表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】護国少年  作者: 東雲飛鶴
第四章 護りたい人が出来たんだ
77/97

四章 32

「ガアアアアアアッ!」

 人狼の咆哮が、圧を伴って僕にぶつかってくる。

 思わず、双剣でガードしてしまう。

 気圧される! そう思った瞬間、僕の体が数メートル後ろのフェンスまで吹き飛んだ。

「ぐあッ」

 己で視界を遮ったんだ。自業自得。

 そのスキをついて、陸は僕に蹴りを食らわした。

(ヤバい、突っ込んでくる!)

 僕は急いで起き上がり、脇に向かってダイブした。

 受け身を取った直後、けたたましい音とともにフェンスが悲鳴を上げた。

 背後を見上げると、高さ三メートルはあるフェンスが、真っ二つに引き裂かれていた。

 ――人狼の鋭い爪だ。あれを喰らったら、タダじゃ済まない。

 僕は陸の殺意に戦慄した。

 嬲り者にされたことはあっても、本気で殺されそうになったことなんてなかったんだ。


 だが、こいつを倒さなければ伊緒里ちゃんの平穏は訪れない――――!!


「どうした、よそ者。逃げるしか脳がないのか? 達者なのは口だけか?」

 陸が余裕たっぷりに言った。

 ――クソッタレ。

「逃げる気はないよ。逃げる気は。だが――殺される気もないッ!」

 僕は双剣を頭上に振り上げ、陸に飛びかかった。

 だがヤツは上体をすっと引いて避けてしまう。右、左と振りかぶるが、それも長い爪で受け流されてしまった。

(こんなハズじゃ……僕はもっと――)

「警戒して損したぜ。イクサガミがこんなヘタレだったとはな。お前の兄貴とはえらい違いだな」殺意は若干薄れ、その代わりに僕をナメ切っている。はっきり言ってイラついてしょうがない。

「兄貴は関係ねえだろ!」

 今度は陸が爪を打ち下ろしてきた。二度、三度、剣で受ける。ヤツの斬撃は、軽く振り下ろしているように見えるのにひどく重い。

 だが、こっちだって武神の家系だ。やられるワケにはいかない!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