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1-6 反省会

は、恥ずかしい


アリスは泣いてしまったことが恥ずかしくてクリスの顔を見ることができず、腕にしがみつきながら歩いていた。

そして、その様子を見ている周囲からの視線もよりアリスを恥ずかしがらせた。

しばらくクリスに引っ張られながら歩いているとクリスがゆっくりと歩みを止める。

周囲を見回してみるそこは広場だった。

気が付けば既に日は暮れ始めており、乗ってきた馬車がアリス達を待っていた。


ようやく屋敷に戻れる。


アリス達は馬車に乗り、屋敷へ帰宅した。


帰宅後、アリスは自室で困惑していた。

会長室でアリスとクリスは仕事の場合を除き、自宅謹慎を受けてしまったがそんなことはどうでもよかった。

クリスがやったであろう火柱、小道で迷わなかったこと、そして泣いてしまったこと。

途中まで楽しかったはずの出来事を吹っ飛ばしてその3つの出来事が頭の中をぐるぐると駆け回る。


順に解決するために一番簡単そうな、泣いてしまった件について考えてみる。

最初は恐怖が理由かとアリスは考えていたけど何か腑に落ちない疑問が残る。

涙を流したときは既に逃げおえていた。逃げ終えた後にクリスと顔を合わせて安堵したことを思います。

そして思い出した瞬間、身が悶えるような恥ずかしさを感じ、思わず手で顔を覆う。


「もしかしてこれって・・・いや、ないない」


アリスは顔が赤くなり思考が麻痺しそうだった。慌ててこれ以上このことを考えるのはやめて、小道で迷わなかったことを考えることにした。

これは思う出してみれば案外簡単だった。逃げているときにクリスが地図を手にしていた。

一緒に歩いていたときに地図を買っていた覚えはないのだけど、もしかしたら何箇所かある繁華街の地図のうちのいくつかを用意していたのかもしれない。出発前に浮かれていた様子のクリスを思い浮かべてみると自然と納得ができた。


アリスは頷くと、最後にクリスがやったであろう火柱について考えることにした。

そして、あのときクリスが庇ってくれた姿を思い浮かべると顔が赤くなる。


「いや、違う違う。私が思い出したいのはそこじゃないの」


アリスは慌てて首を振り、今度は火柱の発生前後に絞って思う浮かべる。

あのときクリスは庇っていてくれた手を前にだし、何かを呟いていた。そして次の瞬間に火柱が起こった。

周囲に火を付けられるものはなかったはずだし、クリスの持ち物を把握して訳ではないけどナイフ以外に何かモノを取り出したような仕草もなかった。


「もしかして・・・魔法?」


アリスは言い伝えのような話や神話等でそう言った話しがあったことを思い出した。

とはいえ、魔法をやすやすと信じるほどアリスは子供ではない。

明日クリスに聞いてみよう。これ以上考えても無駄だと判断し、その日はこれで休むことにした。


翌日、アリスは仕事後に定例となりつつある事業計画を始めた。

事業計画は既に第6回にまで到達していたが、良案に辿り着ける気配がない。

また、昨日のこともあり、アリスもクリスも若干よそよそしくなり話がまったく進まない。

このままではいけない。そう思って空気を破ったのはアリスだった。


「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」

「はい、なんでしょうか」


クリスが少しピクリと反応した。

クリスが珍しく動揺している姿に驚いたが、アリスは話を続けることにした。


「逃げているときのことなんだけど、あのときよく小道で迷わなかったわね」

「ああ、あれですか。あれはアリスさんと少し離れたときに露店で地図を貰ったんですよ。周るときに便利かなと思って」

「やっぱりそうだったのね」


とりあえずアリスは疑問と解がある程度同じだったので納得する。


「じゃあ、あの火は何?どうやって出したの?

「火、ですか」

「そう。あのとき火を出せるような場所じゃなかったわよね」

「それは・・・」

「それは?」

「それは・・・」

「どうやったら出せるの?」


クリスは動揺して目をそらし、斜め上を見た。そして再び顔を合わせた。


「手品です」

「手品?」


クリスが何となく嘘をついている気がした。


「手品なら方法があるんでしょ。じゃあ私にも教えてよ」

「そういうのはタネを明かさないものなのです」


クリスが目を逸らしながら言う。

もし、魔法と言われれば素質の問題もあるかもしれないので諦めがついたかもしれない。

アリス自身、魔力など持っていない自負はあった。

しかし、手品と聞いてしまったことでもしかしたらという希望をアリスは持ってしまった。


できるかもしれないのに教えてもらえない。

そして、クリスは何か嘘をついている。


クリスが教えられない理由がわからず、

アリスは顔を膨らませて終始不機嫌なまま終わった。


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