第二話 ユニークと親友とマジェスティ
どうも、二話目です。
この作品は週1投稿を目標としています。
大体週末にあげますので、読んで頂けると幸いです。
「助けてくれ!」
「言われなくとも!」
やはり宗虎は頼もしい!
「いくぜ?このくそ竜!」
宗虎は”沙羅双樹”に杖を向け詠唱を始めた。
「我に宿りし悪魔よ、願いを叶えろ、罪を以て、償いをす、律令は保たれり!罪法”強欲”【マジェスティエンハンス】!」
宗虎が放った罪法によって俺の身にも力が沸き上がる!さらに、宗虎は
「炎よ、紅蓮よ、灼熱よ、我の目前の敵を焼き払え!【獄炎螺旋】!」
炎の渦が”沙羅双樹”に向かってうなりを上げる。俺が喰らったら跡形も残らないだろう。だが、”沙羅双樹”は
<ギャォォォォォ!>
たった一回の咆哮で打ち消してしまった。
「っち!やっぱり効かねぇか!」
だが、この時には俺は動けるようになった。
「逃げよう!」
「バカ言うな!どこに逃げる!あいつは空を飛ぶことが出来るに加え、何故か町にも侵入できるんだ。」
なにぃ?まじかよ!
「なるほどな、町に逃げたら被害が拡大するのか…」
「そうゆう事だ、来るぞ!」
<ギュォォォォォォ!>
突っ込んでくる!
「空歩!」
「強欲よ!我が願いを叶えろ!」
俺は空歩で空に逃げ、宗虎は罪法で避けることに成功した。”沙羅双樹”は俺をターゲットにしたみたいだな。
「足場!ジャンプ!空歩!」
宗虎がびっくりしたような顔で
「お前、何で空飛べてんの!?」
「後で説明するから、早くヘイト変えて!」
「了解!10秒頼む。」
「わかった!ってあぶねぇ!【空歩】!」
”沙羅双樹”が突っ込んできやがった!
「風よ、疾風よ、我が目前の敵を薙ぎ払え!【疾風連斬】!」
何枚もの風の刃が”沙羅双樹”に向かって行く。
俺を狙っていた”沙羅双樹”は回避ができずもろに魔法をくらった。
<ギャオォォォォォォォォォ!>
魔法をくらい少しひるんだ”沙羅双樹”は狙いを俺から宗虎に変え、体をうならせながら突撃しに行った。
「龍、これでどうよ!」
「ナイス!このまま引き付けておいて!」
「了解!」
俺はこのまま上へ上へ高度を上げてゆく。
「このまま引き付けておいてくれよ?宗虎。」
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「クソ、アイツも無茶言いやがる!」
”沙羅双樹”は俺に対し、大きな口を開けて突っ込んで来ている。
「うなれ!水の竜よ!濁流と成りて、我が目前の敵を押し流せ!【水龍極流】!」
杖が光り、水の竜が”沙羅双樹”に突っ込んでゆく。だが、
<グウウウウウウォォォォォォォォォォ!>
”沙羅双樹”の咆哮により、【水龍極流】がどんどん小さくなり、やがて消えてしまった。
「っち!やっぱ効かねえか。」
他の魔法を”沙羅双樹”の攻撃を避けながら放つがやはり消えてしまう。
これは”沙羅双樹”のユニークスキルによるものだと考えられている。
このスキルにより、攻撃系のスキルや、Lv8以下の罪法も消えてしまう。
「早く帰ってきやがれ…」
アイツが逃げるわけない、何か策があるはずだ。
”沙羅双樹”のスキル、俺たちは【必衰の檻】と呼んでいるこのスキルが"沙羅双樹”の強さを格付けている。
くそ、また動きが鈍くなった。
この【必衰の檻】はプレイヤーのステータスも下げていると考えられている。
前線職で戦っていたプレイヤーによると、”沙羅双樹”と戦って時間がたつほど動きが鈍くなっていった。
と言っていたことから、そうではないかと考えられている。
この厄介なスキルのせいで俺たち前線組が組んだ”沙羅双樹”討伐隊は全滅してしまった。
俺たちのせいで、あの悲劇が起こってしまったんだ…
「あの時死んでしまったNPCたちの無念を晴らす為にお前をぶっ倒す!」
”沙羅双樹”の攻撃をスキルで避け、罪法を放つ。
「我に宿る悪魔よ!我が願いを叶えろ!罪を以て、償いをす、律令は保たれり!罪法”強欲”!【エンド・オブ・グリード】!」
俺のHPとMPがガッツリと減る。
【エンド・オブ・グリード】強欲Lv10で使えるようになる最強の技。
だが、”償い”…罪法のデメリットが重く、最大HP、MPを90%減、全ステータス50%減する、まさに全身全霊の必殺技。
橙色に光る波動が”沙羅双樹”に襲いかかる。
