「殴られなくちゃ生きていけない」
安っぽい恋の歌で溢れる街に馴染めないのは、
あたしが没個性していないからだって、思いこんだ。
空っぽの愛の唄で溢れる街に馴染めないのは、
あたしが没個性していないからだって、決めつけた。
インナーチャイルドは泣いているのに。
アダルトチルドレンは歯を食いしばって認めない。
愛が欲しいのに。
殴られなくちゃ生きていけない。
乱暴な男に抱かれた夜は、
汚い浴室で手首をいじめる。
本当はあたしだって、
街のイルミネーションが眩しいなかで、
安い恋の歌で浮ついてみたいの。
軽い愛の唄で心躍らせたいの。
なのに、たばこ臭い部屋で雑な歌を聞きながら、
汚い紫煙を吐いて、
あたしは殴られなくちゃ生きていけない。
インナーチャイルドが泣いている。
だから、アダルトチルドレンは歯を食いしばる。
殴られなくちゃ生きていけない壊れた心に流れ込んでくる、
安っぽい恋の歌で死にそうになって、
空っぽの愛の唄に殺されそうになって、
本当はあたしもそんなもので心をきらきらさせたいの。
わからないのは、あたしが普通じゃないからって。
そう自己暗示しないとやっていられない。