表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】護国少年  作者: 東雲飛鶴
第四章 護りたい人が出来たんだ
75/97

四章 30

「だれが同情してくれなんて言った! 貴様の喉笛噛み千切ってやる!」

 次の瞬間、目の前にずらりと並んだ鋭い牙が現れた。

 ふっと身を引くと、ガチッと顎が閉じる。

「うわッ! ホントに噛みつきやがった」

 僕は咄嗟に二、三歩バックステップで距離を取った。背中にイヤな汗が流れる。

 僕の眼前で、オレンジ色の街灯に浮かんだその姿は、人であって人でない。

 精悍な体躯に犬科動物の頭部、そしてふさふさした尻尾。

 人狼化した陸が、鬼の形相、いや猛獣の形相で僕を睨んで立っていた。

「逃げんな! 大人しく噛まれろ! 南方威!」

 見た目は強そうだが、おつむは高校生のまま。どうにも緊張感が維持しにくい相手だ。

 ミント臭の犯人もおそらくコイツだ。きっとメントスでも食ってたんだろう。

 狼の口では発音しづらいのか、元の声とは違って聞こえる。

「やなこった! 逆恨みで食われる義理はねえ! ギャン泣きすっまでボコボコにしてやんぞ!」僕は啖呵を切って、双剣を構えた。すこしづつ後ろに下がって、陸との距離をさらに取った。

「伊緒里は俺のもんだ! 貴様を殺して取り返す!」

「殺したってムリだってのが、どうしてわかんないんだこの犬頭!!」

「犬頭言うなああああああ!!」

 激高した陸が突進してきた。

 僕もダッシュを始める。

 陸の手が僕に届きそうになった瞬間――、僕はヤツの足下にスライディングした。

「!?」

 陸が僕を見失った直後、僕はすぐさま起き上がり、基地のフェンスめがけて突っ走った。

 あと三歩、二歩、一歩――

「でやあッ!!」

 僕はフェンスの前で思いっきり踏み切って、三メートルもの高さを一気に飛び越えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