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2.ヴェスパー

「ですから!申し訳ありませんがアポイントを取って頂いた上でお越しください!急な来客は対応できません!」


「セレナ、セレナ…。上に連絡を…」


 リコルは焦りで発言がまとまらない。

 受付の男は大切な人に何かがあったのだろうと予測出来ているが、毎日来るそれら全てに対応する訳にもいかないので、マニュアル通りの対応をしていた。


「上へのアポイントなら受け付けますので、焦らないでください!」


「セレナ…セレナぁ!」


 男はこの話し合いのキリが無いのを察して電話をかけることにした。すると、周りから武装した警備員が五人集まって来た。


「お嬢ちゃん、何かあったんだろうが受付を困らせちゃならねぇ。ほら、こっちに付いてこい」


 周りより大きな警備員が手を差し伸べる。優しく移動を促されているのだろうが、今現在精神的に不安定なリコルはそれに従わなかった。


「うるさい」


 警備員より二回りは小さいその体を器用に動かし、目の前に差し伸ばされた手を掴んで警備員を組み伏せる。


「うおっ!イテテテ…何をする!」


 突然の不意打ちに対応できるはずもなく、警備員は動くことが出来なくなってしまった。


「構えッ!貴様、何をしている!」


 それをみすみす見逃すはずもなく、残りの四人はリコルに向かって銃を構えようとする…が、


「弱い」


 拘束した大男を軸に回転し、空中でも歩くかのように全員の銃を蹴り飛ばした。

 そこで大男は気付く。


「お前、その身のこなし…”アカツキ”か。最近消息不明になった”ソレイユ”に全てを託し、消えた天才」


 その発言にリコルは過剰に反応する。


「セレナを知ってるの!?セレナはどこにッッ!」


 そう言いながら拘束を強めるリコル。


「痛い!や、やめろ!話すから!

 チッ…たく。セレナ、確かソレイユの名前だったか?知ってるとは思うが彼女は消息不明、生死の確認が取れない形らしい。特別任務だから詳しいことは分からねぇが…お前さんなら上に掛け合って聞けるんじゃねぇのか?」


「でもアイツがアポイなんとかがどうとかって。言葉を濁して私を煙に巻こうと…」


「お前さん、そんなに馬鹿じゃないだろう。少し冷静になったらどうだ。

 アポイントだろ?要するに事前予約みたいなもんだ。何も言わずに急に来ちまったもんで、受付の兄ちゃんが対応に困ってるってことよ。まったく、才能があるやつってのはどいつもこいつも…癖がありすぎて困っちまう」


 大男は受付に大丈夫だとハンドサインを送る。受付は深呼吸をし、ありがとうございますと返した。


「…ごめんなさい」


 落ち着きを取り戻し、周りから哀れみの視線を食らっているリコル。そこにもう一人、軍服に勲章を多くぶら下げる者が現れた。


「お前はアカツキ。

 …警備員、ご苦労。とんだ災難だったろう。持ち場に戻りたまえ。」


 威圧的な声色にキチッと着こなした軍装。その男にリコルは見覚えがあった。


「本部長…」

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