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罪と幻想の物語-クライムオンライン  作者: 蒼天癸亥
第一章 強者必衰の理を表す竜
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変異と怒りと最強と 6

<く、くくくく、はぁはっはっはぁ!まさかコイツを使うことになるとはなぁ…”Re:boot、古代装備(アーティファクト)、特異戦技【不完全の輪廻蛇(デミ・ウロボロス)】!>


【不完全の輪廻蛇】というスキルを使うと狼の体が変わって行く。

体の表面にグレーの鱗が浮き出て来て、目は爬虫類の目になって行く。


最後の強化スキルだろう、不完全の輪廻蛇か…


<「ウロボロス…これは嫌な予感がしますねぇ…」>


「自分の尾を喰うデカい蛇だっけか?こっわ…」


「古代装備…!あいつも持ってたのか!」


<さぁ、お話は終わりだ!我らが敵よ、滅せよ!【光循環】!>


「光循環…?」


<終わりだ…【魂嵐撃】>


来る!と、思ったが狼は動かない。


<「来ない…?えっ!?メアリーさん左!左にぶっ放して!」>


「ん!?りょ、了解!」


ソルトさんの指示通りにメアリーさんがぶっ放す。


<「ドラさんは【魔断】を!T-Gさんは【魔力探知】を!」>


「わ、わかった!【魔力探知】!?」


「了解!【魔断】!?」


「「ま、魔力の塊が動いてる!?」」


<「精霊さんが教えてくれたんです。狼が動いてるって。多分ですが、光循環は光の動きを操ることができる能力だと思います。」>


「な、なるほど…光速が遅くなったってことか?」


<「たぶんそうだと思います。そのせいで目に光が来るのが遅れ、狼や皆さんが動いていないように見えるのでしょう。さぁ、来ますよ!」>


<甘い、【魂雷斬】>


「やばい!ドラさん避けて下さい!」


「なっ!?【魔断】!」


「馬鹿!逃げろ!」


この時の俺はどうかしていたと思う、レベル差は50ほど、それなのに受け止めに行く、戦犯と言われても仕方ない行動をした。

だが、結果的には良かったのかもしれない。今に関しても、将来的にも…


話を戻そう、受け止めに行った俺はもちろん受け止め切れるわけもなく、


「ぐぁ!?」


武器はぽっきりと折れ、吹き飛ばされる。


みんなは動いてなくて、狼も動いていない、そんな風に見える。

ああ、なんと無情な。光とは、輪廻蛇(ウロボロス)とは。


「ドラ―――!」


その不気味で、変に幻想的なその光景が俺が最後に見た光景だった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


<おい、おい起きろ!>


「ん…?誰だ?」


俺は確か…狼に吹っ飛ばされてそのまま…


辺りを見渡すと真っ暗な世界で、目の前には悪魔らしき角が生え、肌の色が青い生物がいた。


<俺は悪魔だ、階級は中級悪魔。>


やはり悪魔らしい。


「悪魔って、罪法の…?」


<そうだ、だが今お前と仮契約している悪魔とは別だけどな。>


「そ、そうなのか。」


あ、頭の処理が追い付かない…仮契約とは何だ…?


<今回、貴様に良い提案がある。それは俺様と契約する権利をやろう。>


上から目線だが、結構魅力的な提案だ。


「ほぉ…それをして俺にメリットは?」


<強力なスキルや、新たな罪法が手に入る。>


強力なスキル!それに罪法か、これは…


「アイツに勝てるのか…?」


<アイツってのが沙羅双樹の野郎か、あの馬鹿野郎かどっちかは知らないが、勝てるだろうな。」


「お前のメリットは?」


<輝く魂と規約ができる。>


「はぁ!?」


<俺たち悪魔は輝く魂と契約するのがステータスなんだ。不思議だろう?貴様の魂の輝きは上級悪魔でさえのどから手が伸びるほど欲しがるだろう。>


「な、なるほど…」


<さぁ!どうする?俺と契約してアイツに勝つか!それともこのチャンスを蹴って負けるか!どっちだ!」


負けたくはない…!


