第八話 いざ学園へ
1433年3月16日 10:30 アグラッド王国 首都マーケントン近郊
結論から言おう。一週間前に晴れて6歳となった私は、首都マーケントンで「学園」の入学試験を受けることになった。なぜなら、学園に入学することで、「学園を卒業した」という、日本で言うところの「東大を卒業した」ということと同じ、いや、それ以上の肩書きが手に入るからである。
母が恋しいのは山々だったが、せっかく手に入れた新たな人生を無駄にしたくなかった。
首都マーケントンは、やはりというべきか、衛生環境が著しく悪い都市だった。馬車で道を走っていても、石で舗装された道路のあちこちに糞尿がたまっているのが確認できた。だが誰も気にしない。都市の人間からすれば「当たり前のこと」なのであろうか。付き添いに来た父が眉間に皺を寄せ手いたのを覚えている。
学園はマーケントン郊外にあるので、我々は首都を通過することにした。(途中警官の逮捕劇があり、そのときは思わず拍手してしまった)
学園に到着すると、まずはじめに受験票を渡され、そして受験会場に通された。そしてテストを受けるわけだが、このテストはかなり楽勝だった。唯一挙げるなら、100点をとらせないようにするための問題があったということだ。(学園の試験には、たいていこの類の問題が出題される。研究者専用の問題であったり、答えが確定していない問題であったりだ。しかしながら、一応前世で研究者をしていたので、これらの問題をとくことはさほど難しくなかったのだが)
問題は実技である。
魔法の使い方なんて知らないし、体力だってやや低めだ。(あまり運動していないからだ)
正直、入学できるかとヒヤヒヤしたが、幸運にも入学を許可された。(実技の点数が高かったのだろうか)
ともあれ、4月から学園生活が始まるわけである。
第一章完結。
だいぶ字数が少なくなってしまったので、この世界の通貨でも説明しておきます。
アグラッド王国通貨単位 ラード(R)
タリアス連邦共和国(西の主要国)通貨単位 ダル(D)
ノモフス帝国(東の主要国)通貨単位 カブール(K)
ストーリーに影響するかはまだわかりませんが……