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1-3 憂鬱な就職試験

久しぶりに帰ってきた我が家。

アリス達が屋敷に入ると早速、使用人達が出迎えてくれた。

これまでであれば自室でゆっくり休むはずだったが、今日はそうもしていられなかった。

何としてもクリスを従者として雇ってもらえるよう約束を取り付ける必要があった。事前に御者に頼んでおいたので、おそらく父のいる会長室には話は届いていることだろう。


アリスは急いで水浴びをし、身なりを整えて待合室へ向かうとクリスがおとなしく待っていた。

緊張した面持ちからこれから何が行なわれるのか理解しているらしい。


田舎の少女と思っていたけど案外察しがいいのかも。


そう思いながらアリスはクリスを父のいる会長室へと連れて行く。

この扉の前はいつも緊張してしまい慣れそうにない。

そのことをクリスに悟られないようアリスは毅然とした態度を心がけた。


コンコン


「私です。アリスです」

「……入ってきなさい」


聞きなれた重い声の返事が返ってきた。アリスは扉を開けて入る。

そして中に入るとアリスは父に向かって礼をした。クリスも後に続く。


「用件はなんだ」


その重い声はまるでアリスを威圧しているかのようだった。


「彼女を私の下として雇わさせて下さい」

「その娘をか」


アリスの父はクリスを興味なさそうに目を向けている。


「クリスティーヌと申します」

「私がこの商会の会長、ウイリアム・ロジャースだ」


挨拶が終わると父ウイリアムは再びアリスに目を向ける。

父ウイリアムは声、風貌とも威厳があり、いかにも会長といった身なりをしている。ただ、普段は優しくアリスを大切に思っており。女性で大学へいけたのも父ウイリアムのおかげだった。


「なぜだ。私がすすめた者はすべて断っていたではないか」

「彼女は別です」

「え?」


クリスが驚きの声をあげてこちらを見てきた。

アリスは従者を断わっていたことをクリスに話していなかったことに気づいたが、そのことを話すには今さらだった。


「ふーん。ではクリスティーヌよ。素質お試させてもらうぞ」

「は、ひゃい」

「……お前にこの問題を解いてもらう」

「はい」


クリスは緊張しているのだろう。少し心配だけど、いざとなれば庇えばいい。

そう思い、アリスはジッと見守ることにした。


「お前には砂時計が2回ひっくり返す間にこの問題を解いてもらう」

「ひゃい」


……だ、大丈夫よね。


クリスの戸惑った態度にアリスは心配になる。

クリスがおずおずとしながらも席につく様子を不安げに見守った。


コツン


父ウィリアムによって砂時計がひっくり返された。試験の開始の合図だ。

しかし、クリスは机の問題を見たまま一向に動く様子が無い。


……何を見ているのかしら。


アリスは気になったが下手に動けばクリスの評価を下げかねない。とりあえずクリスの反応を待つことにした。

しかし、アリスの心配をよそに一向にクリスは動く気配がなかった。


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