お肌の曲がり角の先は直進?
毎日見ているはずなのに、気が付くと桜が満開になっていた。遅い春はようやくこの街にもやってきて、私はコートを冬用の厚いものから春用の薄いものに変えた。
ウチには春を待たずに阿部くんが入ってくれたので新人の採用はないが、同じフロアの他の店舗には続々と新人さんが入ってきている。
となりのお店にも高校を卒業したばかりの女の子が入って、毎日私と顔を合わすたびに挨拶してくれる。とても可愛くて眩しく見える。私にもあんな頃があったなんてもう信じられない。何せ十年遡ったところで、あそこまで辿り着かないのだ。
やっぱり若い子は肌の綺麗さが違う。歳を重ねる事が悪い事だとは思わないが、肌の乾燥だけはなんとかして欲しい。私は本来顔にベタつくのが好きじゃないのでさっぱりタイプの化粧水を使っていた。だが年齢が上がるごとにそうも言ってられなくなって、今では化粧水、乳液共にしっとりタイプを使っている。しかもそれだけでは飽き足らず、追加でオールインワンクリームまで塗ったくっている。
よく二十五歳はお肌の曲がり角、なんていうが六年も前に角を曲がった私は今、なんて言うのだろう。
私は「まるでゆで卵のようなぷりぷりの肌に」というポスターに惹かれ、基礎化粧品売り場に立ち寄った。
すかさず売り場のお姉さんがハゲタカのようにやってくる。
「何かお探しですか?」というので、最近肌の乾燥が気になって……と話をすると年齢を聞かれ、お決まりの
「見えないですね。とてもお若いです」の言葉に少し喜んだ自分がいて、いや若いと言われて喜んでる時点で若くない証拠だわ、と思った。
明らかに私より若いお姉さんにお世辞を言われてもなぁと思いながら、結局はポスターの文句に惹かれてクリームを買って帰った。




