憂鬱な観察者
観察者効果というものがある。
最も有名な例は、量子力学における不確定性原理の説明に登場するものだろう(不確定性原理自体は、観察者効果ではない)。
原子や分子などの極細微の物理においては、速度を観測すると位置がより不確定になってしまい、位置を観測すると速度がより不確定になる(時間とエネルギーに関しても同じ関係性がある)。この、観測する行為が、対象に影響を与えてしまう現象を、観察者効果(または、観測者効果)と呼ぶのだ。観測行為が、対象に影響を与えてしまうのだから、それはつまりは客観的な事実などではない。これが避けられないのなら、完全な客体を捉えるのは、不可能だという事になる。我々は、観察行為の影響によって変異したものしか捉える事ができない。
これは物理学によって導き出されたものだが、この点をよく理解しておく必要があるのは、むしろマクロの領域、動物行動学や文化人類学などではないかと思う。
実際、檻の中に入れられた動物の群れを観察する事で得られた結論には、多くの疑問の声が上がっているのだ。ニホンザルにはボスがいてその地位に順列があると考えられているが、野生のニホンザルには順列などないという報告例があるし、イヌについても似たような報告例が上がっている(もっとも、これらは、全ての事例を観察した訳ではないだろうから、全ての野生の群れにおいて、完全に順列がないとは言い切れないはずだ)。実験動物としてよく利用されているネズミでも、カゴの中の行動が野生のそれと大きく違う事例が報告されている。
つまり、観察行為の為に特別に用意された環境の所為で、動物の行動が歪められ、違った形で現れてしまうのだ。それを本来の動物の習性として捉える訳にいかないのは、誰でも当たり前に分かるだろう。
文化人類学や民俗学などのフィールドワークでも似たような問題がある。その社会集団を観察する際に、異分子である観察者の影響で、その社会集団がどれだけ変異してしまっているのかは分からないのだ。
では、その問題を改善する為には、どうすれば良いのだろう?
野生の生物を観察する場合は、可能な限り隠れて観察する方法や、影響を排除した状態に近付けて観察する方法がある。隠しカメラで撮影したり、動物達が警戒心を抱かなくなるまで辛抱強く一緒に過ごし、出来うる限り、自然な状態のそれを捉えるのだ。
私の執った改善手段は、恐らくは後者に近いだろう。ただし、私の観察対象は、野生生物ではない。ヒトだ。
私の名前は菊池奈央という。性別は女性。大学生をしている。私は新しい発想での独自の心理学の方法、及びに理論を考えており、演繹的に導き出したそれの正しさを検証する為、人間集団の観察を必要としているのだ。
だから私は、大学で手頃なサークルに入り、その集団を観察する事にした。入ったサークルは“インターネット文化研究会”という名で、建前上は『ネットに生じた文化の研究を行う』という事になってはいたが、実際はただ単に、ネット上でグルメやレジャー施設等の情報を拾っては、皆で遊びに行くというただそれだけのものだ。
私は自分が新しい心理学を考えているような特殊な学生である事は隠して、サークル活動をただ楽しんでいるよう装った。それは当然、前述した問題を改善する為だ。心理学の研究者という観察者の視線によって、人間集団の行動が歪んでしまう事を避ける為。
私が考えている新しい心理学は、人間の行動原理の論拠を、進化論に求めるというものだ。動物の行動や形態の説明を、進化論に求めるという発想は多く存在する。寒い地方に住む動物が毛を生やしたり、脂肪を蓄えたりといった形態になったのは、寒さに適応する為だと説明されるし、オス同士が闘い、勝った方とメスが性交するといった行動を執るのは、より優秀な種を残す為だと説明される。
ならば、人間の行動にだって、この考えが応用できるのではないだろうか。
ただし、人間の行動を観察し、その上で進化論に当て嵌め、その行動の原因を推察するというのでは、単なる解釈の遊びに堕してしまう可能性がある。私はできれば、進化論より演繹的に人間の行動原理を導出し、その上でそれを観察によって確かめるというプロセスを執りたいと思っている。
