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ばけもの子供の物語

廃村と火の化け物と子供達

作者: リィズ・ブランディシュカ



 人のいない村。


 今は誰も住んでいない場所。


 そんな廃村に人が迷い込んだ。


 それは、小さな山に遊びに出かけた子供達だった。


 しかし山の中で道に通った子供たちは、とある村にたどり着き驚く。


 人の住まない廃村に。


 そこには、巨大な何かが燃えたような跡が、あちこちにあった。






 村には、たくさんの飾りつけがしてあった。


 そして食べ物や飲み物が散乱していた。


 その状況はまるで、祭りの最中に何かがあり、村が空っぽになってしまったかのようだった。


 人がいなくなってすぐのように見えたが、そこは実際には十数年前に廃村になった場所だった。


 祖父から村の存在を聞かされていた一人の子供が、他の子供達にそう説明する。


 子供達は不気味に思い、村から出ていこうと考えた。


 しかし、村の周囲は、いつしか濃い霧が発生していた。


 危険だと判断した子供達は、その村にとどまらざるをえなかった。






 村の中、集会所のようなところに集まる子供達。


 不安を紛らわせるために、持っていた食べ物を口にしながら雑談をしていた。


 そんな中、子供の一人が声を発した。


 建物の外から音がすると。


 その子供は様子を見に建物を出ていったが、一向に戻ってくる気配がなかった。


 建物の中にいた者達は、心配して外へ出ていく。


 不安な心持ちの者と、楽観している者が半分くらいの割合だった。


 向かった先では、焦げた臭いがしていた。


 すると、玄関に何かが燃えた後が残されていた。


 子供の姿はどこにもない。






 子供達は危機感を覚えた。


 そしておのおのが、消えた子供を探し始める。


 しかしその子供がが見つかることはなかった。


 それどころか、探し回っている子供達も一人ずついなくなっていた。






 とある子供は、倉庫の中で。


 またある子供は、小さな公園の跡地で。


 そのまたある子供は、何の変哲もない道の上で、消えていなくなった。


 代わりにその場所には、何かが燃えたような跡だけが残っていた。







 それらの現場を確かめた最後の一人。


 残った子供は、恐ろしくなった。


 この廃村には、何か恐ろしいものがいるに違いない、と考えた。


 その証拠に、見つかるのは燃え跡ばかりで、住人も他の子供達も全く見当たらない。


 だから、霧が満ちるのもかまわず村から出ていく事にした。


 真っ白な霧に包まれながら進んでいく一人の子供。


 終わりがやってくるまで、長い時間がかかった。


 何時間もさまよった子供は、霧が晴れる気配を感じて喜んだ。


 しかし、鮮明になる視界の中、目の前にあったのは、あの不気味な廃村だった。


 絶望と疲労で膝を落とす子供は見た。


 体が燃えている巨大な蛇の姿を。


 それが最後の景色だった。



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