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※僕らは特殊な肉体を享けています。危険ですので絶対に敵にしないでください。  作者: 諏訪静雄
第1章 1年2組はRPG(ロールプレイング学級)
3/14

委員長は持ち主を知らない

 私立珱海学園高校文化祭。

──通称『珱海祭』がついに明日、開幕する。


 開催期間は金曜日と土曜日の二日間。

 多くの生徒が心待ちにしている坂井明氏の記念講演は、文化部による発表やクラス展示の人気投票とともに金曜日の前日祭に。

 保護者やOB・OG、小中学生から一般の人まで分け隔てなく迎え入れ、2,3年生によるアトラクションや飲食物の出店も解禁される盛大な本祭は土曜日に行われる。


 これらは逆に言うと、1年生だけは木曜日までに準備を終えていなければならないということになるのだが、だからと言って手を抜く2,3年生ではないので、教室に限らず廊下や食堂ホール、中庭、階段の踊り場にいたるまで、生徒がひしめき合って作業している状態だ。


 その邪魔をしないように細心の注意を払いつつ、ヤスラギは教室から職員室へと早歩きで向かっている。


 なんでも学級担任の藤先生が呼んでいるらしいのだが、用件に特に心当たりはなく、すぐに行ったほうがよさそうだと判断して、担当のゲーム年表の仕上げ作業は圧巻のスピードで既に自身の作業を終えたカズマサに任せて飛び出してきたのだ。


 普段なら廊下は駆け足で移動するのだが、今日だけは別。

 これから設置するであろう告示用に作られたポスターや小物が無造作に置かれ、はさみや紙テープが散乱する地雷原と化してしまっているからだ。

 事実、先ほど踏ん付けてしまって女子生徒の怒りを爆発させてしまった男子生徒が、怒鳴られている様子を目撃している。


 まぁ、普通に歩けばいいんだけどね……。


 そんなことを考えているうちに、何事もなく職員室へとたどり着く。

 だが、あいにく先生の姿はない。


 ここで待たせてもらうべきなのだろうか。それとも、他の先生にだいたいの居場所を聞いて探した方がいいのだろうか。

 ヤスラギがどうするべきか逡巡するよりも早く、英語担当の三島先生から声がかった。

 職員室に行けば先生の方から声がかかるという、優等生あるあるだ。


 彼女もまた他の先生同様、準備段階にもかかわらず過去最高の出来だと、誰にいう訳でもなく感想を交えて称賛してくれた。

 最初は光栄で喜ばしいことだと思っていたのだが、1年生の中にはそんな史上最高の文化祭を最初に経験してしまっては来年、再来年と失速していってしまうのではないかと心配している人もいることを知ってから、ヤスラギの心境は複雑だった。


 だけど、そうだとしても、楽しまないのは損だろうと言いたかった。

来年以降の文化祭のことは、今年の文化祭が終わってみるまで気にしなくいいんじゃないかと。来年になってああすればよかったと後悔するくらいなら、今、全力でそうならないようにすればいいんじゃないかと。


 ちょっとした不満を思いながら話を聞いていると、急に話題が会話を終わらせる意図のあるものに変わった。

 

