二章 3
そんな怒濤の買い物を終えて僕らがホテルに戻ったのは、夕方近くだった。
部屋に戻って休んでいると、みなもが買い物袋を片っ端から開封して、ソファーでぐったりしている僕の前で、ファッションショーを嬉々として始めやがった。
「明日着てくのどれがいい? ねーねー」
涼しげなワンピースを二着、交互に胸に当てて、みなもは僕に見せる。
「好きなのにすりゃいいだろ」正直けっこう疲れてた。
「彼女の服ぐらいちゃんと吟味してくんなきゃダメだよ!」みなもがキレ気味に言った。
「いつから僕達付き合ってんだよ。お前は僕の恋人じゃないんだろ」
僕は吐き捨てた。
いつまで経っても僕を恋人認定してくれないのは、みなもの方なんだから。
ぐっ……、とみなもは悔しそうに一旦言葉を飲み込んだ。そして、
「た、威の巫女、だもん」とボソリと言った。
「じゃ、制服あるから私服は関係ねえよな」
僕はソファーの上で、ゴロリと背を向けた。
「……………………威のバカ!」というみなものシャウトと共に、僕の背中にはキックの雨が降った。二十三コンボだった。
別に間違ったこと、言ってないじゃん。クソッタレ。