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petal 5

※作品はアルファポリス様、ツギクル様、note様にも掲載しています

 帰ろうとしたらタイミング悪く、大金持ちの子供で、運命の人要素ゼロだと確信した人が帰ってきたようだ、誰だっけ? アユ、マキ、そうだキメラだったか。


「キメラ?」


「はっ? キメラ? アキラだよっ! お前、この手ってまさか、おいっ! ヒカル! またお前ボスを放していたんだろう! どうするんだっ! ヒトミが怪我したじゃないか! 」


「ヘッヘーン!」


「この馬鹿っ!」


 うん、知ってるよ、アキラ、アンタの弟って馬鹿だよねぇ~、んでもアンタも運命の人じゃないからさっ、離してくんないかな? もう家に帰るし……


 明日からまた食パンダッシュに戻るんだからさぁ~!


 そう思っていたら、勝手にアキラが言った。


「心配だからヒトミの家まで送って来る! ちゃんとボスにリード付けておけよぉ! ヒカルぅ! 」


「はいはーい、分かったってーのぉ!」


「じゃ、送って行くよ、ごめんな、ヒトミ」


 なんか送って貰う事になったらしい。

 キメラ、いやアキラは当たり前の様に手を引いて前を歩いて行く。


 最初の日に捨て犬、ボスだっけか? あの狂犬を拾いやがった公園まで手を引いて来たアキラが不意に歩みを止めて、切れ長で大き目なタレ気味の瞳をこちらに向けてなんか言った。


「なあ、ヒトミ…… もしかして心配してくれたのか? 学校、バックレてまで追って来てくれた、って事なんだよな? そうだろう?」


 ん? なんだろうか? ヤケに真摯な瞳でこっちを見ているんだけど……

 でも、アンタは運命の人じゃなかったんだからさっ! そんな顔されたって、んん、むむむむっ!


 ブチュウッ! ヌンヌンヌン、プッハァ!


 キスされちゃった! ええっ? なんで?

 ファーストキック、いいや、ファーストチッス! キスだよぉぅ?


 運命の相手じゃないのに? 何? なんなの? こいつ!

 誰だっけ? ああ、アキラだよね! アキラ?

 ええっ? 何してんのよアンタ! 運命の人じゃないくせにぃ!


「ヒトミの事、好きになっちゃったんだ…… 付き合ってくれないかな?」


 え、ええっ? えええっ! だって、だってぇ! 運命の人じゃないじゃんネェ? んだから答えは決まっていた。


「うん、よろしくね♪」


 あれえぇ? 両目がハートで良く見えなかったけど、長身でクールめなアキラがはにかんでいるのは良く分かったし、自分が喜んじゃってるのも憎らしいけど伝わって来た、ってかこんな幸せなんか、えっと想定外の喜びだったよ、なにこれ? 凄く幸せなんだけどぉ!


 そして、アキラと付き合う事になった。


 翌日、シレっと登校したら、保健医が鬼の形相で向かって来たけど、陰性証明を見せたら大人しく保健室に帰って行った……

 職務に勤勉で頼りがいがあると思った、今の日本では稀有(けう)な保健医では無かろうか?


 手を繋いだまま教室に入って行くと、クラスメイト達がビックりしている姿が目に入ったが、特にトモエは驚き過ぎたらしく、過換気発作を発症して保健室へ運ばれて行くのであった。


 そのまま周囲の目を一切気にせずに隣同士で手を繋ぎ続け、教科書を朗読しながら歩き回る教師が迷惑そうな顔を向けて来ても、二人揃ってふるふる震える振りをして頑なに付き合ってるアピールをすることに成功。


 こうして始まった男女交際は、運命の人かどうかは分からなかったが楽しい時間を刻んで行ったのである。


 付き合いが長くなってくると、アキラの家庭事情にも大分詳しくなってきた。

 父親はやはり有名な歌舞伎俳優の五十嵐(イガラシ)五十介(イソスケ)、通称ゴジュゴジュ、ゴロが良いかどうかはファンの皆さんの自由なので触れないことにするが、まあ大物タレントであった。


 別に母が再婚したとか義父との折り合いがとかいった運命の人要素は無かった。

 人気商売という事で最近まで入籍せずにいただけで、正真正銘、血の繋がった実の父親だそうだ。

 んまあ、事実は母親しか知らないのだが、アキラとお父さんがそれを素直に信じているんなら、まあそれが真実って事でいいだろう。


 兎に角、毎日一緒に登校し、放課後もどちらかの家で過ごし、週末にはあちらこちらでデートを重ねるうちに、出会ってから一年の記念日を迎えた。


 楽しい時間はすぐ過ぎる…… フェルディナンド・マゼランの言葉だったか?

 それを証明するかのように本当にあっという間であった。

 カップラーメンで言えばお湯を注いだ直後の筈なのに、いつの間にか麺がブヨブヨに膨らみ切ってスープが無くなっていたような感覚だろうか。


 ここまでキスこそすれどプラトン的な恋愛を続けて来ていた関係が少し変化を遂げた。

 至極自然に大人の階段を一歩登ったのである。

 初心同士の、若々しく、遠慮気味で、緊張しながら、不慣れな仕草で、遂に肌を重ねたのだぁー。

 甘い声で未来を誓い合い、愛の言葉を交し合った。

 ほんの数日間に過ぎなかったが。


 そこは揃って思春期真っ只中の高校生カップルだから……

 一月もすると只々快楽に身を任せるサル、いいやボノボみたいになってしまったね。

 アキラなんかクールな見た目に反して、学校でも始めようとする始末、止めるのに一苦労だよ。


 好奇心の旺盛さも手伝って、夜の生物学を熱心に勤しんだのだ、特に随意運動が齎す(もたらす)不随意反応についてはかなり詳しい調査が出来た、良かった! あ、これは二つの意味でね♪

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)


拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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