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最強種族のケモ耳族は実はポンコツでした!  作者: にんじん


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すごいポケット


 私は一心不乱にビスケット作りに専念した。



 「たくさんビスケットを作ることが出来たわ。まだ材料はあるし・・・そうだわ!パンケーキでも作ってみようかな?でも、メイプルシロップが欲しいわね」

 

 

 パンケーキを作りたいがメイプルシロップがない。メイプルシロップのないパンケーキは物足りないから作るかどうか迷っていたら、またしても、ポケットにメイプルシロップが入っていた。



 「おかしいわ。さっきまでポケットにメイプルシロップなんて入っていなかったはずよ。どういうこと?」



 私はさすがに今回はスルーするわけにはいかないと思った。なぜ、私のポケットにメイプルシロップが入っていたのか理由が知りたいと思った。



 「もしかして、これは異世界に転移した時のあるあるの神様から特殊なスキルを授かったってことかしら?それしか考えられないわ」



 異世界に転移や転生した時は神様からチートのスキルを授かるのは常識である。私も突然異世界に転移したのだから、チートのスキルを授かっていてもおかしくないと思った。



 「ふ・ふ・ふ・ふ・ふ。私はあの猫型ロボットのように、便利なアイテムが出るすごいポケットを手に入れたのだわ。このすごいポケットがあれば、何不自由のない生活を過ごすことができるはず。私の事をお荷物だと言ったビスケットちゃんを見返してやるのよ!」



 私は根に持つ性格なので、ビスケットちゃんが言った言葉を忘れていなかった。



 「何をポケットから出そうかしら?お金は?ダメね。この世界のお金じゃないと意味がないわ。おそらく、私がイメージしたモノがポケットに反映されるはずだから、お金をイメージすると、私が住んでいた世界のお金が出るはずね」



 私は抜け目なく考える。



 「この世界でも共通して価値があるモノがいいはずね。・・・金もしくはダイヤモンドだわ。宝石とかならこの世界でも価値がありそうだしね。よし!決めたわ。ダイヤモンドを出してみるわ。出でよ!ダイヤモーーーーーンド」


 

 私はウキウキ気分でポケットに手を入れた。しかし、何も入っていない。



 「あれ?おかしいわね。もう一度試してみるわ。ダイヤモンドよ!出てこーーーーーーーーい」



 しかし、ポケットに手を入れても何も入っていない。


 

 「もう一度よ。お願い、ダイヤモンドさん出て来て下さーーーーーーーい」



 私は何度も繰り返したがダイヤモンドは出て来ることはなかった。



 「マカロンさん、ポケットに手を入れて何を騒いでいるのでしょうか?」



 私はダイヤモンドを出す事に夢中で、リリーちゃんが調理場に入って来た事に気づかなかった。



 「あの~その~え~と」



 私はあたふたしてしまい良い言い訳が思いつかなかった。



 「マカロンさん、ビスケットという食べ物を少しわけてもらえないでしょうか?」



 リリーちゃんは、ポケットの事にはふれてはいけないという空気を感じ取ってくれて話題を変えてくれた。



 「いいわよ。たくさん作ったから好きなだけ食べてね」


 「ありがとうございます。ところで、どちらにビスケットはあるのでしょうか?」


 「え!テーブルの上のお皿にたくさんあるはずよ」



 私はテーブルに目をやるとビスケットは一つも残っていない。そして、ビスケットの代わりに、テーブルの下で夢見心地のビスケットちゃんが寝転がっていた。



 「ビスケット様~ビスケット様~甘くて優しい~ビスケット様~やっと出会えた~やっと一緒になれた~私とビスケット様は~ずっと一緒なの~一緒なの~」


 「ビスケットちゃん!全部食べたの?」


 「ビスケット様~ビスケット様~もっともっと~もっと~もっと~ビスケット様~ビスケット様~私まだ~まだ~まだ食べれるのよ~」



 ビスケットちゃんはビスケット様の歌に夢中で私の声は届いていない。



 「ごめんなさいリリーちゃん、ビスケットちゃんが全部食べたみたいなのよ」


 「いえ、気にしないでください」


 「あ!そうだわ。今からパンケーキを焼こうと思っているから、出来上がったらそれを差し上げるわ」


 「パンケーキ?」


 「そうよ。パンケーキよ」


 「パンケーキとはどのような食べ物なのでしょうか?」


 「パンケーキとは、小麦粉などを混ぜて作る液状の生地をフライパンで平焼きしたモノで、その焼き上がったパンケーキにバターを塗って、その上からメイプルシロップを垂らしたら、ふんわり触感の甘いパンケーキの出来上がりよ」


 「ふんわり触感で甘い食べ物!そんな食べ物がこの世に存在するのですか!」



 リリーちゃんがウサギのように飛び跳ねて驚く!



 「あるのよ。ビスケットはサクサクとした触感だけど、パンケーキはふんわりふわふわなのよ」


 「ちょっと待つのよ!」



 テーブルの下で夢見心地だったビスケットちゃんが、スクッと立ち上がり、リリーちゃんを払いのけて私の目の前に急接近する。



 「私もパンケーキ様に会いたい!」


 「ビスケットちゃん、近すぎるわ。少し離れてよ」



 ビスケットちゃんは興奮しすぎて、私のおでこにくっつくくらいに接近していた。



 「パンケーキ様に会いたいの!会いたいの!」


 「ビスケットちゃん。落ち着いて!パンケーキもたくさん作ってあげるから、私から離れておとなしく椅子に座って待っていてちょうだい。あまりうるさいとパンケーキ様に嫌われるわよ」


 「ごめんなさいパンケーキ様。おとなしくしますので怒らないでください」



 ビスケットちゃんは、テーブルの椅子にちょこんと座っておとなしくなる。それを見たリリーちゃんも椅子に座る。



 「私もおとなしく待っています」



 2人はパンケーキが焼き上がるまで一言もしゃべらずにおとなしく待っているのであった。

 



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