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1 私は見捨てない

1-1 はじまりはいつだって理不尽


私の名前はアリス。アリス・ロジャース。

年齢は13歳、身長は小柄で160cmくらい、金髪に青い目をしています。

お父様はロジャース商会という都市国家カルロスの3大商会のひとつを今も運営しています。


 大学での自己紹介はこんな感じだったかな。


 アリスはロジャース商会の娘としてローラン王国の大学に通い、文字の書き方から算術、経営や人の統率などを数年間勉強してきた。


 そして、その大学生活に終わりを告げ、今は馬車にのって帰国をしているところだった。


「……はぁ、やっとカルロスに帰れる」


 アリスは馬車でため息をついた。今思い返しても大学生活は憂鬱だった。

 ロジャース商会の令嬢であったこともあり、話しかけてくるのは財産目的で言い寄る貴族ばかり、そうじゃなければ妾にしようと見た目で判断する下種達。その日々にうんざりしていた。


 それでも我慢して大学に通っていたのはアリスには夢があったから。


 自分で事業を作り独立する。


 今のアリスにとって、貴族は将来の得意先として仲良くなったとしても、婚約相手とはなりえなかった。

 もっとも、今考えてみれば営業トークが貴族達に誤解させている原因のひとつであったのかもしれない。


 そんなことを考えながら、馬車に揺られて帰宅中にある森の街道を進んでいると、不意に黒髪の少女が道端を歩いているのが見えた。


「ちょっと馬車を止めてちょうだい」


 御者はアリスの指示に従い馬車を止めた。

 見間違いかと思ったが、やはり歩いているのは少女のようだった。

 ローラン王国とカルロスを繋ぐ街道は比較的治安がよかったものの狼と呼ばれる魔物が出現することもあれば、盗賊だっている。

 少女一人で森の街道を出歩いているなど極めて危険な行為でしかなかった。

 アリスは馬車を降りて、少女のもとへ向かう。


「カイロスへ向かわれるのですか」

「はい」


 よかった。どうやら行き先は同じらしい。

 アリスは予想が間違っていないことに安心し、言葉を続けた。


「大変でしたでしょ」

「いえ、それにもう少しだと思いますし」

「お強いのですね」

「ありがとうございます」


 もしかしたら旅に慣れているのかもしれない。

 それでも、一人旅は危険なのだから誘っておくべきだろうか。

 少し悩んだが、アリスは黒髪の少女を誘うことにした。


「女の一人旅は危険でしょう。よかったらご一緒しませんか。」

「え?」

「え?」


 黒髪の少女は驚いた表情をし、なにやら自らの胸を触ったり股間に手を当てたりする。アリスは黒髪の少女の反応に驚く。


な、何はしたないことしているの!


 アリスは内心そう思ったが、恥ずかしくて声もだせず、自分の顔が赤くなるのを感じた。

 一方、黒髪の少女は顔を青くさせ、なにやら鞄から何かを取り出し確認すると


……突然意識を失った。


「え?私のせい?」


 アリスは起こったことが理解できず、体が動かなかった。

 そして倒れている彼女をただ呆然と見ていた。


 これが黒髪の少女との出会いだった。


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