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『七行詩集』

七行詩 541.~550.

作者: s.h.n

『七行詩』


541.


こんなに傍に居たのだと 


気づくのは いつになるだろう


こんなに笑っていたのかと


気づくのは いつになるだろう


それは夢のような 安らぎのような


私のものではない貴方が


私と居てくれた瞬間



542.


耐え難き嵐や 地変により


私達は 暮らしの森さえも 失ってしまう


失ったものを忘れずに


何代もの時間をかけて


瓦礫を拾い 道を敷き


再び大地を肥やすまで


私達は 繋いでゆかねばならないでしょう



543.


両目を閉じて 眠ることができないなど


看守のように 梟のように 疑り深く


それもそのはず


やっと手に入れたガラスの国を


誰かの手により 奪われてはならないのだから


王には 自らが最後の一人となっても


兵士として 守らねばならないものがある



544.


冷えた体を 温めることは


過ぎた熱を 冷ますことより 難しい


ただ待つだけでは 得られないから


ようやく貴方に出会えたとき


人肌を分けて 温めるには


どれだけの時間が必要なのか


持てる限りの愛情で 迎える準備をしなくては



545.


貴方が私を知らぬというなら


私を知る者は居ないでしょう


乱れた水面は 鎮まれば


相手を選ばず 映す鏡となるでしょう


私が覗き込んだのは 水底か 自分の姿か


今に降り出す 無数の雨粒と同じように


またいつか 貴方の心を乱したい



546.


美しく 年を取りたいと思っていても


疲れ くたびれた顔を見れば


人は木々のように 毎年同じ


花を咲かせることはできないと


けれど 人の想いは 蕾のまま


春を何度か 迎えた頃に


立派に花開くこともあると 私に教えてください



547.


怖くても どうか聞いてください


私が話す言葉の先まで


貴方は既に知っているはず


私が何を言いたいのか


分からなくても構わない


どうか今一度 聞いてください


私が話す言葉の先まで



548.


翼がなければ 飛べないのは当然のこと


この星も 私たちも


重さを伴い 存在しているのだから


けれど願いは 重力に負けず


飛んで行くことができるから


祈りは神に 届くかもしれない


想いは貴方に 届くかもしれない



549.


あの日から 貴方がくれたものは


他の誰からも 得ることのできなかったもの


そのお返しに


他の誰も 私から得ることのできないものを


貴方に差し上げたいのです


見返りを求めず くれた優しさが


私はとても嬉しくて



550.


私は長い間


自らの心が立てた波により 漂流している


岸辺に立つ人が 手を伸ばしても


川に溶け込んだ 涙を拾うことなど


誰にもできはしないでしょう


私には このまま流れ 辿り着きたい場所がある


私は貴方に 救いを求めて 会いに行きたい



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