願いを叶えるこれっとさん!
誰しも叶えたい願いの1つや2つあるものだと思う。
僕、田中空気にもまだ誰にも言ったことがない願いというものはあり
「おっはー、元気してっかー?」
実島暦、僕の唯一の友達。
僕は高校に入って数日、本ばかり読んで孤独に過ごしていたところに話しかけてくれた救世主である。
「おはよう、暦くん」
「今日も冴えないなー?」
暦くんはけらけらと笑いながら、僕の髪をかき回した。
「う、うるさいなあ。僕は目立ちたくないだけで……」
口をごにょごにょとしていると、暦くんが前の席に腰を下ろし、一息つく。
すると思い出したかのように顔を近づけてくる。
「そういえば、知ってる?これっとさんって」
「これっとさん?……って、なに?新しい魔法少女かなにか?」
「違う違う!うわさだよ。この学校に最近表れる何でも願いを叶えてくれるっていう女の子なんだけど」
そんな人がいたらさすがに孤立している僕の耳にも届いてるんじゃ……。
と思いつつ、願いを叶えてくれるという言葉に少し興味を持ち本から目を上げる。
「俺も直接会ったことがあるわけではないんだけどよ、最近やたらと女子が騒いでんだよ」
「へえー、これっとさんに会った人はいるの?」
「隣のクラスのなべちゃんが叶えてもらったー、とかなんとか」
なんだか曖昧だなあ、と思いつつ僕は本に栞をしてぱたん、と閉じる。
ちなみになべちゃんというのは、1=Dの高嶺の花と呼ばれる美少女である。
僕なんかとは一生関わりはなさそうだ。
「にしてもそんな美少女さんにも叶えてもらいたい願いがあるんだね」
高嶺の花というくらいだから、完璧な人というイメージがあったけれど
願いを叶えてもらったと隣のクラスの暦くんにまで言うくらいだ。
少し親近感を覚える。
まあ、だからといって話すことはないだろうけれど……。