「──あっと、ヤバイヤバイ。急いでコピーしに来たのに意味なくなっちゃう」


 その手にあるのは一枚の紙。


「なんですかそれ?」


「ん~?うちのクラスのチラシよ。美術部の子が描いてくれたの。いろんなところに貼りたいんだって」


 そういって見せてくれたA4サイズのその紙は、極めて完成度の高い1年生クラス展示の広告ポスターだった。

 ここ最近で目にしたばかりの実は有名なキャラクターや、自分でも知っていた超有名なキャラクターたちが所狭しと色ペンで描き込まれている。


「すごいですね」


「でしょー?これ見た瞬間、即コピーしてこなきゃ!って思ったのよ。という訳で、お先に失礼するわね。藤先生もそろそろ戻って来ると思うわ」


「ハイ、ありがとうございます。先生、急ぎ過ぎて他クラスの作品を踏まないよう気を付けてくださいね?」


「あはは……。気を付けるわ、ありがと」


 そう言って、階段を一つ飛ばしで駆け上がっていく。

 本当にこの先生、自分がそそっかしいことをわかっているのだろうか……。


 上の階から聞こえる絶叫や悲鳴にヤレヤレと呆れながら、彼は先生が戻るのを待つことにした。

 会話で時間も経ったので、たしかにもうそろそろ戻ってくるだろうという判断で、それは勿論正解だった。


 1分もしないうちに、1年2組の担任である藤先生がどこからか戻ってきた。

 だが、その手に何やら見覚えのない大きめの段ボール箱を抱えている。


「おっ、鈴木!ちょうどいいところに」


「もしかして、その箱を教室に持っていけばいいんですか?」


「流石だな、その通りだ。何が入ってると思う?」


 師は上機嫌でそう問いかける。


「……なんでしょう?あまり軽そうじゃないですけど……」


 持ち方からそう推測するが、それ以上のことはわからない。

 だけど、文化祭に関係するのは間違いないはず。

 となれば、クラス展示の備品だろうか?


 でも、ガムテープやマジック、画用紙なんかの物品は足りていたはず。

……だとすれば、あとはなんだろう。


 結局、これといって心当たりのあるものは思い浮かばない。

 ギブアップを告げ、答え合わせを急ぐように箱を覗き込むと、そこには……


「これって……剣!?」


 斜めに立てかけられることでギリギリ箱に収まっているつるぎがあった。


 黒い柄と銀の刃の間に透明な宝石型のパーツが付いた、金属ともプラスチックとも見分けのつかない諸刃の剣と、それを差し込んでおくための溝が彫られた台座らしき金属の物体。

 模造刀というよりは模造剣なのだが、なんだかRPGのタイトルロゴにでも出てきそうなデザインの模造刀だ。


「どうしたんですか、コレ……。まさかっ!わざわざ用意してくださったんですか!?」


 いくら盛り上がっているとはいえ、たった2日の学園祭。

 こういう立体的な装飾品が必要ならダンボールとアルミホイルで作れば済むのにと、見るからに高価そうな模造刀を渡されたことで焦ってしまう。

 厚意を素直に受けとりきれなかったことを少しだけ後悔したが、それでもやっぱり嬉しかった。


「いや、とある生徒から預かってな。教室に飾れたらと思って持ってきたそうなんだが、大丈夫そうか?」


 持てるかどうか、設置できるかどうか、他にも複数の意味を含むニュアンスで、そう聞かれたのだが。


「ええ!もちろんです!みんなも喜ぶと思います!!」


「そうか、じゃあ後は任せるぞ」


「はい!」


 ヤスラギは何も問題はないとばかりに満面の笑みで箱を受け取ると、どこに置くのがベストだろうかと構想を練りつつ地雷原(ろう下)を抜けて教室へと向かう。

 各自の作業は終わりつつあったが、残された時間はあまりない。別にこのまま教室に置いてもさほど違和感はないだろうが、もう少し工夫をしたいところだ。この剣の存在感を引き立たせるような、そんな何かを作れたら……。


