表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】護国少年  作者: 東雲飛鶴
第四章 護りたい人が出来たんだ
53/97

四章 8

 僕は夢中で伊緒里ちゃんと抱き合っていた。

 ふっと気付くと、頬を赤く染めた伊緒里ちゃんが、自立出来ないくらいトロントロンになっている。虚ろな目をした伊緒里ちゃんのお口から僕の口元まで、透明な筋が弧を描いて揺れていた。


 ――あ、あああああ、やっちまった!


 みなもとケンカしてご無沙汰だったから、自制が効かなかったんだ。

 ……うああ……どうしよう。

 告っていきなり何てことしてんだ僕は……。

「あ…………ごめん。いきなりこんなことして……」

 僕はべったり張り付いた伊緒里ちゃんの体をすこし離した。

 もっとも、伊緒里ちゃんもほぼ同意だとは思うから、怒りはしないだろう……たぶん。

 伊緒里ちゃんがすっかり脱力してるので、抱き抱えてないと倒れてしまいそう。濡れた唇をわずかに開いて、はぁはぁと荒い息を吐いている。

 それにしても、こんな酔っ払ったみたいに……どうして?

「ん……んぅ……、すごい……なに……ぅ……」

 伊緒里ちゃんが、まるで鯉のように口をぱくぱくさせている。さくらんぼのように赤くてつやつやな唇が、僕を誘う。

「まさか、さ、酸欠!? い、息吸って! 吸って!」

 というかむしろ、人工呼吸するべきなのか?

「ちが……うょ。やっぱり……威くん神サマだから……人間だと酔っちゃうのね……」

「へ? 酔うって? なに、まさか唾液とか? 大丈夫? 保健室いく?」

 そんなバカな。神族の唾液で人間が酔うなんて、聞いたことがない。

 だって、みなもがそんな症状になったことは今までなかったし。いや、多少はトロンとしてたような気もするけど。でも、ここまで重症じゃない。常識の範疇だ。

 ……まさかあいつの場合は、長期間に亘る摂取での免疫か?

 不安になった僕は、伊緒里ちゃんを抱えて、池の近くのベンチに横たえた。しばらく様子を見ていると、さほど経たずに伊緒里ちゃんは回復した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