「く…わかった、契約しよう。」


「賢い判断だ、では契約しよう。」


悪魔と俺を囲うように炎のサークルが現れる。

目の前に契約用のフレーズが書かれたウィンドウが現れる。ここらへんがこの世界がゲームなんだなと感じる。


「我は誓う、新たなる力をここに。そして魂をかの物に。」


「俺様は誓う、この者の魂をここに。そして力をかの物に。」


「「今、代償と褒美はそろった、律令は保たれ、我らは新たなる者へと昇華する!connect!」」


「汝が名はメフィスト!」


「貴様の力が名は【魂魔融合】!」


「「これにて契約は契られた!我らは一蓮托生なり!」」


≪【魂魔融合】、罪法【破壊】を取得しました!罪法【憤怒】が消滅しました!中級悪魔、固有名”メフィスト”と契約しました!≫


「ほぉ…メフィストか、良い名ではないか。」


「【魂魔融合】か…、強そうだ!」


「では戻ろうか、我が主?」


「だな、我が従僕よ。」


黒い世界が崩れて行く、光が入り込み、視界が包まれていく。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












「おい!おい!大丈夫か⁉」


「っち、スタンか、HPも下がってる、回復薬を!早くしやがれ!」


「ん…」


「起きたか!大丈夫か?」


ここには誰もいないようにみえるが、声からメアリーさんとT-Gがここにいるのはわかる。


「ああ、もう大丈夫だ、2人がいるのはなんとなくわかるよ。」


「今はソルトが戦ってくれている。もう大丈夫そうなら俺は前線に戻る。」


「ああ、俺も戻る。」


「大丈夫なのか!?」


「安心しろ、お前らがここにはいないし、あのオオカミは動いていない。そんな風に見える。だが、安心してくれ。」


「武器は!?」


俺は手元を見る。持っているのは、剣身が中央から折れている大剣だ。


「ああ、大丈夫、大丈夫だ。もう行くぜ?ありがとうなT-G。」


「っく…分かった、行って来い。だが、一つ伝えたいことがある。」


「なんだ?」


「古代装備の特異戦技は代償としてHPを常時減らすはずだ。だが、あいつは自動回復も持っていることから一気にとは言わないが、ある程度のダメージを与えながら戦いな。」


なぜ、T-Gがそれを知っているんだ?疑問に思ったが、野暮なことは聞かない。


「ありがとう、分かったよ。【覚醒】」


俺は覚悟する。そして決意する。我らが魂を混ぜることを。


「行くぜ!メフィスト!」


そういうと影から声が聞こえた。


「了解だ、我が主!」


「「我らが魂を一つに!強大な敵を撃ち倒さん!【魂魔融合】!」」


俺の胸が光り、影から悪魔の形をした何かが光っている所に入り込む。


肌の色は青くなり、白目の部分が黒くなる。オッドアイの目立つ部分が反転し、角が生え、羽も生える。爪や牙が伸び、おおよそ人には見えない。


だが俺は、メフィストの力を借り、強くなった!


「「さぁ、我らのお通りだ。死にたい奴から前に出な!」」


「ん…?突然どうした?」


<「なんですかあの姿はぁ!まるで悪魔ですねぇ!【魂精斬り】!」>


精霊が教えてくれたのだろう、ソルトさんが剣劇を使う。


「「悪魔だよ、一応はな。罪法【破壊闘気】」」


罪法を使い、闘気を纏う。


「「見えてんだよ、”魔装”【願無】魔闘技【破理壊世】」」


格闘系スキル、【魔闘技】悪魔界ではメジャーな格闘技。


日本でいう所の空手だ。


そして、魔装は契約した悪魔の能力を武器や鎧にしたものらしい。


メフィストの魔装は軽装備に小手、あとかぎ爪に付ける装備だ。


黒と紫のコントラストが綺麗で、芸術品と言われても納得がいく。


さて、話を戻そうか。


”見えている”狼の顔面を殴り飛ばす!


