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この後詳しく聞いてみたところ、アリスの承諾を得られれば万事すべて解決。というのがエリックの状況だということがわかった。


「でもアリスさんにも了承してもらってからがよくてね」

「……エリック」


貴族出身のご令嬢であれば政略結婚を感じさせない申し出に心を打たれていただろう。ただ、アリスは生まれも育ちも平民育ち、エリックのその言葉に対して思ったことはただひとつだけだった。


「それ、当然でしょ。ロジャース商会のためだったのならともかく私は今現在ただの平民なのだから」

「えぇぇ、いやそこはやだ素敵、結婚しましょってなるって聞いたのに」

「ならないわよ!てかそんなこと教えたのは誰よ」

「え?それは君のおn……あ、お、おおお、お姉さまとか」

「私に姉は居ないわよ!アラン兄様なのね!」


思わぬ身内の援護(?)があったことにアリスは驚き抗議に向かいたかったけど今はオルランドへの帰路。今さらカルロスにも戻るわけにもいかず、ただただ恨めしげにカルロスの方を睨むしかできなかった。


結局、アリスは誰かの仕業によってエリックと無理矢理くっ付けられているような気がして、それに反発したくなった。そのためエリックとは進展することなくオルランドへ辿りついた。

そしてようやくローズ商会の屋敷へと戻ると、その姿を見つけたのかベルが駆けつけてくれた。


「お帰りなさいませ。アリス様」

「ただいまベル」

「それで……あの」


ベルは何やら顔を赤らめて何か言いにくそうにしながらアリスの顔を見たり反らしたりしてくる。

その姿はアリスは嫌な予感をしつつ、エリックの顔を見る。するとエリックは苦笑いしていた。


「ベル、KIA」

「え?」


Killed in action。告白の玉砕をベルに伝えたいらしい。

エリックの言葉にベルは信じられないいった顔をアリスに向ける。


「……ベル、あなたもなのね」


今回の旅の目的はどうやら最初からこのことが目的だったらしい。

ローズ商会としては、ライン同盟国への販路拡大ができたのでよかったものの国境を跨いだ作戦にアリス思わず嘆かずにはいられなかった。

なお、オルランドに帰ってからはエリックは少しだけ大人しくなった。

単に公務が忙しくなっただけなのだろうが、帰宅後から溜まった仕事を片付けるために会長室で缶詰状態となっているアリスはクリスやロザリーもいないことも手伝ってかどこか寂しい気がしていた。

もっとも、傍にはベルがいるので、もしかしたらクリスやロザリーがいないこととは別の理由があったのかもしれないが仕事が忙しいおかげでそれ以上のことは考えずに済んだ。


そして、それから数日後。


会長室でこれまで通り仕事をこなしていたアリス。そこへ突然ドアが開かれた。


「あら、ベルどうしたの?」


注意しようかと思ったが、ベルの慌てている様子を見てまずは事情を聞くことにした。


「ろ、ロザリー様が帰ってきました」

「え?ほんとうに!?」


アリスは思わず立ち上がり、ベルに駆け寄る。


「は、はい!ただ……」

「ただ?」


ベルは何とも言いがたい表情をする。その様子に少し不安を覚えたものの確かめないことにはわからない。

アリスはベルと共に帰ってきたロザリーのもとへと向かった。


そしてロザリー達を見てアリスはベルが言おうとしていた意味を理解する。


出発のときはロザリー、メアリが馬車に乗り、カルヴァン、クリスが護衛をし、後は御者のはずだったはずなのに帰ってきたときの護衛メンバーは見たことが無い人ばかりだった。


「あ、あれ?間違えた?」


そう思ったが馬車は屋敷に到着すると止まり、馬車からロザリーとメアリが降りてきた。


「ただいま帰りました」

「お帰りなさいロザリー」


アリスはそう言うとロザリーに近寄り抱きしめる。

そして、少し不安に思いながらもアリスはロザリーに確認をとる。


「そ、それでその……クリスは」


アリスは恐るおそる確認をとる。


「それはですね。実はカルヴァン様とクリス様を残してきました」

「……え?」


アリスはロザリーが言っている意味がわからずキョトンとする。そしてロザリーは何やらニコニコ……ニヤニヤしていた。

その様子を見てアリスは察した。


ああ、クリスも同じような目にあっているんだな。と。

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