表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】護国少年  作者: 東雲飛鶴
第三章 転校生と島の乙女たち、そしてイクサガミという生活
32/97

三章 8

 いつしか僕は、ツインテールさんの話に聞き入っていた。

「戦勝パレードの時よ。皇国は彼を暗殺しようとして、かばった瑞希姫が死んだの。二人の結婚で、天津神ではない彼が皇室に連なることに反対した一派の犯行、とされてるわ」

 ――皇国がイクサガミを裏切る? もしかして、僕も裏切られるの?

「フン、自分も憂き目を見るんじゃないかって心配してんでしょ。それはないわ。だってあんたには誰も期待なんかしてないんだから」

「ううぅ……」わかっちゃいるけど、今度は僕がしなびてきたよ。

「で、そんなあんたの巫女になるはずだったのが、この私。なのにどうしてソックリさんがあんたの巫女なわけ? あれだけ必死に写真を隠していたのに、今更瑞希姫を国威高揚にでも利用しようって魂胆なわけ? 意味わかんないんだけど。やっぱあの子は瑞希姫の転生体なんじゃないのかしら。だったら色々と説明つくんだけど」

 彼女はいつのまにか、再びプリプリツインテールさんに戻っていた。なんか人事的に問題があったらしい。

「確かに……。みなもは皇室関係者でも天津神に連なる血筋でもない……はず。もしかしたら僕が知らないだけかもしれないけど」

 うーん、と僕は顎に手を当てて考え込んだ。

「そもそも、順番から言ったら次は私だったのよ。次にイクサガミが就任したら巫女になるって神宮省からも言われてたのに。あーもーガッカリだわ」

 ツインテールさんの全身から強い失望がダダ漏れている。

「そ、それは残念だったね」

 みなもも扱いづらい子だけど、彼女がバディだったら、それはそれで苦労しそうだ。

「だってさ、あんたの次にイクサガミになりそうなのって、みんな小学生とか幼稚園児じゃない。そんなの待ってたらBBAになっちゃうわよ、ったくもー」

 死ぬほどウンザリ感が伝わってくるような顔でツインテールさんは続けた。

「まあいいわ。じゃ、控えってことで私もあんたの巫女にしてもらうわ。お飾り巫女なんかに負けない自信あるんだから」

 ツインテールさんは、次期戦巫女になるはずだったのだから、きっとすげーキビシイ修業とかしてて、実力があるんだろう。僕の想像も及ばないくらい悔しかったに違いない。

 しかし、僕自身に戦巫女の人事権はなさそうだし、一体どうすれば……

 なんて悩んでいたら、

「威、おまたせー」「南方くん、遅くなってごめんなさい」

 と、みなもと八坂伊緒里お姉さんがやって来た。しかも、仲良く手をつないで。いつからお前等はそんな仲良しさんになったんだ? 保健室で、かな?

 結局、ツインテールさんこと明日華ちゃんと僕らは一緒に昼メシを食うことになった。僕は転校早々ブッ倒れたから知らなかったけど、明日華ちゃんも同じクラスだそうだ。OH、なんてこった。

 僕の新しい学園生活は、早々にカオスな様相を呈してきたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