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2-6 一休み

アリスは早速貴族達の下へと訪問し、資金の提供を募った。

このような手法をしていきた商会など滅多になかったのだろう。

当初の計画時の反応に対して実際に動くとなったときに難色を示す貴族も現れた。


「どうしようかしら」


アリスはため息をついた。既に貴族向けの施設として、規模、大きさなどを決めて建設へと取り掛かっている。

場所は貴族向けということと入浴中は無防備なことを考慮して、ローズ商会の屋敷からほど近く、警護の駐屯所から近い場所に建設することがきまった。

では何にため息をついたのか。それは資金が予定額にまで到達しなかったことだった。

当初計画では十分な予定だった。クリスにも自信満々に話してしまった。その状況で相談などできるはずもなかった。

アリスはちらりとローラを見てみたがその話はローラの適任ではない。ローラも心配そうにアリスを見ていた。

そんなときだった。


――コンコン


メアリがノックをして入室してきた。


「エリック様がお越しになりました」

「え?……わかったわ。ローラ、応接室に案内して差し上げて」


そういうとローラをエリックの下へと向かわせてアリスは応接室へと向かった。

通常はお断りするところだが相手は第2とはいえ王子様。平民のアリスが断れるはずもなかった。


「やあ、久しぶりアリスさん。あ、助け合った仲だしもうそろそろアリスと呼んでもいいかな?」

「会って早々ですか。お好きに呼んでください」


エリックは相変わらず陽気……というよりも軽い感じだった。


「手紙は役に立ったかい?」

「ええ、おかげさまで。でもどちらであの情報を?」

「それは知らないほうが言いと思うよ」


知らないほうがいいそう言ったときに一瞬だけエリックの表情が変わった気がしたが、確認はしないことにした。

こういった話は下手に聞かない方がいいことをアリスは理解していた。


「まあ、何にせよ役立ったのならよかったよ。それに新しい事業を始めるんだって」

「ええ、まあ……」


エリックの問いにアリスは笑みを作ったが顔が引きつっていた。


「ああ、その様子だとうまくいっていないんだね。よかったら話を聞くよ」


アリスは躊躇ったが相談するにはエリックが一番の適任ではあった。

アリスは恥を忍びながらエリックに話し始めた。


「実は……お金が……」

「なるほど、そういうことか」


アリスの言葉で大体の意味が察したららしい。

エリックは少し考え表情をしたあとアリスに提案をしてきた。


「じゃあ、前回の約束を果たしてよ」

「前回?」


エリックの突然の話にアリスは首を傾げた。


「社交場1回の話だよ」

「え?ああそういえば。あの件ね」


アリスはようやく思い出して頷くがエリックの意図がわからず再び首を傾げた。


「忘れていたの?まいいいや。近々あるんだよ。一応は王家主催になるけどね」

「そんなところに私が出席しても問題ないの」

「その辺はあこちらので何とかしておくから心配しないで」

「それにお金の話の関連は」

「そこで事業の話をすればいいんだよ。足りない部分は参加の報酬も加えてあげるから」

「それなら……」


これほどの好条件で参加しない理由などなかった。

アリスが少し躊躇いながらも頷くとエリックは満足げな表情をして準備があるからとそそくさと帰っていった。

そして、その様子を見送りながらアリスは呟いた。


「……嫌な予感がする」

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