 いったいどんなゲームに出てくる剣を再現しているのか、そしていったい誰の持ち物なのかヤスラギは知らない。

 だが、この素晴らしい存在感を放つオブジェクトを持ってきてくれたおかげで、明日の人気投票で1位を獲れる可能性がグッと高まったことを強く感じ、感謝していた。


 やるからには1位を目指す。その思いでみんな今日まで準備をしてきたのだから、こんなに嬉しいことはなかった。




──下校時刻を過ぎてなお、1年2組の教室は煌々と光を放つ。


「あっれー?とむちんと委員長、それにまりりんも。まだ帰ってなかったの?」


 その光に釣られ、軽い声の持ち主がどこからともなくやってきた。いや、この場合は戻ってきたというべきか。


「あっ!!つじてめぇ!!そりゃこっちのセリフだッ!お前こそ何してたんだよ!?」


『とむちん』こと、浜岡はまおか功夢つとむは、飄々としている幼馴染に対して強く問いかける。


 少し長めのスポーツ刈りの髪とスポーツタイプのメガネが特徴的な、運動もツッコミもできるアニメオタク。

 委員長とは座席が隣だったので、お互い趣味の話になると一切通じなくなるが、よく話すのでとても仲がいい。


 基本的に紳士的な態度の彼が、唯一罵声を浴びせる幼馴染の女子生徒が性懲りもなく帰った来たことで怒鳴る。


「私?先輩たちに捕まって、ストラックアウトとかやってた!」


 つじ優綺ゆうきはそれに対して、悪びれることなく堂々と胸を張って答える。


 張れるほど胸が無いボーイッシュでクールな見た目から、中性的な顔立ちを助長する名前も相まってイケメンに間違えられること幾千回。

 主に女子からの絶大な人気を誇る、女バレ期待の1年エース。


 ゆえに、日常的に女バレの先輩に連れまわされ、今回のように可愛がられている。


「ようするに、遊んでたってことじゃねぇか!」


「いやいや!ちゃんとテストプレイを頼まれたんだって!」


「いや、断れよッ!?お前がやり残した分を、今やってたんだからな!?」


 言われてみればと、中途半端にやり残していた自分の仕事が既に終わっていることに気が付いた。


「えっ、嘘っゴメン……。今からパッパーとやって帰るつもりだったんだ……。委員長も、まりりんも私のせいで……ホントゴメン!!お詫びに、明後日はセンパイたちからチョコバナナ貰ってきてあげるね!」


「おい、俺にはないのか?……なんだ、その嫌そうな顔はッ!てか、この二人だけじゃねえぞ?じきに戻ってくるけど、天竜さんとカイトも手伝ったんだからな」


「あらら、それはちょっとセンパイが大変だなー」


「いや、自腹で買えよッ!そんなん誠意ゼロじゃねぇか!!」


 見慣れた者にはお馴染みの、幼馴染漫才を温かい目で眺める二人。


「まあまあ、二人とも。間に合ったんだしイイじゃん!あ〜、でも下校時刻には間に合ってないのか。まぁでも、カイトとミヤビさんが説明しに行ったからダイジョブだね!」


 その委員長じゃない方。どことなく子犬を思わせる弓道部のおしゃべりマスコット。駿河原するがわら真鈴まりんが笑って声をかける。


 彼女が分け隔てなく誰とでも仲良くなれるのは、その無邪気すぎる笑みと、圧倒されそうになる喋りっぷりを前にすると毒気を抜かれてしまうからに他ならない。

 垢の抜けきらない容姿も影響して、クラスメイトからは可愛い妹のように親しまれている。


「そうなんだ~、でもそれって、ちょっと遅すぎない?私のやり残した仕事ってそんなに時間かからなかったでしょ?」


 どんなに不器用でも15分もあれば、自分なら10分もかからずに終わるだろうとユウキは過信し疑問をぶつける。


 彼女の言う通り、少なくとも下校時刻ギリギリまで何か別の作業でもしてなければこうはならないだろう。

 その作業に心当たりがなかったのは、委員長とほぼ同時に教室を出たっきり戻らなかったからだ。


「あぁ、急遽アレを造ることになったからな。お前のはそのついでに俺がやった」


 教室に入ってツトムの指さす方を見ると、教室の中間、廊下側の柱の前あたりが劇的な変化を遂げていた。


 なんとそこには伝説の勇者の剣が、まるで封印されていた遺跡から空間ごと切り取られてきたかのように鎮座しているではないか!!……というのはさすがに大げさだが、雰囲気に合うように壁と床に石壁風の絵を用意することで精巧な模造剣をより神聖な感じに引き立てていた。


