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25 私は根回しを怠らない

1-6 反省会

事業の準備は着々と行われた。


運搬費は帳簿をベースにし、石鹸価格に関しても帳簿にあった過去の石鹸に関する取引価格を参考に貴族向けの価格として決められた。その他、事業計画に伴う人件費、原価、固定費、運搬費、運営に必要な資金など細かく設定し収益と費用の損益分岐点を計算したものまで作成された。


これら知識の多くはアリスにはなかったため、ほぼ全面的数値計算はクリスに任せられたが、クリスはどこで知識や経験を得たのか計画書の数値をちゃんと持ってくる。


「ねえ、クリス」

「はい、何でしょう」

「この数値や書類はどこで覚えたの?」

「やだなあ、ロジャース商会の会計書類を見て作ったんですよ」

「そ、そう」


絶対嘘だ!


クリスが作った書類にある内容の年次の期間損益計算なんてものは見たことがなかった。

それでもアリスはこれ以上クリスに聞いてもはぐらかされるだけだと思ったので何も言わなかった。

こうして事業計画は着々と進められていった。


コンコン


「私です。アリスです」

「アリスか入ってきなさい」


アリスはロジャース商会の会長室に入った。

そこに父親でありロジャース商会の会長ウィリアムと兄でありロジャース商会会計責任者のアランがいた。


「あら、お取り込み中でしたか」

「いや、かまわん。それで今日は何の用かな」

「はい、事業計画を作りましたのそのスポンサーとなって貰いたいと思いまして」

「ほう。シルバー商会以来だったかな」

「はい、職場やあのときの実戦経験を踏まえた事業計画となっています」

「かわった。見てみよう」


会長ウィリアムはアリスから書類を受け取り眺め始めた。

そしてしばらくの間沈黙の時間が流れ、会長ウィリアムが書類を読み終えたタイミングでアリスは口を開いた。


「お父様、新しい事業計画書はいかがでしょうか」

「・・・こ、これは本当にアリスが考えたのか」

「え?ええ、そうですが」


会長ウィリアムが驚いたようあ顔でアリスを見てきた。

今までそんな顔をほとんどみたことがないアリスは動揺する。


「そうか、ふーむ・・・」

「会長、よければ私にも見せてください」

「アランか。ああいいぞ」


アランは書類を受け取り眺め始めた。

そしてしばらくすると笑顔になる。


「ああなるほど、これは間違い無くアリスが作った計画書ですよね」

「なんと!だが、これら書類は」

「収益予想に見覚えがあります。これはクリスが出した予想値でしょ。ね、アリス」


アランがアリスの顔を見て笑顔で言った。

アリスはその問いに頷く。


「なるほど」

「細かな点で多少の不足がありますが、クリスもいるのでこれなら大丈夫でしょう」

「そうか。かわった、アリスとの約束だ。ロジャース商会がこの事業計画を全力で支援しよう」

「あ、ありがとうございます」

「アリス、事業計画が認められてよかったな」

「え、ええ。・・・うん?」


認められたのは喜ばしころだったけど、アリスは素直に喜べなかった。


『クリスもいるから大丈夫』


ちょっと待って。これって言い方を変えればクリスがいなければダメだったかもしれないってことよね!


アリス自身(正確にはローラにも手伝ってもらった)が考えた案を認められている気がしなかった。

しかし、そこは商人の娘アリス。名より実を取ることを優先し、事業は無事ロジャース商会の了承を得て、ようやく開業準備へと取り掛かることになった。

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