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体力よりセンスの問題

次の日からは地獄のような日々だった。

早朝からクラウドに無理やり起され、宿舎の窓拭きから始まり床掃除、モップ掛け、洗濯まで校舎のような宿舎を掃除して回った。

一日で終わるかと思っていたが、このルーティンが二週間続いたのだ。


三日目で元々の先生であるアルフレードに苦情を入れたが「その内慣れる」と言われ取り付く暇もなかった。

四日目で脱走を試みたが、すぐにクラウドに見つかりペナルティとして、クラウドの部屋掃除が追加された。

五日目でクラウドにキレてみたが、ぐぅの根も出ない程に言い負かされた。

六日目には宿舎にいる騎士達に憐れみの表情で「逆らわない方がいい」「ある意味団長よりヤバい」などと忠告された。

七日目、このまま黙ってる桜依様ではない。

何とかしてクラウドにギャフンと言わせたい私は宿舎に色々な(トラップ)を仕掛けた。

落とし穴からくくり罠、扉を開けたと同時に水が放たれると言う物まで様々なものを仕込んだ。

結果は惨敗。流石は副団長、反射神経が素晴らしい。

──で、当然後始末は私の仕事。ただ仕事を増やしただけだったってオチ。

更に衝撃だったのは、この掃除期間は一週間と言う事だったらしいのだが、私がいらん事をしてしまったので追加で一週間延長されたのだ。


ようやく開放された二週間目の今日、杖爺が私を見るなり『だいぶ体力が付いたようじゃの』なんて言っていたから、あの鬼のような所業は間違っていなかったと何となく報われた。


と言うか、アルフレードよりもクラウドに鍛えられた様な気がするんだが……


『さて、じゃあ次の課程に移るとするかの』

「えぇ~?まだあるの?」

『当たり前じゃ!!簡単に儂を使いこなせると思ったら大間違いじゃ!!』

「マジか……」


杖爺のその言葉に聖女を辞退したくなってきた。

まあ、でも乗りかかった船だし、聖女にならないと魔王(あの人)にも会えないもんね。


「よしっ!!じゃあ、次、こい!!」


やる気が失せる前に次に取り掛かろうと、杖爺を急かした。


『次は、お主の体に魔力を微量注ぎ、簡単な魔法を覚えながら、魔力の使い方のコツを覚えるのじゃ』


遂に魔法を使う時が来たと思ったら、期待に胸が膨らんだ。

魔法という非科学的なものとは無縁な世界にいた私は魔法を使える事に若干興奮している。


そんな私をよそに杖爺が淡く光出した。

その光は私と杖爺を包み込み、暫くするとスゥと消えた。


「え?今ので終わり?」

『阿呆、微量だと言ったはずじゃ。まずはお主の体に魔力を馴染ませるのが先じゃ』


杖爺曰く、魔力がない体に魔力を大量に注ぐのは危険らしい。

下手をすれば死ぬと言われてしまった。

そこまで言われれば、大人しく従うしかない。


『どれ、まずは風でもおこしてみぃ』


正直、私の体の中に本当に魔力が入ったのかどうなのか半信半疑だが、杖爺がやれと言うやなやってみよう。


『風が吹き抜けるイメージを思い浮かべてみよ』


そう言われたから、草原を吹き抜ける風を思い浮かべた。

すると、フヨ~と風?が吹いた気がした。


(イメージが悪かったのか?)


そう思って次は、巨大扇風機をイメージした。

すると、ゴオオと突如部屋の中に竜巻のような風の渦が出来た。


「へぇ~、扇風機ってこういう感じになるの」

『ど阿呆!!儂は()を起こせと言うたのじゃ!!誰が部屋に竜巻を作れと申した!!』


相変わらず表情は分からないけど、物凄い剣幕で言われた。

それと同時に『イメージを解け!!』といわれたが、目の前の竜巻を見ているとむしろイメージが膨らむと言うか……


そんな時、私の部屋のドアが勢いよく開かれた。


「何をして───!!!」


どうも、騒ぎを聞き付けたアルフレードが駆けつけて来たらしい。

そして、目の前の光景を見て絶句している。


既に部屋の中は荒れ放題で、今にも部屋の外に出て行きそうな勢いで竜巻は暴れまくっている。


「何をしている!!早く解術しろ!!」


アルフレードは強風に腕で顔を隠しながら叫んだ。

しかしだ、こんな状況にも関わらず、私は目の前の竜巻を見てあろう事か()()()()()()を浮かべてしまった。


(……洗濯機……?)


その瞬間竜巻の威力が増し、その場にいた人や物を手当り次第巻き込んでいった。


「きゃーーーーー!!!」

「うわぁぁぁぁ!!!」


一瞬で阿鼻叫喚。

そんな中でも私は冷静に分析していた。


(なるほど……洗濯機はこんな感じになるんだ。じゃあ、乾燥機──)


そこまで考えたところで、頭に衝撃が走り今まで考えていたものが消えた。

そこでようやく竜巻も消え、目の前には鬼の形相のアルフレードと杖爺……


「お前は何を考えている!!城を破壊する気か!?」

『お主は馬鹿なのか!?誰がこの様な想像をしろと言うた!?そこの小僧がお主を止めなければどうなっていたか分かるのか!?』


同時に説教されても私は聖徳太子じゃないから聞き取れないが、どうやら王子が私の頭を殴って止めてくれらしい事は分かった。


巻き込まれた人達は足元がおぼつかないが、無事のようで安心した。

無関係の人に怪我をおわせたとなれば流石の私でも罪悪感に苛まれる。


「聞いてるのか!?」

「──っ痛!!!」


私が無反応なのにイラついた王子が再び私の頭に拳骨を落としてきた。


「ちょっと!!私一応聖女なんだけど!?」

「こんな無茶苦茶な聖女がいてたまるか!!」

『その小僧の言う通りじゃ』

「杖殿も大変でしょう」

『小僧、分かってくれるか?』

「えぇ、こんなにも出来の悪い聖女を相手にしなければいけない杖殿に同情致します」


「………………」


あれ?この二人、会話してる?

気の所為じゃなきゃ会話が成り立っているように聞こえるのだが……


「えっと~、お取り込み中申し訳ないんだけど……」

「なんだ?」

『なんじゃ?』

「いや、二人とも普通に会話してなくない?」


「……………あ」

『……………あ』









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