第九話 影と不意打ちと癒しと
さて、ドラ君に花を持たせてあげたいところですが、流石に量が多い。
大体30匹ぐらいでしょうかね。
「ふむ、【神風】。」
自分の速さを上げるスキル【神風】を使い、狼の足を超える。
「ははは!遅いですねぇ。」
<キャイン!>
<ワオン!>
私が剣を振るたびに、狼はアイテムに変わってゆく。
<ワオオオオン!>
また遠吠えが響く。
「ちっ!めんどくさいですねぇ。」
遠吠えをした狼を切り裂き、考える。
にしても遠吠えがが多いですねぇ、なぁんかおかしいですねぇ。
普通は一回なんですよねぇ、それなのに二回目ときましたか…
「ちょっとペース高めますよぉ!【一番星】!」
【一番星】、それはさらに速さを上げるスキル、【神風】と組み合わせて使うとまさに車の様な速さとなる。
「ははははは!楽しい!楽しいですよぉ!」
私のパッシブスキル、【狂乱の道化】は敵を倒すたびにステータスが上がり、興奮度が上がる。
興奮度はいわゆるアドレナリン、そして敵を倒せば倒すほど強くなる。
まさに狂乱!私にぴったりのスキルです!
<キャイン!>
また一匹切り伏せたとき、その死体が、いや、死体の影が伸びる。そこから狼が飛び出て来る。
「なにっ!?」
肩を切り裂かれる。
「くう!」
出てきた狼を切り倒す。
「なんだと…シャドーウルフはここまで知能は高くない。それなのにスキルを使って味方をおとりにする、そんな作戦を取れるわけがない!」
嫌な予感がしますねぇ…ドラ君は大丈夫でしょうか…?
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「くぅ!」
狼が噛みついてきたので切り裂き、体制を整える。
「多い、ヤバい…」
今まで大体5匹ぐらいは倒したはず…
だけど数が減らねぇ!全く減らない!
「だぁ!もうわらわらと出て来やがって!」
やばい、体力が半分切った…
「ちっ!」
アイテムボックスからポーションを取り出し、自分に振りかける。
「スゲェ回復するな、流石聖女印のポーション!」
剣を構えなおし、狼達との間合いを開けようとするがそれを許すわけもなく、5体の群れに一気に詰められる。
「【魔断】!」
そこを一気に【魔断】でカウンターを喰らわせる。
<<<<キャイン!>>>>
<バゥ!>
「ちっ!一匹取り逃したか…」
狼が後ろに回ってきたので振り向くと、
<<<<ガゥ!>>>>
「がぁ!くそ、何が起こった…?」
狼たちの死体がアイテムにならずに残っている、そして影が伸びてる。
「何だこりゃ…?」
体力が三分の一以下までに減る。
「畜生が…!」
再びポーションをかけようとすると、狼たちが襲ってくる。それを迎撃しようとするが、防戦一方になり少ない体力がさらに減る。
「もう無理か…?」
諦めかけたその時、
「神よ!彼に癒しを!【ヒール】!
体力が瞬く間に回復する。メアリーさんが回復してくれたようだ!
「ありがとうございます!」
「よそ見しないで!アシストはするから、諦めないで!」
「わかりました!」
狼たちを切り倒し、新たな敵に構える。
「さぁ!まだまだ行くぜ?かかってこいやぁ!」
ドウモ=ドクシャサン
今回は【癒し】について説明するよ
聖女ちゃんの使う【癒し】
これは神に祈ることで力を借りる能力。
悪魔に祈り力を借りる【罪法】との反対の力
因みにただ祈るだけではダメで、ちゃんと神の名前を思い浮かべながら祈らなくてはいけない。
だが、神の名前は普通にプレイしていては手に入らない、どうやって聖女ちゃんは知ったんでしょうね?