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1-2 少女との出会い

アリスはとりあえず黒髪少女を馬車に乗せることにした。


最初は自力で試みたものの、少女の力では黒髪少女を持ち上げられなかったので仕方なく馬車を運転していた御者に頼んで運んでもらう。

そして黒髪少女を馬車に乗せると、馬車は再びカルロスの町へ向かい始めた。


「これ?誘拐じゃないわよね?」


そのまま放置するわけにもいかず、親切心で馬車に乗せたものの、黒髪少女の了承は得ていない。

行き先は同じだけど、目を覚ました黒髪少女が叫べばアリスが誘拐したと誤解されかねなかった。


「どうしようかしら」


アリスは頭を抱えながら対応を考えていると、黒髪少女が目を覚まして起き上がった。


周囲を見回しているということは場所の確認をしているのかもしれない。

初対面で9割が決まるとか聞いたことがあるけど反応はたぶん悪くなかったはず。

まずは相手の緊張を和らげるのが営業トークの基本かしら。


アリスは最大限に自然な笑顔を作り、黒髪少女に話しかけた。


「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます。ここは?」

「私の馬車の中よ。今はまだ町へ向かっている途中よ」

「そう、なんですか」

「驚いたわ。突然倒れてしまうんですから」

「すいません。ご迷惑をおかけして」


どうやら最初に悲鳴をあげられる危険はなくなったらしい。


叫ばれて大騒ぎになる心配はなくなったことにアリスは安心する。


「いいのよ。それより」

「はい」

「あなたはこれからどうする予定なの」

「えーと、私はこの紹介状の先の宿屋で働かせていただこうかと思っています」


黒髪少女がアリスに紹介状を見せてくれた。

そこには知っている名前の宿屋が書かれていた。


たぶんロジャース商会の取引先のひとつだろう。

宿屋とも書いてあるので住み込みなのかもしれない。

いいな、専用の使用人か。


そう考えていると、アリスは閃いた。


待てよ。どうせカルロスで働くなら私の部下として働いてもらえばいいのよ。彼女の身長は低かったからおそらく私より年下、見た目も可愛らしいし、話した感じも媚びる気配はまったくない。

これまでお父様から薦められた従者は監視が目的かもしれなかったけど今出会ったばかりなのでその心配もいらない。

よし、条件にピッタリね!あとは本人の了承を得るのみ。


アリスは黒髪少女を真剣に見つめた。


「ねえ、私の下で働いてみない」

「え?」

「私の下で働いてみないと言っているの」

「で、でも」


多少強引かもしれないが、チャンスは今しかない。

押し切れるなら押し切ってしまおうとアリスは考えた。


「泊まる部屋なら私が用意すわ。それにその宿屋も私の商会の取引先のひとつだから話しておいてあげる」

「でもお……私がいてもご迷惑ではないのしょうか」

「当然働いてもらうわ。それに泊まれる場所も用意してあげる。だから問題ないと思うわ」

「どういった仕事内容でしょうか」

「それは後で伝えてあげる。嫌だったら話の後で断ってくれてもいいわ」


黒髪少女は少し考えて頷いた。


よし!あとはお父様に話をつけるだけね。事前に話しておかないと。


馬車を操縦している御者に話を向ける。


「ねえ、いいでしょ」

「私に聞かれましても」

「わかったわ。私から話をします。その準備だけよろしくね」

「かしこまりました」


よしよし!これで取次ぎはできた。あとは面会したときにフォローするだけね。


アリスは思い通りに進み、チャンスをものにしたことに満足していると黒髪少女の名前をまだ聞いていないことに気づいた。

アリスは黒髪少女を見て自己紹介を始めた。


「決まりね。私の名前はアリス。アリス・ロジャースよ。歳は13才。あなたの名前は?」

「私の名前は……私の名前はクリスティーヌ。クリスと呼んでください。歳は12才です」

「わかったわクリス。よろしくね」


間があったのは何だろう。

少し不思議に思ったがアリスは気にしないことにした。


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