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1-6 反省会
コンコン
「失礼します。クリスです」
「入っていらっしゃい」
扉を開けてクリスが部屋に入ってきた。
既にアリスとローラは事業計画の書類をまとめ終えクリスがいつ来ても大丈夫な状態にしていた。
だ、大丈夫よね・・・
今回の事業計画はこれまで以上に自信があったものの、これまで多くの事業計画を却下され続けてきたこともあり、
アリスは不安を払拭することができないでいた。
そしてローラもまた、初めての参加ということもあり、不安で緊張しているようだった。
クリスがいつもどおり席につくのを眺め、
今回はローラに事業計画の書類をクリスに渡させた。
書類を受け取ったクリスは計画書を読み始める。
・・・
しばらくの間、アリスは無言でクリスを眺め続けた。
態度には出さなかったものの、待っている間、握っている手は汗ばんでいた。
そして、しばらく事業計画眺めていたクリスがアリスを見て口を開き始める。
「この計画書はいつ作られたのでしょうか」
「先日、私とローラが余った時間を使って考えたのよ」
「そうだったんですか。面白い計画書ですね」
そう言うと、クリスの顔が笑顔になった。
「それは・・・つまり」
「もう少し練ったり変更したりしないといけない部分がありますが、その点を変更すればうまくいくんじゃないかなと私は思います。」
「上手くいくのね」
「ええ、ちゃんと詰めれば私は大丈夫だと思います」
その言葉を聴いて、アリスは笑みがこぼれるのを感じた。
ローラを見てみるとローラも嬉しそうにしている。
「よかったわ。それじゃあ継続しましょ」
「はい。それでいいかと思います」
「ところで、変更した方がいい点というのはどこなのかしら」
「それは商品の香水ですね」
「え?香水を?」
「はい、対象を貴族にしたり、高級品にしたり、匂いを選んだことは私も賛同するんですが、香水はおそらく貴族の方にとっては一般的なものになりつつあるのではないでしょうか」
「ええ、まぁそうだと思うわ」
「そういったものは既にブランド・・・つまり特定の商品や商会が有名どころとして名前が定着している可能性が非常に高いです。また、高級品は需要の絶対数が少ないため、この状況から新規参入で切り崩していくのは非常に難しいかと思います」
言われてみればそうだった。一度名を広めて顧客を獲得できれば非常に強いのだけど、だからこそ最初の切り口が難しい。
また、香水は貴族が使う贅沢品。残念なことにこれから貴族の数がどんどん増えていく見込みもない。
クリスが詳細に話してくれたけど、この戦略はゼロサムゲームと呼ばれるものでシェアが増えない状況で名声や価格で競争を行なっているような状況を指しているらしい。単に参入するのではなく何か新しさを出さなければ交友がどちらが高いかで結果が決まってしうので、よほど親密な相手がいなければ品質と交友に多額の投資をせざるをえず、利益が出にくい状況になってしまうとのことだった。
その言葉を聞いてアリスは落胆を隠せなかった。
ローラも理解できたのか少し落ち込んでいるようだ。
「じゃあ、どうすれば」
「そうですね。販売相手や商品は特に悪くないので匂いで他の商品を探してみてはいかがでしょうか」
「わかったわ。じゃあ、この事業計画はもう少し進めてみましょうか」
「はいい、それがよいかと思います」
結局、商品は別で他は継続という方向で落ち着くことになった。
アリスもローラもとりあえずは納得し、事業計画が継続することが決まったことを喜び合う。
クリスもその様子を見て終始笑顔だった。
こうして、アリスは再び商品探しを始めることになった。




