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たいまぶ!  作者: 司条 圭
第3章 露草五十鈴 ~ケルベロス討伐録~
44/88

44話 お見舞いからの

挿絵(By みてみん)

「みなさん、今日はありがとでしたー!」


 千里の見送りで、退魔部全員が退室した。



 今、千里のアパートの前にいる。


 千里が来た放課後、お見舞いということで一度は訪ねようと話をしたところ、じゃあ今日にでも、と即座に決まってしまったのだった。


「みんなで歩いて行きましょうー!」

と提案した千里だったが、露草先輩の、


「バスで行きましょう。何キロ先か知らないとでも思って?」

には適わなかったようで、その後は口を噤んだ。


「大丈夫、樫木さんのバス代くらいは持ちますよ」

との言葉に、少しばかり安心したのだろう。


 ……まぁ、千里は今、少しでも節約しなければならないから、仕方ないのかもしれない。


 千里の教会は、まだ建て直しは出来そうにないようだった。


 教会からの補助金も出るようだし、火災保険もそのうちに降りてくるようだけれど、やっぱりまだ少し足りないらしい。

 まぁ、そこは千里らしく。


「大丈夫、そのうち何とかなりまーす!」


という前向きな言葉が返ってきた。




 お見舞いが終わったのが先程のこと。


 周囲はまだ明るい。

 以前に私がお邪魔した時のように、徒歩による遠征でなければ、時間にはかなり余裕が出来るようだった。


「これから帰って討伐……っていうのも何だな。今日は解散するか」


「そうね。今日くらいは羽を伸ばしましょう」


「そうか。じゃあ、これで失礼する。みんな、また明日」


「はい、いってらっしゃい」


「さも、私がどこかへ行きそうな言いぐさだな」


「あら違うの?」


「……お疲れ」


「はい、お疲れ様」


 先輩2人のやりとり。

 森川先輩は別の方向に行くのか、学校方面へ戻るためのバス停から離れていった。


「さて、私達はどうしましょうか」


 露草先輩の言葉に、京さんが大きく手を挙げる。


「あ、ごめんなさい。ボクたちは帰りますっ!」


「そうですね。ちょっと家の用事があるもので……こちらはお迎えをお願いしています」


「さすがは令嬢さんね。言うことが違うわ」


「もう、そんなこと言わないでくださいよ」


「くださいよー!」


 本当に嫌がってる愛さんと、ハイテンションで返答する京さん。

 いつも思うけれど、容姿がそっくりでなければ、とても双子とは思えない。


「方向一緒ですし、露草先輩と朝生さんも乗って行かれますか?」


「うーん、有り難いお話だけど、私はパスかな。ちょっとブラブラしていきたいかも」


「そうですか。朝生さんはどうします?」


「うーん」


 しばし考えていると。


「朝生さんは、私と一緒に行くのよね?」


「えっ?」


「ウ・ソ♪」


 ずっこけてしまう私だけど、妙案だとも思った。

 考えてみると、露草先輩とゆっくり話をしたことがない。

 これはこれで、良い機会かもしれない。


「そのウソ、ホントにさせていただきます♪」


「あら、そう来たのね」


 何となく調子も合わせてみる。

 露草先輩も満更でもなさそうで、ちょっと安心した。


「そうね。それじゃ、朝生さんと一緒にお散歩しましょうか。ちょうど、朝生さんには重要な話があったことですし」


「えっ、そうなんですか?」


「ウ・ソ♪」


 またもしてやられた。


 露草先輩の場合、本当にありそうなことをお茶目なウソで返してくるから難しい。

 それも、私に対しては私なりの、千里に対しては千里なりの、という、相手のレベルに合わせたウソを言ってくるあたりが策士だ。


「さて、とりあえずバスに乗って帰りましょうか」


「あ、はい」


「バスに乗っていくならお送りしましょうか?」


「大丈夫よ。朝生さんとのデートを邪魔しないでちょうだい♪」


「ふふ、了解しました」


 笑顔の狩野姉妹に見送られ、私と露草先輩はバスに乗り、学校の方角へ戻ることとなった。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

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