄がいつも私の世話をしてくれるんです。」
「そうなんだ……。」
はい。と、薫は続ける。
「兄はずっと私の事を守ってきてくれました。
いつもそばにいてくれたり、辛いときは励ましてくれたり……。
大切な家族なんです。」
そして薫は
「どうか兄の事を、これからもよろしくお願いします。」
と頭を下げた。
蓮は微笑みながら、深く頷いた。
翌日、人気のない校舎で蓮は一人、トレーニングをしていた。
二度と、誰かの足手まといにはならない。
そう決めていた。
と、そこへ
「相変わらずだな……。」
「氷神……!」
敬介が姿を現した。
すると敬介は蓮にスポーツドリンクを渡した。
「あ、ありがとう……。」
プルタブを開け、喉を鳴らして飲んだ。
「昨日の借りを返しただけだ。」
更に
「それにしても戦闘の基本が全然なってない
それであの蜘蛛と戦えるのか?」
「だったら、どうすれば……?」
すると敬介はおもむろにワイシャツを脱ぎ、Tシャツ姿になった。
「俺が一緒にトレーニングをしてやる。
せいぜい、着いてこいよ。」
蓮は望むところだと、言わんばかりに頷いた。
そして二人は何時間も時間をかけ、激しいトレーニングを重ねた。
するとトレーニングを重ねる内に二人の息が段々と合うようになってきた。
そして、二人の間の溝も少しずつ、埋まってきた。
「なかなかやるな。」
必死にトレーニングに着いてくる蓮に対し、敬介は言った。
「それはどうも。」
と、蓮は笑う。
「薫から、色々聞かされたようだな。」
え?と蓮は敬介の方を見る。
敬介は続ける。
「薫が言ってた通り、俺と薫は大切な家族だ。
俺は薫を守って見せる。
あんな魔物なんかに薫の未来は奪わせない。」
力強く宣言するかのように、敬介は言った。
「氷神……。」
「そのために、まずはあの巨大蜘蛛を倒さないとな。
神島、お前も協力してくれ。」
と、ここで敬介は初めて蓮の名前を呼んだ。
「勿論。」
と、蓮は頷く。
その時、蓮の携帯に連絡が入った。
見ると、会長の仁からだった。
「たった今、例の巨大蜘蛛が現れたという情報が入った。
至急、向かってくれっ!」
二人は再び、あの山にいた。
「今度は簡単にいかないぜ!」
その時、森の茂みの奥から巨大蜘蛛が姿を現した。
「行くぞ、神島っ!」
「ああっ!」
巨大蜘蛛とのリベンジ戦。
二人は今度は簡単にやられはしなかった。
瞬時に蜘蛛の攻撃をかわし、一瞬の隙を見つけては攻撃を繰り出す。
蜘蛛はみるみるダメージを負っていく。
そして、
「これで決めるぞっ!」
「ああっ!」
蓮は炎の剣を。
敬介は氷の剣を形成し、二人で一気に斬りかかった。
蜘蛛はそのまま一刀両断された。
消滅する巨大蜘蛛。
「どうやら倒したようだな……。」
「やったな、俺達……。」
その場に座り込む二人。
「だいぶ、腕が上がったようだな。」
敬介が言った。
「……敬介のおかげだよ、ありがとう。」
「敬介……?」
すると蓮は慌てて
「あ、いや、その……下の名前の方が呼びやすいなあって思ったからさ……、嫌だった?」
すると敬介は
「いや、構わない。」
そして
「今回はお前のおかげだ。
ありがとう、蓮。」
と、下の名前で蓮を呼んだ。
更に敬介は
「よかったら、また俺ん家に来ないか?
お祝いとして、夕飯でもどうだ?」
と、蓮を誘った。
蓮は一瞬、きょとんとしつつも、
「喜んで。」
と、立ち上がり、笑顔でうなずいた。
薫が作る夕飯は格別だった。
色とりどりの豪華な料理に蓮は驚く。
「お口に合えば、いいんですけど……。」
そんな薫を前に蓮は
「最高だよ。
薫ちゃん、料理が上手なんだね。」
その言葉に薫は顔を赤面させる。
「当然だ。薫の料理の腕前は一流のコックにも劣らないからな。」
もうお兄ちゃんたらと、薫はさらに照れた。
「ほら、お兄ちゃん、口にソースが付いてるよ。」
と、ナプキンで拭おうとする薫に対し、
「よ、よせ。これくらい自分で拭く。」
そんなやりとりを見ていた蓮は自然と笑顔になる。
やがて食事を食べ終えた三人。
食器を方付けようとすると、薫がささっと食器を方付けてくれた。
「本当に、立派な妹だね。」
薫が淹れてくれたお茶を味わいながら、蓮は言った。
「自慢の妹だ。」
すると食器を洗っている薫から声が聞こえた。
「お兄ちゃん、明日の準備は大丈夫なの~?」
「分かってる。
後でちゃんと準備しておく。」
「もう、いっつもそう言って忘れ物するんだから!
次、忘れたらもう届けてあげないからね!」
「うっ……!」
すると席を立ち、蓮に明日の支度をしてくると言った。
そんな二人のやり取りを見て、蓮は笑った。
第二章、ご覧いただきありがとうございました。
蓮と敬介が無事、仲を深めたようです。
お次は誰とタッグを組むのか
次回も読んでいただければ幸いです。
ではでは