21 私は事前準備を怠らない
1-6 反省会
ローラとの事業計画の話は順調だった。
これまでと違い販売する相手は既に決まっている。相手が決まっていれば販売する内容も含めてこれまで滞っていた進捗が嘘のように話が進んでいった。
今日もクリスとの打ち合わせの後、ローラと話を始める。
「ローラ、さあ始めましょう」
「はい、アリス様。今回はどのようなお話となりますか」
最近、ローラがなんだか嬉しそうな気がする。もしかしたら貴族への憧れでもあるのかしら。
「ねえ、ローラ」
「あなたが貴族になったとしたら、まずはどういったことに気をつける?」
「そうですねえ」
ローラは考えている顔つきになり片手を頬に当てる。
「まずは身だしなみでしょうか」
「身だしなみといったらドレスやアクセサリーのことかしら」
「まあ、そうですね。でもそういったドレスは流行りに合わせるとどうしてどこかしら似ていると思うんですよね」
「なら着こなしとかアクセサリーで他の貴族との違いをだしているのかしら」
「そうだと思います。でも、着こなしはセンスの問題ですし、アクセサリーは自慢できるようなものになるとどうしても高級品となってしまうと思うんですよ」
「そうなのよね。そうすると貴族の機嫌に依存しちゃう商売になってしまうし」
「それだと困るんですか?」
「相手の好みに合わせるのはいいのよ。でも相手の細かい要望に応えているだけだと他の商会が同じようなことをすれば価格競争になってしまうわ。それに要望にただ応えるのではなく私達の商会だから信用して任せてくれるようなものを用意したいの」
「そうですねえ。それなら香水なんていかがでしょうか」
「香水。あれも高級品だったと思うけど」
「はい。でも女性が男性を魅了させるものとしては一番効果的なものかなと思います。それに前回お話ししていた高級品に入りますし、香水であれば貴族に合わせて多少の変更を行なうこともできますが、他の商会がまったく同じものを作れるかと言われれば、まったく同じものを作るにはそれはそれでけっこう大変かと思います。それにローラン王国は香水が盛んだと聞いたことがあります」
「そういえばそうね。確かにあなたの言うとおり香水を通じて貴族との交友を持てば、社交場で噂になるし、匂いだけでも十分宣伝の効果があるかもしれなわね」
「はい、いかがでしょうか」
「とりあえず、それで話をまとめてみましょう」
その後もアリスとローラは話しを続け、貴族向けの香水販売と言う形で話はまとまった。
その計画をまとめるまでに3ヶ月を要してしまったけど、計画に矛盾はなくアリスはこれまでにないくらい自信をもっている。
この話をクリスにしてみましょ!
事業計画の最初の障壁はクリス。
まず、これまでの経験からクリスが了承しなければ話しが進まないのが定例になりつつあった。
実際にはクリスの意見に反論が出せず、アリスが途中で挫折しているだけだったのだが。
シルバー商会の事例もあり、クリスには一定の評価をしているつもりだった。
だからこそクリスから了承を得られればすぐさま事業として実施だけだった。
今回は価格競争をしていない。大衆向けではなく販売先も絞ったので前回のような劣化品質がライバルとならない。それに販売相手は貴族。高級品を望む相手が顧客。これであれば前回のような解散はない。
よし、前回の反省を活かせている!これならいけるはずよ!
アリスはローラに感謝をし、事業計画書を取りまとめながら何度も読み直し、
ローラも呼んでクリスと事業計画の打ち合わせに望むことにした。