ここで注意すべきなのは、進化論を道具に用いるのであれば、当然、その弱点を押さえておかなくてはならない事だろう。
まず、進化によって獲得する形質(ここでは、その行動も形質に含めるとする)は、必ず生き残りに有利に働くという前提は、実は誤りである。つまり、進化には無意味進化も有り得るのだ。生き残りのロジックによって、解答(近似解)を見つけ出す思考方法を、遺伝的アルゴリズムと呼ぶが、これはただ単に生き残って来たものを選ぶに過ぎない。生物学者などは、ある動物の形質に注目をしては、あれこれと生き残りに有利に働く理由を推察するが、それが誤りである可能性もかなり高いのだ。
例えば、シマウマの縞模様。あれは、サバンナにおいて迷彩代わりになるなどと説明されているが、実際はかなり目立つ。むしろ生き残りに不利になっているとすら思えるのだ。
また、仮に生き残りに有利であったとしても、ベストな手段を選んでいるとは限らない事にも注意が必要だ。
これは適応度地形と呼ばれる概念を持ち出すと、分かり易い。“進化する”事を、この概念では山を登る事と表現する(谷の場合もあるのだが、イメージし易いので、山と表現する方が多いようである)。ところが、生物達自身にはその登っている山が高い山なのか、低い山なのかが分からないのだ。実はその進化は、低い山を登る行為なのかもしれない。山が低ければ、例え登り切っても、最も環境に適応した生物にはなれない。つまり、それは不効率な適応だ。
これはキリンを観れば分かり易い。確かに首を伸ばしたお蔭で、キリンは高い木に生える草を食べられるようになった。しかし、同時に、あの長い首の所為で、キリンはかなりのコストを強いられ、低地の水や草を摂取し難いなどといった制約も受けている。実際、キリンはそれほど成功した種ではない。つまり、キリンは低い適応度地形の山を登ってしまったのだ。
進化論をベースに心理学を展開する場合、このような“無意味進化”と“低い適応度地形”を考慮に入れなければならない。人間が獲得した形質の中にも、このようなものが存在する可能性は大いにあり、生き残り上無意味だからとそれを否定したり、非効率だからと避けたりすれば、その先入観の所為で、誤った結論に至る危険がある。
人間心理の中には、生き残り上、無意味で非効率なものも存在するかもしれないのだ。
また、進化上、人間がその形質を獲得していたとしても、その発現は間接的なプロセスを経るものが多い点にも注意が必要だ。
例えば、近親相姦は遺伝病などの近交弱勢を引き起こす可能性が高いが、これを防ぐ為にある人間の性質は、ごく幼い時期に周囲にいた異性に恋愛感情を抱き難いといったものだったり(必然的にその異性は、親兄弟姉妹の可能性が大きくなるからだろう)、汗の臭いから同じ遺伝子を避けるといったものだったりする(これらの説は、いずれも仮説ではあるが、考慮には値する)。
次に心理学を自然科学として扱う場合の問題点について説明しよう。
何より問題に上げられるのは、心理学の検証のし難さだろう。調査や実験によって情報を集め、その理論の正しさを検証するプロセスが自然科学にはあるが、心理学ではこれが極めて難しい。
まず、人間の心は本質的にブラックボックスであり、観察ができない。仕方なく、その行動から理論の検証を行う訳だが、そこにはかなり観察者の解釈が入り込む。これでは真っ当に検証はできない。また、性格診断などで、学者から言われたそれを、対象の人間が自分のものと思い込んでしまうケースも存在するし、誰にでも当て嵌まるような記述を、自分の性格を表現していると捉えてしまうバーナム効果も存在する(或いは、これも観察者効果と呼べるのかもしれない)。つまり、“心”は、正確な情報を集める事が難しいのだ。
このような問題点があった為、心理学には行動主義心理学という学派が生まれた。心理学が扱うのは、飽くまで“人間の行動のみ”という考え方だ。
私は一応、この考えを踏襲しようと思う。つまり、基本的に注目をするのは、人間の行動のみだ。解釈は極力、避ける。
検証の為の方法は主に二つ考えている。
