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2-2 予期せぬ出会い

一行は王都オルランドへ到着するとクリスに案内され、アリス達は屋敷へとむかった。

そして屋敷に到着するとメイド長らしき女性が出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ」


そういって頭を下げていたメイド長らしき女性がアリス一行に目を向けると驚いた表情をした。

アリスはその視線の先を見てみるとどうやら彼女はローラを見ている様だった。


「ロザリー様?」

「え?メアリ?」


ローラが驚いたようにメアリと呼んだ相手を見ている。


ロザリー?今ローラに向かってメアリと呼ばれた女性はそう言った。

彼女はローラ・・・いや、本当の名前がロザリーだとしたらロザリーの知り合い?


アリスは思考をめぐらしまさかと思ってクリスを見たが、どうやらクリスも驚いているらしい。

予期せぬ偶然の再会なのだろうか。メアリ呼ばれた彼女を見てみると、その様子に気づいたのかアリスに話しかけてきた。


「あの、アリス様、クリス様。大切なお話しがございますのでこの後よろしいでしょうか」

「え、ええ。大丈夫よね。クリス」

「え?ああ、はい、私も大丈夫です」

「じゃあ、新しい会長室の話をすることにしましょ」

「かしこまりました」


ローラに関することなだけは間違いなかった。ということはおそらく内密にしたいことなのだろう。アリスは咄嗟の気転で会長室で話をすることにし、情報の流出は最小限に留めることにした。


他のものは呆然としていたが、アリスの様子に察したのか余計な口出しをするものはなかった。

もっともローラを守るといった手前、他の者に口出しさせるつもりなどアリスにはなかったが。

こうして、アリス、クリス、メアリ、ローラは会長室に集まった。


「それで、話と言うのは」


アリスがローラとメアリを見ながら話を切り出す。


「それは・・・」

「それは私からお話しいたしましょう」


メアリを遮るようにしてローラが言った。

おそらくローラはアリスと長いこと一緒にいた自分が話したほうがよいと判断したのだろう。

アリスも事情を話すなら当人の方がよいと思いうなずいた。


「この子爵邸がなぜ空き家になっていたかご存知でしょうか」

「噂では何か問題を起こして失脚したと聞いているわ」

「半分正解です」

「あれは数年前。ここに住んでいた子爵様はあらぬ容疑をかけられました。その容疑はガイア帝国との内通です。その容疑は冤罪でしたが当時の子爵様はただの噂として国王陛下がそのようなことを信じるはずがないと取り合わず、何もしなかったそうなのです。しかし、それから数年の月日が経ってもその噂はやみませんでした。」

「デマゴギー」


クリスがポツリと呟き。ローラは頷いた。

デマゴギー、意図的に流される虚偽の情報。悪宣伝のことだった。


「ええ、子爵様はローラン王国の忠実な臣下でした。しかし、真面目であるがゆえに忠実にしていれば陛下がそんな噂を信じるはずがないと思っていました。しかし、噂というのは恐ろしいもので、どんないい加減な嘘であっても何年間もその嘘が続けば、やがてその嘘を信じる者も出始めました。そして一人、また一人とその噂を信じる貴族が増えて」

「段々噂が本当のように思われるようになってしまった」


アリスが呟く。ローラは頷いた。

半分正解とは失脚したのは事実だが、問題を起こしたことは違うということらしい。


「そうです。そしてある日、陛下はついに動きました。子爵様は謀反の容疑で幽閉され、失望の中亡くなりました。しかし、その容疑で捕まえようとしている王国兵士から逃げ出した女性がおりました。そして、その女性はある少女に助けられました」

「もしかして」

「はい。私の名前はロザリー・オーウェン。今は亡きロバート・フォン・オーウェン子爵の一人娘です。そしてそこにいるメアリは私専属の従者です」


ロザリーはアリスとクリスを見ながらそう言った。

その凛とした姿からは確かに子爵令嬢としての面影がある感じがした。

その様子を見ながらアリスはロザリーの真意について考えた。


私は試されているの?ローラことロザリーはこれまで隠してきた身元を明かしてくれた。

信用してくれたから?それとも言葉に偽りが無いかを確かめるため?

結論は既にでている。けれどその前にひとつだけ確かめなきゃ。


アリスは少し黙っていたが考えがまとまると口を開いた。


「ローラ。いえ、ロザリー様少しよろしいですか」

「アリス様。今は爵位はありませんしこれまでどうりでお願いします」

「ではロザリー。あなたは容疑は冤罪と言ったわね。どうしてそう思うの」

「私の父は陛下を尊敬していました。そして毎日のように陛下に忠誠を尽くすように言われ育ってきたのです。そして噂が流れたときも否定して忠実にしていれば陛下がそんな噂を信じるはずがないと最後まで信じて私に言っておりました。そのような父がどうして国を裏切りましょうか」

「そうなの」

「私の話を信じる信じないはアリス様にお任せします。一度アリス様に救われた命。アリス様にいらぬ容疑がかかるようでしたら私を王国へ差し出してください」


ロザリーは凛とした姿勢のままじっとアリスを見ながらそう言った。その様子には微塵もロザリーの父オーウェン子爵を疑う様子はなかった。


ロザリーは無条件で父親を信用している。それも何年間もずっと。

ただ父親というだけでそこまで信用できるだろうか。いや、恐らくそんなことはできない。

自身の尺度で量るのは愚かかもしれない。けれど私だってクリスを疑ったり、お父様に真意を確かめようとした。

ロザリーだってその噂のために何度も悩まされ疑いそうになる日々があったのかもしれない。

そして、その日々を乗り越えてロザリーの父オーウェン子爵を信じようと思ったのだろう。

アリス、よく考えなさい。大事なのはオーウェン子爵の真偽じゃない。ロザリーが信用できるかなのよ。

この話をしてくれた今のロザリーを疑って何人もの人を率いることなんてできない。だったら


アリスがやることはもう決まっていた。

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