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竜夫と充(プロローグ)

「なぁ竜夫、一緒にボクシングやろうぜ」

高校の帰り、充はそう言った

「ボクシング、ってなんで突然?」

俺はは少し困惑気味に充に問いかける

「いや、実はさ昨日街でジムを見ちゃったんだよね。

 それでちょっとやりたくなっちゃって」


 いつものことだ。充は何かに影響されるとすぐにやりたがる”クセ”がある

サッカーのワールドカップを観た次の日には、今まで在籍していた野球部を辞めサッカー部に入った

そして面白い映画を観た次の日には、サッカー部を辞め映画研究部に入った

 そのたびに、俺は充に付き合わされる

俺が、「野球を続けたい」といっても「お前にはサッカーが向いてるよ」と言われ

「今、サッカーに夢中なんだよ」と言えば「お前は映画監督になれる」と言われた

しかし、あいつに付いていけばそれなりに面白いので、俺は自分の意見を通すことなく

いつもあいつに付いて行った


「ボクシングか・・・俺今映画作ってるからさ・・・」

「お前は世界チャンピオンになれるよ」

予想通り、俺の意見は即却下された


「ボクシングやるって言っても、ウチにボクシング部はないぞ」

俺たちは帰り道のファミレスで軽食を取っていた

「そんなこと気にしてんのか?ジムに行きゃいいだろ」

そう言って、充は鞄からジムのチラシを取り出した

”初心者大歓迎!!基礎から丁寧に指導します!”

そう、デカデカと書いてある。周りにはジムの会員らしき人達が練習している写真が載っていた

場所はこのすぐ近くだった

「どうだよ?ちょっと興味出てきただろ?」

確かに、こういうチラシは興味をそそる


 この手口はこいつと俺が出会った小学校の時から使われてる

こいつが俺と知り合って、真っ先に野球に誘った時もあらゆる資料で興味をそそらせた

「ねぇ、興味あるでしょ?」

この言葉は、こいつの口癖なのだ


「お前、格闘技好きだったじゃん。だからさ、やろうぜボクシング」

俺の注文したパスタが届いたと同時にそう言った

「いつ、俺が格闘技好きになったんだよ」

そう言いながらパスタをすする。いつもと同じ、ミートソースの味がした

「いいじゃん、細かいことは。」

「細かいことが大事なんだよ」

ミートソースの付いた口を拭きながら、俺はそう答えた


「プルルルルル。プルルルルル」

充の携帯が鳴った

「誰から?」

俺は、そう尋ねた

「え~っと。うわ!エミからだよ」

そう言って充は、いやいや電話に出た


「なんの電話だったんだよ」

充にそう尋ねる

「帰りにネギ買ってきてくれだって」

「お前も大変だな」

適当に俺は言う

「そーなんだよ。あいつ今風邪ひいて学校行ってねぇからさ。ネギばっか食ってんの

 だからネギの減りようがすごいんだよ」

笑いながら充は言う。

 ”エミ”というのは、充の双子の妹だ

俺も昔からよく知っている。

「じゃぁ、俺もう帰るわ。あいつに飯作ってやんねぇと」

「あぁ、ボクシングジムのこと考えとくから」

そう言うと充はニコリ、と笑った


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