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〜ランダム〜  作者: 志貴
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主人公について

春と言うのは始まり季節なのだろう。


春一番と言われている生暖かい強風に振られながら、大股で自宅から学校に向かう。

向かい風にあるためか強風が顔にたたきつけられて、自然と眼を細める。


今日から高校二年生。と言っても、自分にとってはあまり意味のあることではない。

学校には友達の一人もいなければまともに話したことがある人さえもいない。

不祥事を起こしたとか、そんなことをなどをした覚えなど無いが兎に角みんな自分を避ける。

溜息を吐きながら無意識に前髪を引っ張り、目元を隠そうとする。川島魁人かわしまかいとの癖だ。

魁人の悩みは目元にあった。


悪いのだ。


視力が、ではなく。


目つきが。


ここ一年で男くさくなって来た顔立ちは、絶世の美少年でもなければ、人間離れもしていない。まあ、一応は悪くないのでは?とか思っている。


だが目つきがすこぶる悪い。もう、シャレにならない位にやばい。


釣り上がって尖っている。三白眼なのである。

しかも、遺伝的病気で目の虹彩の機能が元々薄いため、晴れの日には無意識に目を細めてしまう癖がある。

ただでさえ三白眼だと言うのに、それがプラスされると、見事に殺人級の目つきの完成である。


そしてその目つきは魁人の意思とか関係なしに、目が合った相手を一瞬で狼狽させるらしい。

・・・・・・わかる。よくわかる。自分だって集合写真の自分を見て「何この人?物凄く怖いんだけど・・・・・・・・・って自分じゃん」と物凄く落ち込んでしまうほどなのだから。


ついでに言えば、魁人は物凄く感情表現が乏しいので、年がら年中二十四時間果てしなく無表情に近いのだ。それが物凄く恐い。そして元来の性格でかなりの無口なのだ。そのせいで誤解を解くことも出来ず、それが妙に威圧感を放ってしまっているかもしれない。

だが、だからと言って・・・・・・。


「な、何だ川島、先生に反抗するのか!?だ、誰かっ、小泉先生を呼んでくれーーっ!」


違います。提出物を忘れたから謝りに来ただけなんです。マッスル体育教師なんて呼ばないでください。


「ごごごごごごめんなさいぃぃっ。わざとじゃないんだ。あいつが押してきたからぶつかってえぇぇぇ!」


肩が触れたぐらいで誰が怒るのというのだ。


「川島君って、あっちの世界に体半分くらい踏み入れてるらしいよ」


あっちの世界って何だ?極道か?やくざなのか。


確かに第一印象は見かけかもしれない。

だが、たったそれだけでそんな噂まで立つのはあまりにも酷いのではないか?

そんな事が毎日、常識として当然の様に起これば、誰だって嫌気がさして来るというものだ。

成績だって悪くない。いや、かなり水準の高い進学校で常に上位の成績を維持している自分は、むしろかなり良い部類に入るのではないか。運動だって、今の一人暮らしになる前に住んでた所の近くの武道場に通っていたので、身体能力も良いはずだ。

稽古以外では、人を殴ったどころか口論をした覚えも無い。


要するに川島魁人と言う人間、は極々普通な少年でしかないのだ。



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