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1-5 お出かけ

その後、二人は適当に雑談をした後クリスは部屋へ戻っていったのだが、アリスは自室で悩んでいた。


「どうしようかしら」


悩んでいたのは仕事と外出の件だった。

事業で適格に欠点を指摘してくれるクリスは、アリスの事業計画の作成でいないと困るのだ。

おそらく経理部が仕事を増やしているのはアリスと会う時間をわざと減らそうとしてきている。

そして犯人は父ウィリアムであることはアリスにも想像がついた。

そのため配置換えをお願いするのも難しかった。


「事業計画さえすすめばなんとかなるんだけど」


アリスは事業計画に目をやるがまったく進んでいなかった。

自分の従者を奪おうとするのは自分の父親であっても許せなかった。


そして、もうひとつの問題が外出の件だった。

クリスは幼いという部分を除けばかなりの美人であった。スタイルは守りたくなるような華奢な身体で、幼さの残る整った顔立ち。

髪質は良く、黒くさらさらした長髪を持っていた。普通に一緒に出歩ければどうしても目立ってしまうだろう。

そのクリスはアリスの従者であり、いずれ右腕になってもらう存在なのだ。

治安が良くて活気がある町とはいえ危ない場所はある。

世間知らずなことも考えればクリスを一人で町を歩かせる訳には行かなかった。

とはいえ従者なので自分が普段歩くような所へ行っても十分に楽しめないだろう。

せっかくクリスが珍しく頼ってくれたのだ。主人としての頼もしさを発揮するチャンスをモノにしたかった。

アリスは使用人のローラを呼び、護衛やルートを含めて慎重に選ぶことにする。


「町へお出かけですか?いつものところではダメなんでしょうか」

「うーん、商会で働いているからお客さんの気持ちをもう少し知りたくてね」

「左様でございますか。それではローラン王国側の街道沿いにある露店や商店の並ぶ辺りへ足を運ばれてみてはいかがでしょうか」

「あら、そこには何があるの」

「食べ物からアクセサリーまでいろいろございます。それにあちらの方面はにぎわっている分ロジャース商会の人たちも買い物にむかったりしますので何かあったときに頼ることもできるかと思います」

「あら、それはいいわね」

「ただ。アリス様、町にでかけるのはよろしいのですが、3点ほどお気をつけ下さい」

「何かしら」

「1点目は盗難です。町にはスリもいたりします。変装して、護衛も2~3人付けてください。それなら一緒に買い物をしているようにも見えますから周囲もあまり気にしないと思います」

「わかったわ」

「2点目は場所です。町には小道があり、それらは迷路のようになっています。ですので露店などを外れても小道に入ってしまわないようお気をつけ下さい」

「それは大丈夫だと思うわ」

「3点目は人目です。馬車で向かわれるかと思いますが、私たちのような庶民には馬車は個人で所有して乗れるようなものではございません。人が賑わっているところの手前で降りて、そこから向かわれることをおすすめします」

「わかったわ。ありがとう」


ローラの話はとても参考になった。


さっそくアリスはローラの忠告に従い、屋敷内で護衛を探した。

直接雇っている兵士を選んでもよかったのだが知らない兵士を連れるのはなんだか嫌だった。

さいわい他の使用人に話しを聞いて、喧嘩に強いらしい使用人が2人ほどいたのでお願いをしてみたらあっさり了承してくれた。


「よし、これで大丈夫ね」


アリスは準備が整うと、お出かけの当日にまで仕事が回らないようにしっかりと仕事をこなした。


そしてクリスと約束したお出かけの当日。


屋敷前で待ち合わせの約束をしていたのだがクリスは既に準備をして待っていた。


「そんなに嬉しかったのかしら」


アリスのもとへ向かう途中、そう呟いたがアリスもクリスが嬉しそうにそわそわしている様子をみて、なんだか嬉しくなった。

そしてクリスが待っているもとへと向かうとクリスも気づいたようだ。


「アリスさん、おはようございます」

「おはよう、クリス。今日もいい天気ね」

「はい。とっても嬉しいです。ちなみにこれからどちらに向かわれる予定なんですか」

「ふふふ。それはお楽しみよ。それじゃ、行きましょうか」

「はい!よろしくお願いします!」


屋敷を出るときは馬車にのって途中の広場まで向かう。

そこでローラ言いつけを守り、馬車は途中の広場で止めてて夕方に再び来るように伝え、アリスとクリス達は歩いて目的の場所へむかう。

その間は仕事の話はやめて普段何をしているのかと言った雑談に花を咲かせることにした。


「クリスはどんな服が好きなの?」

「え?うーん、普段制服ですし、服装に流行に疎いんでよくわからないですねぇ」

「そ、そうなの。じゃ、じゃあお花はどういったものが好きなのかしら」

「お花ですか?うーん、タンポポ?」

「え?聞いたことない」

「黄色い花で花びらがたくさんあって綿毛のついた種子を飛ばせるやつですよ」

「ダンデライオンのことかしら」

「あ?そうそう、たぶんそれだと思います!」

「クリスは変わった呼び方をするのね」

「え?あはは・・・なんか異国の言葉で気にいったのでつい」

「確かに面白い名前よね」

「そう、ですよね?そうですよね!」


と言った感じに。


ローラからは女の子と言えばお花とファッションと恋話と聞いていたのだけど何か違う気がする。

それにたんタンポポなんて言葉、どこで知ったのかしら?


そう思いつつもクリスの別の一面を見れてということで、概ね成功だと思うことにした。


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