第1話 銃撃戦
満足した気分でバスの後部座席に座っている。隣の香夏子はワクワクした気分らしい。現にいま、目を輝かせている。そんなに欲しかったのか、『死霊のえじき完全版』が。
そう思いながら、ふと、遠くから騒ぎが聞こえた。
「何の騒ぎだ?」
「ゾンビがぁ、出ちゃったりぃ」
「まさか」
すると、突然バスの窓が割れた。同時に銃声が。
「香夏子!伏せろ!」
「え?」
すると、前の席に座っている乗客運転手から、生々しい鮮血が噴き出る。
「いいから伏せろ!」
香夏子は伏せた。他の乗客大勢も。バスは勢いよくどこかのビルに突っ込み、ビルの壁が壊れ、ビル内に入った。
すると、銃声がさらに激しくなる。
「香夏子!伏せたまま!」
「うん!」
正義は頭を出し、そっと覗く。
玄関ホールで武装した集団が、外に発砲していた。数人はバスに発砲し、そのたびに兆弾する。
『これ以上の争いはよすんだ!』と拡声器で拡大された声が響く。
よく見れば、玄関の外ではパトカーや警備車がビルを囲み、|特殊急行部隊(SAT)が待機していた。すると、玄関ホールのマスクをした私服武装集団はどこかの暴力団か?何人かはあのテロリストの銃で有名なソ連で開発されたAK47を持っていた。
正義は伏せたまま、香夏子に近寄った。
「香夏子、無事か!」
「かなりんは大丈夫、セーギは?」
「ダグラス・ジキル博士と呼べ、俺は平気だ」
だがバスの中で銃弾が兆弾し始めた。
「後部座席の窓から外に出るべきか、中で待つべきか」
「かなりん怖いよ……」
「大丈夫だ、助かる!」
『発砲許可が出た!反撃開始!』
すると、外の警察隊が拳銃や短期機関銃、狙撃銃などでテログループらしい集団に発砲し始めた。
「香夏子!銃撃戦が始まった!」
「銃撃戦って?」
「つまりピストルで撃ち合うことだよ!」
銃声の嵐だった。まさに。大量の弾丸がビルを飛び交い、流れ弾がバスに命中する。
すると、1人のマスクの男が突然窓を割って中に入って来た。
見れば、体中に穴が開いていた。つまり、飛び込んだのではなく、撃たれた反動でバスの中に入って来たんだ。
男の手元にはAK47があり、腰にはコルト・パイソンがさしてあった。正義はAK47を貰った。重かった。1袋のお米を何個も担いだくらいに。
バスでは、流れ弾や兆弾で死んだ死体が山ほどあった。
「ここにいちゃ危険だ!バスの後部座席の窓から外へ逃げるんだ!」
「セーギは!?」
「俺は援護する!その隙に逃げろ!」
そう言って、ホフクでバスを進み、レバーでドアを開け、ホールに出る。
「おら!ここだぞくそったれども!」
そう言って、AK47を乱射する。凄まじい反動でコントロールが不可能だった。だが、暴行集団は慌てて柱やソファーなどに身を隠す。
その隙に正義は香夏子の様子を見る。丁度、壊れた壁から外に出た直後だった。
正義はバスの中に戻り、中腰で進みながら、後部座席の割れた窓から外に出て、壊れたコンクリートの壁から外に出た。
出た瞬間、警察隊が正義を保護した。
「よく頑張ったね!さ、早く離れよう!」
警察隊が正義を連れて、警備車の裏まで連れてくると、短機関銃で反撃を始めた。さすがに路上の野次馬は少なかったが、ビルの窓から携帯電話などで撮影する連中は多かった。マスコミのヘリや車がたくさん止まり、大勢のナレーターが事件の状況を解説していた。
隣に香夏子が居た。
「無事か、香夏子!」
香夏子は泣きそうな目で正義を見た「うん…大丈夫…正義は?」
「俺は不死身だ!」
その時、正義を保護した警官が撃たれて、倒れた。同時に1人の拳銃を持った大男が現れ、香夏子の拳銃を向けた。
「危ない!」
正義は香夏子の前に立つ。
銃声。
右肩に激痛が感じた。
だが、意識も遠のく。
最後に聞こえたのは香夏子の叫び声と、銃声だった。