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Nomal Theater  作者: 紫
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popcorn

 「シングルコンボ、ポップコーン塩味とコカコーラになります。」

 トレイに嵌めたポップコーンカップと紙コップを満面の笑顔で手渡しお客さんを映画の世界の入口へと送り出す。


  大学生になってバイトを始めようと思いつつも、一人暮らしを始めたり、教習所に通ったりしているうちにすっかり後回しになってしまっていた。結局8月になって始めた映画館のアルバイト。

  私はフロア業務(案内業務と物品の販売)のバイトをしている。1ヶ月半の間にだいぶそれらしく仕事がこなせるようになってきた気がする。


  少し仕事に慣れて来て最近ちょっと私の中でブームなのがお客さんの観る映画当てゲーム。

  あまり大声で言えないというか、お客さんのプライバシーの問題からして先輩に知られたら怒られてしまいそう。でも、手が空いてる時お客さんのこと考えてしまうのだから仕方がないってことにして欲しい。


  さっきのお客さんは30代前半の会社員って感じだった。まだ16時だから今日は休みだろうか。ただ休みの日にスーツというのは妙だ。映画館にフォーマルな格好で来る方はいるけれど、それは年配の方に多い。今日もお上品なワンピースを着た老婦人と、帽子が素敵な老紳士がポップコーンSを買っていった。

  先週金曜に人気のSF映画の第8弾が上映始まったから、大方あのお客さんはそれを観に来たという読みはあってるはず。いや、まだアニメ界の巨匠のアニメ映画が公開しているから分からないな。あの監督の映画が好きな男性は多いし1人で観に来てるってところもネックだ。


「なーに怖い顔してるの。草野ちゃん。笑って笑って。ポップコーン売って。」

「怖い顔なんてしてません!ちょっと考え事してただけです。」

「悩みごと?俺が聞こうか。」

「だ、大丈夫です。ところで堀内先輩は今日は休みのはずではありませんでしたか。」

「銀河戦争公開につき人手で増やすんだってさ。まだ人は少ないけどこれから混んでくると思うよ。」

「頑張ります。」

「よしよし。だいぶ明るくなったな。お客さん来たぞ。」

「はい!」

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