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〜ランダム〜  作者: 志貴
4/10

またかよ

ガタンゴトン、と電車に揺られながら、学校を目指す。


腰掛に座り、前方の窓から移り変わっていく景色が目に映る。

その空は灰色の重々しい雲が、空いっぱいに広がっていていつ雨が降ってもおかしくないほどだ。しかし、天気予報で今日の降水確率は10%と言っていたので、たぶん大丈夫であろう。


ガタンっ、と大きく電車が跳ねる。


通常なら今の時間は通勤通学のラッシュなので、誰かの肩に触れるてしまうぐらいはあるだろう。だが、魁人の周りではそうは起こらなかった。いやそれどころか、満員電車独特の息が詰まるような窮屈感、暑っ苦しい圧迫感すら魁人はまったく感じていなかった。


居ないのだ。


人が。


魁人の周り半径二メートルぐらいにかけて。


明らかに距離を置かれている。


こっちでは空間が余りあるほどなのに、隣の車両ではギュウギュウの満員だ。

そんなにも恐がらなくてもいいだろうと思う。

しかも何か、恨めしそうにこっち見てる人がいるし。

だったらこっちに来ればいいのに。同じ車両にいるだけで誰が何をするというだろうか。

その人に視線を移したら、光速以上の速さで顔を逸らされた。


・・・・・・・・・別に、もう慣れたけどね。


所詮人間なんて見た目なんだ。そう思わないと人生なんてやっていけない。

自分はこの先ずっと、学校で友達の一人も作れずに卒業してしまうんだ。

誰とも関わらずに誤解も解けずに、不良以上のヤクザ予備軍として扱われるのだろう。


と、思っていた。


だと思っていたのに。


魁人の靴箱に、(今日の放課後、体育館裏で待っています)と書かれた手紙が入っていた。


デジャビューだ!!デジャビューを感じる!!


この前、といっても昨日と言う凄く最近だが、酷い目に合ってしまった自分は、もはや人間不信と疑心暗鬼、それと対人恐怖症に陥ってしまっているのだ。

もう、他人なんて信じられない・・・。

忘却の彼方に押し遣ろうとしていた記憶が復活してしまった。

昨日、意味も分からずいきなり殴りかかられた俺は、意識を失いそうになったが、そこは何とか持ちこたえた。

そして、正気を取り戻したときには、俺を殴った確信犯は遠の昔に姿を消していたようだ。

確か名前は倉元亜紀と言ったかな?

今まで見たことも無い顔だったので、きっと隣のクラスにやってきた転校生なのだろう。

このまま無視してしまっても構わなかったが、それは俺の良心が許さない。

昨日の会話から、俺が彼女に何かしてしまったようなのだ。

俺自身にそんな記憶は無いが、相手がそうだと言っているので原因を突き止めないといけない。

そうしないと俺も納得できない!!

今日の昼休みぐらいに、彼女と会おう。

俺は決意を新たに教室へと入った。




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