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プロローグ
この世界には、感情獣と謂う物が存在していた。
生を受けたその瞬間から、命が潰えるその瞬間まで、持ち主の側を片時も離れることのない獣。持ち主が物心ついた頃には既に存在しており、彼らが何処から来たのか、何の為に現れるのかは未だ謎に包まれたままである。
現在分かっているのは、感情獣は持ち主の感情の変化によって姿形を変える生き物なのだと云うこと。これは彼らがフィーリングビーストと呼ばれる所以でもある。
そしてもう一つ分かっているのは、純粋な源色(虹色に黒・白・灰を足した物)と呼ばれる色を持つ感情獣は存在しないのだと云うこと。……が、しかし現在、実しやかに囁かれている噂があった。
――純粋な源色は、存在するのだと。