前編
ピンポンパンポーーン⤴︎
※注意※
この小説には以下の成分が含まれております。それでもいい方は読んでみてください。
(ありきたり、ありきたり、ありきたり、ありきたり、ありきたり、3話構成)
あ、ちなみに2割実話です笑
ピンポンパンポーーン⤵︎
「おはよー!誠君!今日も元気〜?」
「かすみさんか。おはよー」
「そういえば、昨日さーほのかちゃん達がねーーー
彼女は、椿 かすみさん。とても愛想がよく、性格もいい。
そしてなによりかわいくて誰とでも仲が良くてクラスの…いや、学校で男女ともに一番の人気者だ。
そんな彼女に俺は恋をしている。でも、告白する勇気はない。したこともない。
彼女は高嶺の花なんだ。
それに俺はもう彼女はいらないんだ。女子が怖くてしかたがない。
話すことぐらいはできる。でも、それ以上の関係は求めない。
でも、俺は彼女に恋をしてしまった。
この恋を…どうすればいいんだろう。
授業中、俺は右斜め前に座っている彼女をいつも見つめていた。
ただ、見てるだけで幸せだった。
そんな俺を後ろで彼女の親友の絢香が呆れた顔をして見ていた。
「ねぇ誠ー…。あんたさあ…いい加減告白するなりなんなりしたら?」
授業が終わるなりいきなり絢香が話しかけてきた。
「な、なんだよいきなり‼︎
う、うるさいな!いいんだよこれで!」
「よくないでしょ!全く。もうなんだかんだいって3ヶ月ぐらいはしょっちゅう話したりしてるじゃん!
もうそろそろ進展してもいいんじゃない?」
「馬鹿いえ!俺にそんなことできるわけないだろ…。そもそも彼女はもういらないし。
椿さん他に好きな人いるだろ…。それに…こんな俺が告白なんかしたら……他の男子に殺されそう…」
考えるだけでもゾッとした。俺は少し体を震わせてみせた。
そんな俺を絢香はまた呆れた顔で見ていた。
「あんたはなんでそういつも臆病なのかなぁ…。もういい加減その気持ちをスッキリさせなさいよ!」
絢香は軽く怒鳴りながら言ってきた。そんな様子をみて俺も軽くカッとなってしまった。
「俺は別にこのまんまでいいんだよ‼︎告白して関係が崩れるくらいなら…」
怒鳴っていると割とすぐ近くに椿さんがいた。そして、こっちに話したそうにこっちに近づいてきていた。
それをみてつい俺は黙り込んだ。
絢香はそんな俺を不思議そうに見て、俺が見ていたほうを見ると体をビクリとさせ、動揺した。
「あれ〜絢香達何の話ししてるの〜?」
「え⁉︎い、いやぁ別にたいしたことじゃないよー」
と必死に動揺を隠そうとしていたが全然隠せていない。そんな絢香を見ていると絢香は急に少し考えこみ、俺のほうを向き顔をニヤリとさせて、かすみさんに話し始めた。
「ねぇねぇかすみー…そういえばさー今回…テスト大丈夫なの…⁇」
「うっ……、そ、それは…えーと…」
かすみさんは少しおどおどしていた。
その声を聞くと絢香はまたニヤついた。
かすみさんは実は頭が悪い。勉強をしてもいつも何かしら誤って点を落としてしまう。
範囲間違えたりとか回答がずれてたりとか…。
多分、それさえなければそんなに頭は悪くないんだろうけど…。
「じゃあさ、ここに超優等生の誠がいるんだから教えてもらいなよー!」
と俺を指差して言ってきた。
かすみさんはそれを聞くと目を見開き、輝かせ、そうだね!と言わんばかりの顔をした。
俺はよくわからずぽかーんとしていたがすぐにその言葉を理解し猛反対した。
「……はぁ⁉︎なんで俺⁉︎いやいやいや、もっと頭いい奴いるだろ!」
「だって〜かすみの友達頭悪い人多いし〜」
「それは…お前もか?……グホァッ‼︎」
絢香が腹を猛烈な勢いで殴ってきた。そして、俺は膝をつき苦しんだ。
俺はかすれた声で言った。
「お……い……溝…入った……。」
そんな俺を見て絢香は俺のそばにより小声で話しかけてきた。
「せっかくだしいいんじゃん。この際彼女のハートを掴んじゃいなよ!」
戸惑っていると絢香は俺顔を思いっきり睨んできた。
それに恐怖を感じた俺は仕方なく小さく頷いた。
「てか…痛い…」
「そんなの自分でなんとかしなさい!