一つは社会の風習などの情報を集め、自説の検証に利用するという方法。これには、主に文化人類学や民俗学などの資料を当たろうと思う。一応断っておくが、これは精神分析学のフロイトや分析心理学のユングなどが行ったような神話等の分析ではない。飽くまで、その風習で人間がどのような行動を執っているかに注目する。一例を挙げるのなら、近交弱勢を防ぐ為に、人間には近親相姦を厭う心理があると予想できるが、社会の風習に注目をすると、近親相姦はどの文化でも禁忌とされている場合が非常に多いのだ(ただし、神話やフィクションの物語では、近親相姦は多いので、そこには複雑な心理があると予想できる)。
もう一つの検証方法は、社会集団に混ざり、その人間の行動を観察するというものだ。この利点は、自分から働きかけ、その結果を観察できる事だろう。つまり実験ができるのだ。もちろん疑われないように、細心の注意を払う必要がある。
先ほども述べたが、私はその為に大学の“インターネット文化研究会”というサークルに所属をし、普通の女学生を装った。
「今日、カラオケに行かない?」
白花綾香からそう誘われた。講義が終わって偶然に道で会い、少し話をした後のタイミングだった。彼女は“インターネット文化研究会”に所属している。しかし、これはその活動とは関係がないだろう。一瞬、断ろうかとも思ったが、私の目的はサークル活動を行う事ではないと思い直すと、こう応えた。
「ええ、構わないわよ。どうせなら、園上さんと星君も誘いましょうよ。確か、この時間は空いているはずだから」
私の目的は、飽くまで人間行動の観察。そしてそれはサークル活動ではなくても充分に行える。いや、むしろその方が、情報量はより多く正確になるかもしれない。
「おっけ。じゃ、電話してみるわ」
そう言うと、白花綾香はまず星はじめに電話をかけたようだった。喋り方、声のトーンで直ぐに分かる。嬉しそうにしている。そして次に園上ヒナに電話をかけた。彼女達は仲が非常に良いように思える。タイプは明らかに違うが、だからこそ補い合えるという事はあるのかもしれない。
白花綾香からは活発な印象を受けるが、実際はかなり繊細でよく他人を気遣っている。私はそんな彼女にはよく共感することがある。それに対して園上ヒナは冷たい印象で淡白だ。決して性格が悪い訳ではないのだが、多少、辛辣な発言が多い。私は彼女に共感を抱く事はほとんどない。
――実はその、タイプが違うという点が私の研究にとって少々難点ではあるのだが、これは仕方がないだろう。彼女達以上に、調査対象に相応しい人間は、“インターネット文化研究会”にはいないのだから。
彼女達は二人とも、どうやら星はじめという男生徒を好きであるようだ。ただし、奪い合っているという訳でもないし、二人とも明確に好きだと告白するような事もしていない。現在はまだ友人関係でとどまっており、微妙なバランス上にそれが成立している。
星はじめという男生徒は、それほど優秀な個体ではない。顔は標準で、背は少し高いくらいで、運動神経も恐らくは並だろうし成績も並クラスだ。これも実は私の研究にとって不向きな条件なのだが、ただ、彼の性格は非常に温和でとても優しいから、それでカバーできているかもしれない。
それに、異性を好きになると、その異性以外は目に入らなくなるという傾向を、人間は持つものらしい(もちろん、その傾向には個人差がある。そして、その傾向は恐らくは、男性よりも女性の方が強いと予想できる。これについてはその理由を後述する)。だから、これはそれほど気にするような事でもないのかもしれない。
カラオケに行く為に集まると、そこには白花綾香、園上ヒナ、星はじめ以外にも、男生徒が一人来ていた。
「誰も呼んでないわよね?」
と、その男生徒を見ながら園上ヒナが言う。すると、その男生徒の代わりに星はじめが口を開いた。
「皆とカラオケに行くって言ったら、付いて来ちゃってさ」
困ったような表情。実際、少し困っていたのかもしれない。その後で、その男生徒が続ける。
「当たり前だ。女三人に、男一人なんて、そんなハーレム・シチュエーションを、星に体験させて堪るかってんだ。なんでこいつばっかりそんなに恵まれなくちゃならない」
女三人?
