表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/87

人間軍vs月薙 菖蒲 その1

「何故だ! 何故、我が軍は撤退しているのだ!」

 叫ぶのは空を翔る竜に跨がる男、竜騎士隊の隊長だ。


 先ほど魔王城に向かい、四方から攻めていった人間軍だったが、突然消え、再度現れたり、桃色の空間が出現して爆発を起こしたり、光が走ったり、途中で動かなくなったりと……


 異常事態が起きているのは予想が付くが、遠い空の上からでは詳しくは不明で、しかも広範囲にわたるため、援護しようにも出来ない。


「隊長! こうなったら我らだゲャーー」

 意見を口にしていた男は珍妙な言葉を発し、あの世へと旅立っていった。


 竜騎士隊が進む高度より、更なる高高度から巨大な突撃槍が降ってきたせいだ。

 その大きさは大人一人を余裕で隠せる程で、当たった男は潰れ、その騎乗竜の皮と肉を破り、背骨と内臓を貫いた。


 断末魔さえ上げられず墜落する竜へ目にも留まらぬ速度で迫り、突撃槍を回収する影。

 背中には翼が生え、ルーン文字が刻まれた鎧と腰巻きを纏い、闘い死んでいく者への使者――戦乙女(ヴァルキュリア)が姿を現した。



□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 数千年前、天界で神と悪魔の戦争が行われていた。


 神の尖兵である戦乙女は、自身も戦争に参加して戦わねばならないが、一番の役割は人間界に降り立ち、英雄と呼ばれる人間の魂を天界へと引き上げ、悪魔と戦わせるというものだ。


 神に従い尽くす事を至上の喜びとする戦乙女。

 その中で唯一、疑問を持ったセレナという者がいた。


 彼女は死んでまで戦いに利用される魂を哀れに思い、何度も神への嘆願を行ったが、答えは決まって"口出しをすることは許されない"のみ。

 ついに反逆者の烙印を押され、天界を追放された彼女が知った事実。


 ーーそれは神が神であるためだけに起こしている戦争だという事。


 通常であれば、死んだ魂はすぐに輪廻転生するため、神といえども簡単に手は出せないが、天界で死んだ魂は行き場無く彷徨うのみ。


 しかも悪魔との戦いで"存在の格”といわれる魂の価値を示す物が凝縮されていき、それを吸収する事で力を保ち続けていたのだ。


 セレナは英雄の魂や悪魔――自分と同じく反逆者の烙印を押され、地獄へと堕ちた元・神とともに天界の神々と戦い続け、最後に残った最高神オーディンとの決戦で相討ちとなる。


 だが、神を倒し、吸収される事なく彷徨い続けた魂は、時を越えて月薙 菖蒲へと転生し、知識と能力を受け継いだ。


 菖蒲とは、神を殺す力を持ち、神を救う力を持った戦乙女である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