かすみ〜オーケーだって〜」
その言葉を聞くと彼女は満面の笑みを浮かべた。
「本当⁉︎やったぁ〜誠君よろしくねー!」
彼女の満面の笑みを見れただけでものすごく幸せだった。
そして、その日の授業が終わると、それからテストまでの1週間、毎日放課後に図書室で勉強をすることになった。
今日、図書室には数人勉強している人がいたけれど特に気にはならなかった。
「ねぇねぇ、日本史ってどこでるかな〜?」
「うーん…あの先生は結構教科書の太字から出すから……。とりあえず太字をちゃんと覚えるのは絶対だね。
あとちゃんとその出来事の内容も覚えないといけないよ?」
彼女は聞いてる間、うんうんとずっと小さくうなずいていた。
「なるほどー。うーん覚えるとこいっぱいあるんだねぇー」
「まあ、今からやればギリギリ間に合うと思うけど…」
この時間は本当に幸せだった。好きな人と一緒に勉強をしている。それだけで幸せだった。
時計は5時半を過ぎていて、最終下校時刻になってしまったため、もう帰らなくてはならなかった。
そして、校門に向かいながら話していた。
「ごめんねー誠君の家、学校から遠いのにこんな遅くまでつき合わせちゃって…」
「いやあ、別に大丈夫だよ!また明日も頑張ろうな!」
「うん!あ、そういえば……」
そういうとかすみさんはバックをあさり始めた。そして、取り出したのはノートだった。
ノートをペラペラめくっている。
「ん?どうかした?」
「この間の英語の授業、寝ちゃったから文章の日本語訳書いてない!
誠君…使わなかったらでいいんだけど…貸してくれない…?」
少し申し訳なさそうな顔で俺に頼んできた。
その表情がまた可愛かった。
「あー大丈夫だよ。はい」
そして、俺はノートを出して渡すと、かすみさんは頭をペコペコしながら受け取った。
「ありがとー!明日必ず返すね!じゃあまた明日ね!今日はありがとー‼︎」
「あ、うん。またねー!」
そして、あっという間に行ってしまった。ついあっけにとられて、ただぼーっと彼女の帰った方向をぼんやりと見つめるだけだった。
そして、その先には夕日が沈みかけていた。
周りが赤色に染められて綺麗だった。
次の日
「えー⁉︎告白しなかったの⁉︎」
と絢香はかなり大きな声で言った。
「馬鹿!大声で言うなし!
そんないきなり告白する馬鹿はいないだろ!
それに…俺は彼女はいらんて言ってるだろ」
「思いを伝えるだけでもいいじゃん。なんでそんなに拒むの?」
そう言われると俺は黙り込んだ。
正直、俺は過去のことを話すのは好きではない。特に嫌なことは思い出したくなかった。
絢香はそれを察した。でも、ダイレクトに聞いてきた。
「……過去に何かあった…?」
図星だった。そう言われてもただ俺は黙っていた。
けれど、結局俺は話すことにした。
「…中学校の時…、俺はある女子に告白されたんだ。割といい子だったから付き合ったんだけど、3ヶ月くらいだったある日。
その彼女が俺のことが好きだった子をいじめて俺に告白しないように口封じしてたこと知って…俺はそんな奴と付き合ってたのかと思ってすぐに別れた。
そしたらさ、その彼女、とことん俺のこと攻撃してきてさ。
クラス中に俺は浮気したひどい奴だってデマ流したり、その他にも色んなデマ流しやがって、俺の周りには誰もいなくなった。
まったくひどいやつだったよ。
もう、顔も思い出したくない。
わざわざ、遠いこの学校に来た理由もそれだよ…」
そんなことを話していると絢香は黙って少し申し訳なさそうな顔をしてた。
不穏な空気が、俺らの周りに流れているような気がした。
「…そ、そんなことがあったなんて…」
絢香は俺の話を聞いて戸惑っていた。
「まあ、もう過ぎたことだし…もういいんだけどな」
「……でも、かすみはそんな人じゃないよ?てか、そんな女子は滅多にいないんじゃ…」
「それはわかってるよ。でも、俺のせいで誰かが傷つくのはもう…正直嫌なんだ…」
そして、しばらく重い空気が流れた。
「…わかった…。じゃあ、私からは無理には言わせる気はないけど、告白しないで結局後で後悔したりしないようにね」
「うん」
そういうと絢香はスタスタとどこかへ行ってしまった。
後悔…。
俺はしょっちゅう後悔ばかりしている。
後悔はできればしたくない。
でも、選択を間違えたくもない。
どうすればいいんだろう。やっぱり告白して思いだけでも伝えた方がいいんだろうか。
その日の授業の間はそんなことばかり考えていた。
3時間目が始まる前にかすみさんは登校した。今日は1、2時間目はなかったらしい。
「誠くーん。これ本当にありがとー!今日の放課後もよろしくねー!」
「あーいえいえ、こちらこそー」
かすみさんはいつも通り元気でとても明るかった。
でも、無理をしたんだろうか。目の下に少しクマができていた。
「えーとーかすみさん…今日…何時間寝た?」
「あのえーとー……実は…3時間しか寝てないんだー」
軽く笑って話していた。
でも、俺から見たら作り笑顔をして元気な素振りをしてるようにしか見えなかった。
「テスト前だからしょうがないとは思うけどあまり無理しちゃだだよ?」
「だいじょうぶだいじょうぶ〜」
少しルンルンな言い方をすると絢香の元へ行ってしまった。
少し心配だった。
その後、貸したノートを開くと身に覚えのない付箋が一つ貼ってあった。
『ノートありがとー!』
ただそれだけが書かれていた。
それを見てついニヤついていると、授業中にもかかわらず急に絢香が話しかけてきた。
「よかったな(笑)」
「⁉︎ う、うるさいな‼︎」
ついビクッとしてしまった。
そして、絢香は顔をニヤつかせていた。