私はその言葉を疑問に感じた。少し迷ってから気が付く。ああ、そうか。自分を勘定に入れるのを忘れていた。私も一応は女なのだ。
「そんなに仕合せなもんでもないと僕は思うけどね。ハーレム」
星はじめはそう言ってやっぱり困ったような顔で少し笑った。私はその顔をじっと見つめる。その私の視線に気が付いたのか、星はじめはこう言った。
「どうしたの? 菊池さん」
そう言われて、「いえ、なんでもないわ」と私はそう返す。確かにハーレムの主は、この人には似合わないと私は思っていたのだ。そんな事が言えるはずもない。
「ハーレムなんて柄じゃないでしょう、星君は」
すると、白花綾香がそう私と同じ事を言った。やはり彼女には共感できる。その後で、園上ヒナが笑う。
「星君のハーレム姿を想像したら、なんだか笑いが込み上げて来ちゃったわ、わたし。間抜けよね」
「はは、酷いな」と星はじめは言う。ただ、ショックを受けている様子は少しもない。それから私達はカラオケを目指した。
ハーレム。
その言葉に私が反応したのには訳がある。実は私が考えている心理学の理論には、ハーレムが色濃く関係しているのだ。
ハーレム。つまりは一夫多妻制。その形態を執る動物には、ライオンやゴリラなどがいる。ハーレムという体制は、オスにとって明らかなメリットがある。一応断っておくが、そのメリットとは、欲望を満たせるなどといった点ではない。多くのメスに自分の子共を産ませる事ができるという事は、それだけ多く自分の遺伝子を残せるという事を意味する。当然、生き残りもそれだけ有利になるのだ。
これに対し、数は少ないが複婚を執る動物もいる(特定の相手を選ばず、オスもメスも複数の相手と性交するのだ)。ボノボが代表例だろうか。ボノボとは、チンパンジーの一種と思ってくれて良い。以前はピグミーチンパンジーと呼ばれていた。複婚なのだから、ボノボのオスがその遺伝子を残す為には、できるだけ多く性交をする方が有利になる。そして、実際、ボノボのオスは睾丸が発達しており、ゴリラよりも遥かに多くの精子を生産できるらしい。
私はこの説明を聞いた時に大きな違和感を覚えた。自然科学には、男性原理的で男性主観で展開されているという批判があるが、その顕著な例だと思ったのだ。
何故、この説明では、オス中心でばかり進化とその形態を考え、メス側の視点がないのだろう? まるで、メスを… 女性を道具として扱っているようで不快感すら覚える。
そう思った私は、メスにとってハーレムと複婚という二つの体制が、どんなメリットがあるのかを考えてみた。
まず、ハーレム。
これは優秀なオスの遺伝子を、メスの間でシェアできるといった点に注目をするべきだろう。受胎や出産は、メスにとって非常に大きなコストになり、かつリスクも高い。ならば、より優秀なオスの遺伝子を用いて出産を行う方が有利になるはずだ。
そして、優秀な遺伝子を持つオスは数少ない。ハーレムという体制には、その数少ない優秀な遺伝子を持つオスを、メス達の間で共有できるというメリットがある。そのお蔭で、メスは劣等な遺伝子を持つオスの子供を残さなくて済むのだ。当然、メスの遺伝子も生き残り易くなる。
では、これに対して、ボノボのような複婚体制にはどのようなメリットがあるだろう?
これは恐らく、メス中心、或いはオス中心の視点でだけ考察を加えても、その答えは見えてこないはずだ。まずは、ハーレム体制のデメリットについて考えてみよう。そこから複婚体制のメリットが見える可能性は高い。
ハーレムは確かに効率良く優秀な個体を残せるように思えるかもしれない。しかし、何が優秀な個体なのか、その判断はどう行えば良いのだろうか。実は、本質的にこれは決定ができない。闘いに勝利をしたオスは、どんな状況でも優秀だとは言えない。例えば、身体能力は高くても、そのオスは病原菌には弱いかもしれない。そのオスのどんな特性が、どう生き残りに有利になるのかは誰にも分からないのだ。だからこそ、遺伝子には多様性が求められる。そして、ハーレムという体制は、この遺伝子の多様性を減少せてしまう。
これに対して、ボノボのような複婚体制ではこれがない。遺伝子の多様性を充分に確保できるのである。ただし、複婚体制には、劣等な遺伝子を排除し難いというデメリットがある。
この二つの体制には、それぞれメリットがありデメリットがある訳だが、自然界で最も多いのは一夫一妻制である点を考慮するのならば、生き残り戦略としてより優秀なのは、やはり一夫一妻制なのかもしれない。ハーレムと複婚の中間に位置し、そのメリットとデメリットも和らぐと一夫一妻制を捉えるのは単純な理解に過ぎるのかもしれないが、それでも一考に値する考えではある。
そして、説明するまでもなく、人間は基本的には一夫一妻制である。
しかし、人間は行動を学習できる生き物である点を忘れてはならない。その行動の幅はかなり広い。様々な婚姻制度が多数の文化にあり、そして、支配階級となった男性がハーレムを築くというケースが古今東西にある点もまた事実なのだ。
或いは、それは、単純な男性原理的な欲望によって作り上げられたものばかりとも言い切れないのかもしれない。
優秀な男の遺伝子を共有するという、女性側から観たメリット。
果たして、ハーレムを築く土台となった人間心理の中に、それがないと言い切れるだろうか?
