15 誕生日
その年の誕生日は食後に珍しい氷菓子が出た。父王からの差し入れだった。
クレアが喜んでいたが、三杯目のおかわりをおなかを壊すからとカーティスが止めると、怒って泣いてしまった。
後からクレアがカーティスの部屋を訪ねて来て、
「言い忘れてた。おにいさま、お誕生日おめでとう。べぇーだっ!」
とだけ言って自分の部屋に帰って行った。まだ怒ってはいるようだったが、その様子が面白くて全て許すことにした。
机の上には何もなかった。期待外れだったことにがっかりしながらベッドに行くと、枕の上に
お誕生日、それは事件です
と書かれたカードが乗っていた。
場所を変えただけでずいぶん驚かされたことに、やられたな、と思った。
ふと見ると、カードの裏には「本棚 II ←」と書かれていた。
本棚に行き、上から二段目、一番左に見慣れないバインダーが置いてあった。
開くとずいぶん古い新聞が挟まっていた。
自分が生まれたことを伝える当日の新聞の号外。そしてその翌日には、王子が生まれたことを知らせる記事が載っていた。
その年のエディスの誕生日には、花をあえて新聞で包み、部屋に置いてもらった。