なぜかスキルを使わず、”沙羅双樹”は避けようとするが、動いていない。いや、”動けない”のだ。
「どうだ?回避不可能の一撃は?強欲Lv10で解放される大技だ。喰らいやがれ!」
”沙羅双樹”に【エンド・オブ・グリード】が直撃する。
回避不可能の攻撃に、【マジェスティエンハンス】による攻撃力の増大、ダメージは少なく無く、”沙羅双樹”が大きくひるんだ所に、
「くらいやがれぇぇぇぇぇぇぇ!」
と、上から声が聞こえ、謎の光がぶつかる。
辺りに轟音が鳴り響き、土煙が舞う。そこから人が叫びながら飛んでくる。
「うわあああぁぁぁぁ!」
不意に飛んできたそれに反応できず、ぶつかってしまう。
飛んできたそいつに軽口を叩く。
「いってぇな、龍。こちとらHPギリギリだぜ?」
「こっちも反動ダメージでリスポーンしそうだぜ。」
そう、飛んできたのは龍だった。
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宗虎に沙羅双樹を託し、俺は上に、まだ上に高度を上げていた。
「アイツも策があるだろう。俺は信じてるぜ。」
俺が今出せる最高火力は高い所から打てば打つほど火力が上がる。
まだ上に、と思っていると
<これ以上高度を上げることは推奨しません。これ以上上に行くとキャラロストの危険性があります。>
という警告文が出た。
「この位でいいか。」
アイツのHP、MPはまだ減らない。
あいつが大技を"沙羅双樹"にぶつけるそのタイミングで
俺も必殺技を放つ。
足場、ジャンプ、空歩を繰り返していると、
突然アイツのHPとMPが一気に減った。
”沙羅双樹”のネームバーは見える。
「今だ!」
俺はスキルの使用をやめ、飛び降りる。そして今の俺が出せる必殺技を放つ。
「ぐおおおぉぉぉぉぉ!【地・断】!」
そう、【地断】だ。
地断は地上モンスターに対するダメージが上がり、そして高い所から発動するとダメージが上がるという能力だ。
だからこそ、この【足場】と【空歩】での空中浮遊コンボで高度を上げ、最高火力の地断をぶつける。
これが今の俺が成せる必殺技だ!
三回目のとてつもないGが掛かる。
だが、今度は気絶しない!
たおれているアイツと、”沙羅双樹”が見えてくる。
「くらいやがれぇぇぇぇぇぇぇ!」
”沙羅双樹”を大剣と一緒に地面にたたきつける。
土煙が舞い上がり、俺は吹き飛ばされる。
「うわあああぁぁぁぁ!」
そのままアイツにぶつかった。
ぶつかったそいつに軽口を叩かれる。
「いってぇな、龍。こちとらHPギリギリだぜ?」
それに対し、こっちも返す。
「こっちも反動ダメージでリスポーンしそうだぜ。」
そう、ぶつかったのは宗虎だった。
そんな軽口を叩いていると土煙が消える。
今の2人が出せる全力の火力、あの”沙羅双樹”といえどもただでは済まないはずだ。
そう思っていたが、
≪ふむ、まさかここまでとはな。この我でも予測ができなかったわ。≫
「な…に?」
「”沙羅双樹”が喋った、だ…と?」
そう、”沙羅双樹”が喋ったのだ。
だがあの美しい鱗は一部剥がれ、融解を始めている。角も一本折れていて、体も所々焦げており、まさに満身創痍だろう。
≪貴様らに話す言葉はなかったが、ここまで我を追い詰めた褒美だ、我が奥義で葬ってやろう。≫
”沙羅双樹”が飛び、渦を巻き始める。回転はドンドン速くなり、風が巻き始める。
≪さらば、我が認めし罪人よ!【アブソリュートエンド】ォォォォォ!≫
旋風が吹きすさむ、光速の旋風と雷が俺たちに向かってくる。まさに絶望、終わりを告げる轟音が近づいてくる。
”沙羅双樹”が満身創痍なら俺たちは死にかけの病人だ。
回避はできない。旋風に切り刻まれ、雷に焼かれた。
初死はユニークモンスターの奥義にやられたという類を見ないだろう死に方だった。
ドウモ=ドクシャサン
今回は”AGI”について解説します。
これはアジリティの略で、この作品では素早さを意味します。
歩く速さや、走るスピードなど、速度に影響をもたらします。
大剣使いでも、このAGIを上げればシーフや、軽剣士と同じぐらい速く走れます。
ちなみになんですが、ジョブの○○使い系の前衛戦闘初期職はステータスに補正がかからず、スキルが手に入ります。斧使いなら斧術、剣使いなら、剣術が手に入ります。
魔法職は、火、水、風、土の中から選ぶことができ、基本的には罪法が司る属性以外を選ぶそうです。