例えば、一妻多夫性は人間社会にほとんど存在しない(戦争で夫を失くす可能性の高い社会で、存在した例はあるらしい)。これは、男性中心社会を持ち出さなくても説明がつく。当たり前の話だが、女にとって性交を結ぶ男が数多くいても無意味だからだろう。複数の男性と性交を結んでも、その遺伝子を引き継ぐ子供は複数は生まれない。一人だ。
自然界でもこれは似ていて、動物で一妻多夫性を執る例は極めて珍しい。因みに、ミツバチは一妻多夫性を執っているが、これは女王蜂が複数の精子を体内に保持できるという特殊な性質を持つ為ではないかと考えられる(当然、産む子供は一匹だけではない)。
恋をすると一人の異性にばかり気を惹かれる傾向が強いのは女性だと私は予想しているのだが、これも同様の理由による。一回の出産で一人の男性の遺伝子しか残せずそれにコストがかかるのなら、一人の男性に集中をし、その恋を確実に成就させた方が効率は良くなるはずだ。簡単に目移りしていては、性交自体の成立が難しくなってしまう。
だから恐らくは、一妻多夫性を求める心理は、人間の中にはほとんど存在しないのではないかと考えられる(もちろん、反論の余地はある)。しかし、その逆の一夫多妻制…… つまり、ハーレム体制ならば有り得るのではないだろうか。女性側から観てもそれにはメリットがある。
私はそれを確認する為に、白花綾香と園上ヒナの女性二人、星はじめの男性一人という三角関係に注目をしたのだ。白花綾香と園上ヒナの二人…… 否、彼女達のうちのどちらか一人にでも、そのような行動を執る何かを見つけられはしないかと期待した。
その為に、私は彼女達に接触をしようと試み、それに成功したのである。
カラオケ。
皆が楽しく歌っているのを、私は黙って見ていた。自分の分のノルマをこなした後は、観察に力を入れようとそうしていたのだ。席はコの字型で、星はじめが一番端で、その横に園上ヒナが、その隣、角を曲がって長方形の短辺に当たる席に白花綾香、角を曲がった隣の席に私、もう一人の男生徒という順になっていた。私の右前には星はじめの姿がある。気持ち良く歌を歌っている。
上手いのか下手なのか私にはよく分からなかったが、退屈はしなかった。顔を眺めてみる。会ったばかりの頃に比べて、私は彼の顔を好ましく感じているように思う。つまり、カッコ良く見えているのだ。ただ、これは簡単に説明がつく。
慣れ、というのは人間の脳にとってとても重要であるらしい。何度も同じ事を経験しているとそれを受け入れ易くなる。更に言うのなら、人間は平均的な顔を美しいと感じるようにできてもいるらしい。
これは、恐らく、平均な顔の方が、遺伝子が似ている確率が高いからだろう。遺伝子の生き残り戦略を考えるのなら、異なった遺伝子は排除し、似通った遺伝子を受け入れるというのが理に適った行動という事になる(もっとも、その特性は多様性を求める遺伝子の性質と相反してもいるのだが)。
何度も会えば、私の中で彼の顔の占める割合は増える。彼の顔はより平均的な顔になる。ならば、私が彼の顔に好ましい印象を受けるようになっても不思議ではない。
やがて、星はじめが歌い終える。誰も次の曲を入れていなかった。そこで私の横にいる男生徒が私に話しかけて来た。
「菊池さん。まだ、一回しか歌っていないよね? もう一曲入れなよ」
そう言って、私にカラオケのリモコンを差し出して来る。私はそれに慌てた。一度歌えばそれで充分だと考え、次に歌うなど考えもしていなかったのだ。
「え? どうして?」
それで私は戸惑ってそう言った。
「だって、歌わなかったらつまらないでしょう? カラオケなんて」
「私は皆が歌っているのを聴いているだけで、けっこう楽しめるから」
実を言うのなら、カラオケで歌うのはそれほど好きではない。皆に合せる為と、なんとか我慢して歌っているだけだ。少人数の時は、無理をして数回歌いもするが、比較的人数が多い時は、一度くらいしか歌わない。そういう時は、歌わなくて済むと安心している程なのだ。
「いいじゃん。菊池さんが歌うのを、俺、もっと聴いてみたいな。何なら、一緒に歌おうか? 何が歌えるの?」
私はそう言われて困ってしまった。ほとんど話した事もない男性と一緒に歌うなんて嫌だ。
