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89 私は余計なことをしない

ロザリーからクリスについてを聞いた後、アリスは今度はロザリーの後ろにいる護衛について質問をした。


「ロザリー、ところであの護衛の方だけど」

「あちらの方々はランドック辺境伯のご子息、ご令嬢で左からレオン様、ルイス様、フローラ様です」


ロザリーがそう紹介すると三人は一様に礼をしてきた。その様子をみてアリスも礼を返し、自らの自己紹介をする。


「私がローズ商会の会長をしております。アリス・ロジャースと申します。この度はロザリーの護衛をしてくださりありがとうございました」


そう言うとアリスは一応念のため所属確認をする。


「あの、見たところ皆様騎士の身なりをされているようですが、所属とかはございますか」


その質問にレオンと紹介された男性が一歩前にでると話し始めた。


「はい、私達は今暫定的にクリスティーヌ団長のバラ騎士団に仮所属しております」


……で、ですよね。


ローズ商会とは直接関係はないものの、見方によってはクリスの部下。そして、クリスはアリスの部下。つまり……

アリスは思わず引きつった顔で苦笑いする。辺境伯のご子息、ご令嬢。どう考えてもアリスより身分が上だった。階級でいえば今の所、正規の爵位があるロザリーやクリスが上かもしれないが血筋や一般的な解釈では明らかに彼らの方が上だった。


「アリス様、私たちはこれから一度王宮に報告に向かいますので」

「そ、そうだったわね」


アリスの様子に気付いたのか気転を利かしたロザリーがそう言うと再び馬車に乗る。そして彼女らを呆然と見送るしかできなかった。

その後、ロザリーが帰ってきた後、屋敷では無事の帰宅を祝う祝賀会とランドック家の者と話をするために祝賀会が行われることになった。本当であればクリスが帰還してから行われるべきなのかもしれないが、アリスがランドック家のご子息、ご令嬢とは早期に親睦を持っておいた方がロザリーのためにも何かと良いと判断しての行動だった。

もっとも、旅路ではいろいろあったらしく、ロザリーと仲良く話すレオンの姿を見て、彼がランドック家のまとめ役のように見えた。そして、いろいろと話を振ってみてわかったこと。

レオン、ランドック家の次男。一応三人の中ではまとめ役。剣の腕には自信があり、戦闘経験もあるらしい。体格は一目見てわかる騎士としての威厳と風貌をもっていながら顔は美形だった。

ルイス、ランドック家の三男。剣の腕ではレオンよりも上らしいが実戦経験はまだらしい。体格はいいものの性格は温厚で従順。なぜかフローラの指示に従って尻に敷かれている感じが見うけられる。

フローラ、ランドック家の長女。長女と言っても先ほど紹介したご子息より年下。可愛がられて育てられたのか、やや過保護に扱われている感じが見受けられるものの、剣術、馬術は得意で貴族令嬢としての礼儀作法、嗜みも持っている秀才タイプ。なお、周囲の影響かやや自己主張が強いらしく、今回の護衛に加わる件もフローラが言い出して加わったのだとか。

そしてロザリーから旅の話を聞き、繋ぎ合わせるとこうだった。


最初はロザリー達は順調に旅を続け、たまたまランドック辺境伯に挨拶に行った。すると、フローラがクリスの姿を見て気に入り護衛に参加したいと言い出す。そこへランドック辺境伯もロザリーに好意を持っていたらしくレオンとルイスを加えてより安全な旅を準備してくれた。


ここまでが出会いらしい。じゃあ、なぜ帰還にクリスがいないのか。

そこからはロザリーが話してくれた。その話は何だか作り物の物語を聞いているような気分だったが要約するとこうだった。


こうして旅は安全に進み、ようやく聖地のあるアストゥリアス国に辿りついた。しかし、その大聖堂でお祈りをしているとクリスが突然女神像に触れて女神アイリスを降臨させた。そのことの説明を教皇に説明し、ようやく帰還できるようになったものの今度はガイア帝国領内で魔物の襲撃後に遭遇。やむを得ず一旦引き返してクリスとカルヴァンが案内役としてガイア帝国の調査兵と見に行ったら魔物に襲われた。そしてそのときにクリスが魔物を全滅させたもののカルヴァンが負傷。そのまま帰ると怪我が悪化すると判断したロザリーはカルヴァンとクリス、念のためにアイリスの三人を残して先に帰った。


ということらしい。


「え?二人じゃなくて三人」


引っ付けるつもりなら二人の方が良かったのではと思いロザリーに思わず尋ねる。


「ええ、でもそれにも理由があるの。クリスもカルヴァンも恋愛に奥手のようだったから誰か後押ししないとけいないと思って。それに……」


ロザリーの言っていることは的を射ていた。なるほどと頷きつつロザリーの続きの言葉を待つ。


「クリスって実は非力らしいの。私の使用人として同行していたメアリよりもね。だからカルヴァンがクリスを好きになったとしてもクリスがカルヴァンを好きではない可能性もあるでしょ。そのときに暴走しないようにするために」

「あ……そういえば」


普段頼もしく思って護衛として連れていたけれど、よく考えればクリスは騎士団の団長だったが実際に剣を振るう場面を見たことがなかった。そして自己紹介でも農作業のような力がいる仕事は苦手だったような。

アリスはロザリーの説明に思わず納得してしまう。そして、ひとつ疑問があった。まだあったことがないアイリスがカルヴァンと結託していたらどうしよう。と。


「……クリス大丈夫かしら。いや、この場合は状況にはよっては大丈夫じゃない方がいいのかしら」


アリスはクリスが戻ってくるまでの間、釈然としない気分になりながらも無事を願うのであった。


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