「うおぉー!なにこれすっげー!!えっナニコレ!?いったいどしたの?誰かの私物?ハッ!?まさかこれ、ダンボールじゃないよね!?」


 もはやスカートを履いた美少年にしかみえない興奮するユウキに対して、廊下から背中越しに声がかかる。


「そのまさかって言ったらどうする?しかも、作ったのが俺だって言ったら」


「えっ、ないない。それだけはない。それはそうと、私の仕事やってくれてサンキュー!」


「なんだよ、お前も即答かよ~。ま、あの絵は本当に俺も描いたんだけどな!」


 ツンツン頭のサッカー馬鹿、修善寺しゅぜんじ海斗かいとは自信満々にそう言った。

 実際はほんの一部しか描いていないのだが、描いたことに違いはない。


 普段ならワイシャツは着崩しているのだが、今は職員室に謝りに行っていたのでキッチリと正されている。こんな風に冗談を言っては常に楽しそうにしている、どのクラスにも必ずいそうな小学生ガキっぽい男子だ。


 そんな彼の背後から、さらに声がかかる。


「そうね。確かに、模様の部分はあなたが描いていたわね。で、残りを私たち4人で完成させたのよね」


「模様って……コレ!?全っ然、描いてないじゃん!!」


「ちょっ、ミヤビさ~ん。バラさないでよ~」


「あら、あなたがそれを言うのかしら?せっかく指導員の先生にうまく言い訳しようとしてたのに、アッサリ口を滑らしてくれたあなたが」


「んぎっ。あ、あれはホントにスイマセンでした……」


 天竜てんりゅうみやびはあっさりと話の主導権を奪い取ると、委員長に先生からの言伝ことづてを伝える。

 あと10分もしたら教室を閉めに来てくださるそうよ、とお嬢様しかしないような口調で、お嬢様っぽい艶めくロングヘアーの彼女は報告した。


 といっても、彼女は漫画に出てくるような超有名財閥の御令嬢とかそういうのではない。

 たしかに実家は裕福なのだが、たまたま彼女にとって一番話しやすい口調がそれだっただけだ。


 周囲はそれを承知の上で、彼女の少し無理に気取っている態度を内心面白がって接している。


「了解です。ありがとうミヤビさん」


「別に、かまいませんわ……ですよ?」


 特に、委員長だけに出るおかしな喋り方は、みんな心の中でニヤニヤして聞いている。


「カイトもありがとう」


「いや、だから俺は何もしてねぇんだってば。嫌味かよ、ラギ長」


「えっ、そんなつもりじゃ……」


「ハハ、わかってるって!いい加減、俺の冗談にも慣れてくれってのw」


「えー、それじゃあ委員長っぽくないじゃん」


 それもそっかと一同は笑う。

 出席番号順の5人に浜岡はまおかを加えたこの6人は相性がとてもよかった。

 時折、こんなふうに会話している様子はとても出会って2か月とは思えないほど仲が良く見えたし、実際に仲が良かった。


「にしても、コレ凄いよな~。超リアル!」


 そう言って、ツトムは台座から剣を引き抜くと、作りこまれた細部をマジマジと見つめる。

 その様子を見ていたマリンは気になっていたことを口にする。


「それ、クラスの誰かが持ってきたんでしょ?何でわざわざ先生に預けたんだろうね?しかも、名前は言わないでって、ふーさん(※藤先生の愛称)に口止めまでして」


「恥ずかしかったんじゃねーの?男とは限らねーしよ」


「うーん。私も家に刀ぐらいはあるけど……。こっそり持ってきているのなら内緒にしておきたいと思いますわね。流石にこれが、世界に一つしかない家宝ってことはないと思いますし、親に怪しまれても持ち主が不明ならシラを切れますもの」


