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愛しき殺し屋  作者: 海華
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罪悪感からの逃避

どうしよう……

コーヒーの香りが立ち込める中で、私の頭の中にフワッと蘇る昨日の記憶。

彼の体が落ちて行く……階段を転がり落ちて行く……

手が震えた。持っていたコーヒーカップが手からすり抜け落ち、机の上に転がった。

コーヒーが机の上に広がり、机を伝い雫となって床に点を作る。

「ご、ごめんなさい」

口ではそう言いながらも、心の中はかなり動揺していた。

玲は何も言わずにこぼしたコーヒーを拭くと、新しいコーヒーをカップに入れて私の目の前に出す。

「面倒くせぇ女だな」

玲は私を冷めた目で見ながら冷たくそう言った。

心の中の動揺が激しすぎて、怒りを感じる暇は無かった。

きっと死んでいる……殺してしまってる……どうしよう……どうしよう……

私は顔を手で覆い、激しい罪悪感と必死で戦っていた。

「やっぱり……死ねばよかった」

ついつい無意識に口にしてしまった言葉だった。

「死にたいなら、殺してやろうか?」

玲の冷ややかな声が響き、その言葉に驚き私は顔を上げ玲の顔を見た。

その表情は寒気がするほどの冷たい雰囲気を漂わせていた。

無意識に私の心の奥底の方から恐怖が込み上げてくる。

この人……恐い。

私は玲の瞳から逃げるように思わず椅子から立ち上がった。

すると今までの冷たい雰囲気は一気に溶けてしまいそうな、はにかんだ笑顔を浮かべる。

だけど、私の中に恐怖の残像が残っていた。

「恐怖を感じるうちは、死ねないぜ、あきらめるんだな」

玲は私から目線をそらすとそう言い捨てる。その言葉が私の心に容赦なく突き刺さった。

私の心を見透かされてるようで恐かった。

確かにその通り、昨日だって自殺に失敗して、今日だって目覚めた途端にこの状況に恐怖を感じた。そしてコーヒーに何か入ってるんじゃないかって疑ってみたりして。

死のうって人間の考える事じゃないわね。自分でも自分の姿に笑える。

「それを飲んだら家まで送ってやる」

玲はぶっきら棒にそう言った。

「いえ、大丈夫です。1人で帰れますから」

咄嗟に私はそう言っていた。だってなんとなく恐いんだもの、この人……

「無理だ」

玲はそう言うと私の方にコーヒーカップを押す。「早く飲んでしまえ」そんな声が聞こえたような気がした。

私はそんな音にならない言葉に促がされるようにコーヒーを一気に飲み干した。


玲は立ち上がりドアの方に歩いて行く、私も慌ててその後を追う。

そこには今まで見た事も無いような重そうな鉄の扉があった。

玲はその扉に手をかけると、重く軋む様な音をさせて扉を開く。外は真っ暗だった。ううん違う……扉のある位置が地上から階段を下りた所にあるために、暗く感じただけだった。

不思議な作りの家だわ。

私はそんな事を思いながら玲の背中を追いながら階段を昇る。

上まで上がるとそこは森の中だった。いったいここが何処なのか検討もつかなかった。

「無理だ」玲の言った言葉をやっと理解した。


玲は車の後部座席のドアを開いて待っていた。

私は後部座席に座り、背もたれにに体重を預けた。

玲は運転手席に座りドアを閉める。少し寒い感じの空気が流れたように感じる。


この時、玲の心の中で何が動いていたのか私には知る事は出来なかった。


ただ後部座席から見える玲の後姿は冷ややかで、誰をも寄せ付けない雰囲気を持っていた。


車は走り出す。木漏れ日の中、舗装されていない道を走って行く。

枝と枝の間から覗く光がキラキラと輝き、それが凄く眩しく感じ、目を開けるのが辛い。

なぜだろう……瞼が重い……目を開けてられない……眠い……


私は強い眠気に逆う事ができず、眠りに落ちてしまった。






沙羅は彼を突き落とした事に対して強い罪悪感を感じ、その罪悪感から逃げるためについついまた「死」とゆう言葉を口にしてしまう。

玲はその言葉を聞き「殺す」とゆう言葉を言うが、沙羅はその玲の姿に恐怖を感じた。

恐怖を感じるとゆう事は死に対しても恐怖を感じるとゆう事だ…玲の言葉に沙羅は自分の中の生きたいとゆう気持ちを再認識したのだった…


眠ってしまった沙羅…なぜ眠ってしまったのだろう?

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