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petal 3

※作品はアルファポリス様、ツギクル様、note様にも掲載しています

 翌日は特段の出来事も無く終えたのであった、あれが来るかなと思っていたがまだもう少し引っ張られるようである。

 若しかして無いパターンだろうか? そんな風に思っていたが、次の日、やっぱり来た、そう例の事件が起こったのである。


「あれぇ? ここに入れていた皆から預かっていたクラス費が、無くなってるぅ! ぬ、盗まれたのかぁ!? い、一体誰がぁ!」


 グッジョブ委員長! 説明ご苦労様である……

 こうなった時に、未だ登校していないアキラが疑われるのは当然の成り行きであろう。


 モブ男に成り下がったはずの浩が軽すぎる口を開く、いいぞ! いけいけ浩! どんと行けっ! であった。


「あいつじゃねぇの? ほれ、あの転校生、アキラだっけぇ? 貧乏人だろ? 盗むとしたらアイツしかいないんじゃないかなぁ?」


 おお、いいね、いいねが付くね! なんと見事なモブ振りでしょう! 彼はやり切ったのである、もう、死んで良いよ! ありがとう、君の事は忘れないよ。

 

 クラス中が騒がしくなった。

 アイツが? そんな決めつけちゃダメだよ! でも他にいなくね? 等々、皆の憶測が飛び交う中。

 この最悪なタイミングで遅刻ギリギリでアキラが教室に入って来たのである。


「え? なんかあったの?」


「あ、アキラっ! べ、別に…… 何にもないよ…… クラス費が無くなっちゃっただけなんだけど…… どこに行ったか知ってる? ねえ、アキラ?」


 いいぞ、委員長! そう聞かれて疑われてないとか思える阿呆は、現代日本には皆無だろうからね!

 案の定、アキラは不機嫌そうに言うのであった。


「は? んなの転校して来たばっかだから知る訳…… はあん、そう言う事か…… な・る・ほ・ど・ねぇ、疑われるのは新参者って事、なんだな…… んじゃ、そうすりゃいいじゃん! お前等なんか、こっちから願い下げだよ! じゃあな!」


 アキラは憮然として教室を出て行ってしまった、委員長! ほれほれ! カバンの中をしっかり探してみそぉ! 早く早く!


 委員長は叫ぶのであった。


「あれえ? 有った有った、そうか、脇のポケットに入れていたんだったぁ! 良かった良かったぁ! あれ? 皆どうしたの? クラス費見つかったよ? なに? 誰か出て行ったみたいだけどぉ、何、なんかあったのぉ?」


 ここだ!

 そう思って目一杯叫ぶ!


「ば、バヵッーァァァ! 証拠も無く人を疑っておいて、何が何が良かったのぉー! 最低っ! 皆、最低だよぉ!」


 そう言って教室を飛び出した耳に、トモエの悲鳴みたいな声が届いた。


「ひ、ヒトミィ!! 待ってぇ! くっ速い!」


 ふっ、毎朝毎朝本気ダッシュで鍛えた抜いたこの足に追いつけるものか、ましてや生物部上がり如きに、お互い様だけど……


 向かう先は保健室だ、激情に任せて授業をバックレるなんて真似は、申し訳ないがゴメン被る!    

 学校という体制に敵対はしないのだ。


「ずびばぜん、熱っぽい気がして体がだるい感じで、味覚と嗅覚に異常があるみたいなんですけど…… 早退していいですか?」


 良いそうだ。

 簡単に許可してくれただけでなく、親切にも塩素系漂白剤を薄めた消毒スプレーを振りかけてもくれた、何故か遠隔散布だったが。


 家では無く、最寄りのPCR検査センターに向かって陰性証明を貰った、これで明日普通に登校しても大丈夫だね。


 さて、じゃあ、目星をつけていた辺りを散策してみるとするか。

 実は何事も起こらなかった昨日の下校時に、アキラを尾行した事で大体の自宅の位置は把握済みだったのだよ。

 住宅地を抜けた先の何れかの家だね、何軒か一戸建てが立っていた筈だったけど、まあ、一番質素な家だろうと思う、簡単に見つけられそうだ。


 フンフンフン、鼻歌と共に探していたがおかしいね?

 朽ちかけた小さな家が点在しているエリアだと思っていたんだけど……

 巨大な豪邸が一軒だけ建っているじゃないの?


 んな訳無いよね? そう思いながら近づいて見た表札には、『五十嵐(イガラシ) 五十介(イソスケ)』の名前が……

 イソスケ? あの人間国宝の歌舞伎役者と同じ名前だな?


 首を傾げて考えていると、豪奢な門扉の内側から獣、イヌ科の下等生物の吠え声が聞こえた。


「ガウガウガウ、グルルルルル~」


「あ、アンタ! アキラが一昨日連れて帰ったっぽい捨て犬じゃないっ!」


 言ってから改めて確信する、この豪邸が? アキラの、イ・エ?


 急激に冷めていく……

 金持ちじゃんか、チェッ!

 運命の相手は貧乏って相場は決まっているんだよ……

 はぁ~、無駄足だったか…… ま、仕方ないよね、切り替えて行こう!


 切り替えようとしたところで、ジッとこちらを見ている視線に気が付いた、子供だ。


「お前、アキラの友達か? 同じ制服だから判るぞ! えっへん!」


 ほうっ~、これはあれだな、弟(脇役)の登場シーンじゃないか?

 完全な脇役なのだが、純真さゆえに主役級の気持ちをうっかり相手に伝えてしまう、伝説のキューピッド属性をもった陰の重要人物じゃないのぉ!


 そう思い改めて馬鹿そうな子供の顔を見つめてみた。


 似ている、似過ぎ、アキラの弟としか思えないな、それ以外ではマッドサイエンティストが勝手に作ったクローン、それか人類を滅ぼす為に拵えたアンドロイドの類だろうか?

 じゃないとすれば運命の人の登場人物以外考えられないのでは…………

 

 運命の人要素、残ってるじゃん!

 よし、乗ってやろうじゃないか!

 こちとら失う物なんか、朝一ダッシュで奪われるカロリー位しか無いんだ、恐れず行くよっ!


「え、君って…… アキラってぇ? あっ! 表札が五十嵐! ってまさか、まさかアキラの、お、弟ぉ! なのぉっ!」


「えっへん!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。



Copyright(C)2019-KEY-STU

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