9 乙女のお茶会
カーティスは翌日にはアマンダの所に行き、お茶会を中座したことを謝罪した。
アマンダも反省していると答え、人の悪口は慎むようにすると言った。
それを聞いたエディスは、何とか二人の関係が修復できたことにほっと胸をなでおろした。
次のお茶会で、アマンダはカーティスとのお茶会の後、エディスと話をしたいと申し出た。
カーティスに後で一人で帰ると伝え、アマンダの侍女も交えて話を聞いた。もちろん、持参した王家の最高級のお茶を遠慮なく入れて。
前回のお茶会の後、王城で会ったアマンダにカーティスとエイミーの関係は心配しなくてもよさそうだと伝えてあった。
「エイミー様との関係はまだ疑わしいながらも、あなたが言う通り、思ったほど近しい仲でもないようね」
アマンダはアマンダなりに冷静に今の状況を分析しようとしているようだった。これまでのアマンダから見ればずいぶん様変わりし、カーティスとの関係を何とかしようという本気が感じられた。
「でも、今日のお茶会でも私が話をしないとほとんど会話がなくて、場が持たないの。今まで自分だけが話をしていて、殿下はほとんどお話しされてなかったことに気が付いて、やはり殿下は私なんて…」
そこはコメントが難しいところだ。実際、カーティスはあまりアマンダを好ましくは思っていない。かと言って、今それを本人に言うのは酷だ。
エディス自身恋愛の経験はなく、人様に偉そうにアドバイスできる立場ではないが、懸命に頭を巡らせた。
「まずは、男女問わず、殿下がお好きそうな人はどんな人か、観察してみてはどうでしょう。そしていいところを自分に取り入れてみるんです。それでいて自分をなくさない、ってところでしょうか」
「自分をなくさない?」
「…だって、真似しても二番煎じでは決して一番にはなれないでしょう? あくまで主役はアマンダ様ですから」
「主役は私…」
その言葉にアマンダは照れたように微笑んだ。その笑顔は年齢に合ったかわいらしさを持ち、カーティスに見せられたら少しは評価が上がるのではないかと思えた。
まだまだ可能性はある。エディスはアマンダの成長に期待した。
その後も月一度の定例のお茶会では第二部乙女のお茶会が開催され、ここではアマンダを励まし、侍女目線ながら遠慮なくアドバイスを行った。エディスにつられたのか、アマンダの侍女達も意見を言うようになった。エイミーの他にも王子であるカーティスに色目を使う令嬢たちはいるようで、その対策も立てられ、時に一緒に怒り、笑いながら、気が付けば王子とのお茶会以上の盛り上がりを見せていた。