あつあつおやこ
お日さまさんさん、空は晴れ。
じりじりかんかん、アツアツひなた。
お日さまにこにこ、風もなし。
ジリジリムシムシ、あつあつひかげ。
キジシロ母さん、ひかげでごろん。
いつもは冷たい床の上でも、今日はやっぱりあついみたい。
子猫の姉妹と子犬はひなたで一緒にピョンピョンころころ。そこへ子うさぎがぴょこたんすると、猫と犬とうさぎはごろごろしました。
あらあら、あつくないのかしら?
元気な子らは、さんさんひなたであっちへごろごろ、こっちへごろごろ。
すると、どこからともなく、もくもく雲が、もりもりむくむくやってきました。
ひなたも、いつのまにかひかげになって過ごしやすくなりました。
子どもたちは、さらに元気に
地面でごろごろ。
空でもゴロゴロ。
……?
空がピカッと光り、ぽつぽつこぼれた大きな雨がうさぎの耳にあたりました。
「あら?」
うさぎが顔をあげると、ぽつぽつは子犬の鼻に、猫のしっぽにこぼれました。
「ありゃ?」
「「あれ?」」
どーん。
と、空で雲が大きな声で鳴いたので、子どもたちは思わず飛び上がりました。
「「お母さん!」」
「お母たん」
「おかしゃん」
姉妹がヒョコヒョコ跳ねるように日蔭の母さんにお腹に飛び込むと、うさぎも子犬もすぐにキジシロ母さんのところでブルブル震えながら身を寄せあいました。
兄弟の中でも一番小さな子犬はまだちゃんと「おかあさん」と言えず「おかしゃん」になってしまいます。
母さんは帰って来た子たちの抱えながら、うさぎの耳をしっぽで押さえてあげました。
ピカピカゴロゴロ黒い雲。
雲の中には大きな大きな声を出す、大きな大きな猫がいると姉妹は思ってブルブルしました。そのとなりでは大きな大きな犬を思い浮かべて子犬もブルブルしていました。
けれど、みんなでいれば大丈夫。母さんがきっと守ってくれると、みんな何となく思いました。
キジシロ母さんは、雲の上で黒い大きな何かが咆えて、雨をたくさんこぼす音を聞きいていました。
ゴロゴロザーザー。
ゴロゴロザーザー。
いつのまにか、子どもたちはお母さんのおなかの上でスゥスゥ、クゥクゥ。
夢の中でみんなでごろごろ。
雨さん、少し静かにしてくれないかしら? そんなにザーザーしなくても、空から降りてこられるでしょう?
母さんは空を見ながら思います。
雲の向こうの誰かさん、そんなにゴロゴロしなくても、ちゃんと聞こえているわ。何かいいことがあったのね。
キジシロ母さんは雨のおかげで涼しくなって、空の彼方の誰かのようにゴロゴロのどを鳴らして上機嫌。
「ああ、すごい雨ね……」
そこへ一匹の三毛猫が雨宿りに入ってきました。
「あら、いらっしゃい」
母さんは小さな声で三毛猫を歓迎していいました。
近所に住んでいる友達の茶色の多い三毛猫のお姉さんはキジシロのお腹を枕にして眠る子どもたちに目を細めながら言いました。
「雨が降って涼しくなったわね」
「ええ、そうね」
元気よく寝ていた子猫の妹が寝ぼけてコロコロと母さんのもとからはなれてしまいました。
三毛猫は子猫を咥えると、キジシロのお腹に戻してやりました。
「……ちょっと」
「あら、間違っていたかしら?」
三毛猫が言うと、キジシロは「いえ、間違ってはいないけど……」
「……?」
「少し、暑いわね」と言って、子どもたちを抱き寄せました。
「ええ、そうね」と三毛猫は、雨がどこかに帰って行くのを聞きながら頷きました。