 彼女の家に本当に刀があるかはさておき、隠したがる理由も無くはなさそうだという結論に落ち着いた。

 そもそもこの件は、文化祭が終わったら教えると藤先生に言われている。これ以上の詮索は、持ち主の意志を尊重して止めておこうと気遣ったのだ。


「さぁ、先生が来たらすぐ帰れるようにしておいてね。特に、ユウキさんとカイト」


「はーい、委員長!」 「あーい」


「……ん?なんだこれ?さっきはこんなとこに文字なんて…」


 生返事に混じって神妙な声が耳に届き、全員の注目が声の主に握られた剣へと集まる。

 たしかに、刃の部分に白色に淡く発光する文字が浮かび上がっているのが分かった。


「多分、中にLEDが仕込まれてるんだよ。強く握るか、振るかするとセンサーが反応して、金属に似せた透過プラスチックの表面に透過して浮かび上がるような仕掛けなんだと思う」


 その見た目はなかなか神秘的だったのだが、ヤスラギは持ち前の知識で即答する。

 まぁ、彼が真っ先にそう言わなくても、魔法の剣だなんだと騒ぐのはこの場ではカイトとマリンくらいだろう。


「ふーん、最近のおもちゃは凄いんだな。で、なんて書いてあんの?」


 今の説明をいまいち理解しきれていないカイトが問いかける。


───Astral Divider───


 自身の英語力では理解できないということをツトムは理解した。


「アストラル・ディビデア?……ヤスラギ、日本語に訳せない?」


 アストラルという響きには聞き覚えこそあれど、その意味までは知らない。

 ならば、困ったときの委員長だとツトムは疑問を丸投げした。


「うーん、分かんないや。調べてみようか?」


「いや、そこまでしなくてもいいよ。てか、そもそも俺の読み方が違うかもしれん」


 そんな心配を口にしたことで、横から口を挟む者が現れる。


「どれどれ~……?アストレイル・ディビダーじゃない?」


 マリンは若干違う読み方をしたことで、どうやら見慣れない英単語らしいと英語の得意なヤスラギとミヤビも慌てて覗き込む。


「これは……アストラル・ディバイダー……かな」


「なるほど、”Astral Divider”……ね」


 彼女のわざとらしいネイティブな発音に、皆は思わず笑みがこぼれる。


 ミヤビのネイティブな発音は帰国子女だからではない。

 お嬢様っぽい振る舞いをすると周りが面白がると知って以来、帰国子女と勘違いされるべく特訓していた努力の賜物だ。


 最初はクラスでも近寄りがたい存在だと思われてたのだが、自己紹介でそのことをアッサリばらしたことで、今では馴染みやすいお嬢様キャラとして定着している。

 そう。あくまでお嬢様はキャラなのだ。


「てことは、この剣で繰り出せる必殺技は……アストラル・ディバイドってとこか?」


「そうだな、けっこうそれっぽい……」

「喰らえ!”アストラル・ディバイド”ッ!!」


 カイトは剣をツトムから受け取りつつ、謎の確認をした直後に不意をついて斬りかかる。


「なんのッ!!」


 だが、持ち前の運動神経を生かし間一髪の白羽取りを成功させたツトムがそれを防ぐ。

 そのバカッコいい様子は、まさに男子高校生たちの日常風景といった光景だろう。


……だが、その時だった。


 剣についた宝石のような部分が一瞬だけ強く白い光を放ったのだ。

 それはまるで光の刃が身体を貫くように飛んできたかのようだった。


 グニャッと周囲が歪んだように錯覚し、6人は唐突に強い眩暈に襲われて視界を滲ませる。


 まるで床と天井がひっくり返るような感覚に、脳がヤバいと警鐘を鳴らす。


 そんな一瞬の出来事。

 なんとか倒れないようにこらえるが…………。




──Astral Divider──


幽星ゆうせいを分かつもの』


 それは文字通り、アストラル体……魂ともいうべき存在しないはずの存在を二分する剣。

 二つに分かれた魂の行方を、片一方は知る由もなかった。

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