<ぐおおおおおお!?なぜ見えている!?ここら辺一帯の光速を落としたのにぃ!?>


「「っは!覇気が駄々洩れだぜ?せめてそのオーラを抑えないとなぁ?」」


<まさか…魂とスキルのせいでバレるとはな…>


今まで動かなかった視界が突然戻り始める。


「ん!?そこにいたのか!今までソルトに教えてもらってたが、ようやく見えるようになったぜ!ってなんだその姿は!?」


<何故だ?なぜ貴様はこの【不完全な輪廻蛇】の力を打ち破れた…?>


「「そんなの簡単だろ…?」」


理解ができないような顔をしている狼に教えてやる。


「「不完全に完全な俺たちが負けるわけないだろ?」」


<く、くくくくくはぁはははは!そうか、我はそんな理由で切り札を…!>


もう狼の息は途切れ途切れ、肩で息をしている状況だ。

正に意地だけで立っている状況だ。


「「まぁ、実際の所は魂と破壊闘気のおかげだろうなぁ。」」


<く、くくくく!まだだ!まだ我は戦える!主の前で誓ったのだ!負けるわけにはいかぬ!【魂雷嵐王臨撃】!>


「「そうだな、いくぞ?馬鹿野郎!【魔闘乱刃】!」」


<「終わりを奏でましょう!【五精終演乱舞】!」>


「我が神の前にひれ伏せ!【汝、死を謳え(メメント・モリ)】!」

「俺も最後はな!全魔力をここに!【覇龍魔王弾】!」


狼の刀にはまさに、全身全霊。彼の魂の輝きが、人生が乗っている。


まず、紫色のエフェクトを纏った俺の【魔闘乱刃】が刀とぶつかり合う。


俺が刀を受けている間にソルトさんが右から五色の二刀【五精終演乱舞】、メアリーさんが左からを【汝、死を謳え(メメント・モリ)】を叩きこみ、

最後にT-Gの【覇龍魔王弾】が襲う。


<は、ははははっはあははははぁ!貴様らとの戦いは楽しかったぞぉ!だが、最後にそこの神徒は持っていくぞ!>


と、狼は刀をメアリーさんに向かって投げる。


「させるかよ!【セイクリットドーム】!」


だが、セイクリットドームにより、狼の最後の抵抗は弾かれる。


<ああ、無念なり…>


【覇龍魔王弾】が狼に直撃する。あたりに轟音が鳴り響く。

土煙が舞い、仕留めたかどうかがわからない。


「やったか!?」


「馬鹿!それを言うな!」


<ぬ…まさか生きているとはな…>


「ほら!とどめを…!」


<まぁまて、俺はもうじき死ぬ。遺言というか、少し話し相手になってくれ。>


「「いいだろう。」」


<助かる。では一つ問う。”本当の死”とは何だと思う?>


<「哲学的ですねぇ…」>


「「シンプルに心臓が止まったらじゃないのか?」」


<「私にはわかりませんねぇ…”死”という定義が広いですから…」>


「俺はドラに同意するぜ。死とは命がなくなったら。ゴーストなんて生きているとは言えねぇからな。」


「俺はわからないな…」


<我は忘れられたらと思っている…>

と、狼は悲壮な顔をする


<我は怖いのだよ、忘れられるのが。幽霊となって早数百年。仲間を殺し、人を殺し、有る時にはドラゴンをも殺した。そしていつの間にかここまでになっていた。とある時には神となり、とある時には悪魔と呼ばれた。これも忘れられたくないからであったのだろうな。>


狼は懐かしむ、数百年の旅路を。終わりがないと思われた旅路を。


<ふふふ、もう眠くなってきてしまったな。>


「「そうか…」」


<では最後に、我を忘れないでくれ。そして悪魔使い、御前にこの刀をやろう。我が主と同じ力が使えるお主なら我以上に使いこなせるだろう。>


「「ありがとう…」」


<ではさらば、いざ行かん。>


≪ボスモンスター バイホーンサムライゴーストシャドーウルフを討伐しました。報酬はアイテムボックスに貢献度により振り分けられます。≫


≪レベルが上がりました。スキルレベルが上がりました。二つ名【不完全を破りし者】【ジャイアントキリング】【武者を打ち倒しし者】【悪魔と契約せし者】を取得しました。ジョブ大剣使いがレベルマックスになりました。武器が破損しました。

アイテム”折れた大剣下””折れた大剣上”を手に入れました。鍛冶屋ジョブ、または鍛冶屋により修復が可能です。≫


≪【魂魔融合】が切れました。【覚醒】が切れました。ゲーム内で一日の間デメリットが付与されます。≫


「勝てたが…、後味が少し悪いな。」


とりあえずは…一息付けそうだ。


ドウモ=ドクシャサン


今回は古代装備について解説します。


この古代装備、神魔大戦のさらに前に創られた装備の事を指します。

強力なスキル特異戦技が付いているが、どれもデメリットが大きい。

【不完全の輪廻蛇】やその他にも色々あります。

すでに古代装備を持っているプレイヤ―もいるらしいですよ?


因みに、【不完全の輪廻蛇】は防御に欠け、光をも破壊できるスキルが有れば簡単に壊せます。

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