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葬儀
ポクポクポク
ナンマイダーアーコレナンダーイッサイナンダッター
木魚の音と共に、お経を読み上げている。
悲しみに包まれた雰囲気の中
冷めた眼差しで自分もお経を読み上げる。
家は大金持ちでお爺ちゃんが一代で財を成した。
それからお爺ちゃんの言う事は絶対的で
以前にも愛犬のショーンが老衰で寿命が来た時も
こうして盛大に葬儀がなされた。
今もお爺ちゃんは号泣している。
自分の番が来て、棺に挨拶する。
人間は入ってない。
中にあるのは携帯だけだ。
近くで親戚がヒソヒソ話を始めている。
「聞いた?壊れた原因」
「ううん、何だったの?」
「ーーーーーーーーギガ死ですって」
ギガ死て
お爺ちゃんそいつ来月には普通に動いとるがな
誰か教えてやれよと胸内で突っ込みながら
木魚とお経の声が響き渡っていた。