それで困っていると、星はじめがそれを止めてくれた。
「おい。止めておけよ。菊池さん、困っているじゃないか」
その星はじめの言葉に、男生徒は反発をした。
「困っているって何だよ? 俺は、別に困らせるような事はしていないぞ?」
「お前に困らせる気はなくても、菊池さんは困っているんだよ」
私がその展開にますます困惑していると、白花綾香が見かねてかこう声をかけてくれた。
「ちょっとちょっと、空気を悪くしないでよ」
二人に注意したような言い方だったが、星はじめはそこには入っていないように思えた。続けて、園上ヒナが言う。
「あんたねぇ。下手なナンパは公害よ。しかも、こんな密室で。迷惑」
これは明らかに男生徒のみに注意をしているだろう。二人の女性から注意されて、流石に男生徒は何も言えなくなった。星はじめがその後で私に言う。
「ごめんね。気を悪くしないで」
私はそれに首を横に振ると「大丈夫」とそう返した。
その後で「ありがとう」と小さく続けた。それを白花綾香と園上ヒナの二人は、変な目で見ていた。私はそれを不思議に思う。その視線の意味が分からなかったからだ。
普通の女生徒を装ってサークルに参加すると言っても、私は不器用で、そのやり方がよく分からなかった。入会届を出しさえすれば、誰でもサークルには参加できるが、問題はそこから先だったのだ。誰かと交友関係を持たなくてはいけない。
それに、私の研究目的を考えるのなら、それは誰でも良いという訳にはいかない。ターゲットを絞らなければ。
会員達の人間関係をある程度は把握すると、私は白花綾香と園上ヒナの星はじめの三角関係に注目をした。彼女達の事をもっと詳しく知りたい。観察がしたい。それから声をかけ易そうな白花綾香へコンタクトを取ろうとしたのだが、これが難しかった。どう話しかければ良いのかが分からない。
それを手助けしてくれたのは、意外な事に星はじめだった。
彼は私が白花綾香に話しかけたがっているのを察してくれたのだ。それで、彼女達の仲を取り持つような事をしてくれた。正直、とても助かった。
「はじめまして。君の名前は?」
白花綾香達の輪に入れずに困っている私に向けて、星はじめはそう言って話しかけてくれた。
「菊池奈央」
と私が答えると、「そう、菊池さんか」と言って彼は笑った。
それから彼は私を白花綾香達の隣の席へと導き、そこで私は彼女達と初めて会話をしたのだった。白花綾香は私の存在に最初の内は戸惑っていたようだったが、やがては許容してくれた。
幸い読書の趣味で被る部分があったり、ニュースで興味のある話題も重なったので、なんとか会話を楽しめた。
自然に白花綾香と話せるようになると、園上ヒナとも徐々に話すようになった。
それでも慣れない内は、星はじめが相変わらずに私に声をかけてくれていたのだが、やがては白花綾香の方から私に声をかけてくれるようになり、それでかなり打ち解ける事ができるようになった。そして、頃合いだと判断した私は、実験を開始した。
星はじめという一人の男性を、白花綾香と園上ヒナが共有する。そんな心理を生じさせるように刺激し始めたのだ。
もちろん、理想的なのは私が純粋な観察者の立場に徹する事なのだが、自然とそれが観察できる可能性は極めて低いだろうと私は判断したのだ。人間は文化に縛られるもので、“一夫一妻制が正”という倫理観の基にこの社会は形作られている。そして、彼女達は間違いなくその影響下にあり、だから彼女らにとって、一人の男性を共有する行為とは受け入れ難いものであるに違いない。仮にその心理の萌芽が生まれていたとしても、その倫理観の抵抗を受け、瞬く間に枯れてしまうだろう。
私は白花綾香と園上ヒナにハーレムの中での女性同士の友情について説明した。一夫多妻制が認められていた社会において、それは普通に観られたはずなのだと。もちろん、醜いいがみ合いや悋気、そういったものも溢れいていたのだろう。だが、それは一側面に過ぎない。女同士が必ずしも敵同士だったとは限らない。
幸いにも彼女達は、その話に興味深く耳を傾けてくれた。
「ちょっと面白い話ね。でも、それって、男に無理矢理に従わされていた状況下での話じゃないの?
嫌な男に無理矢理っていうのなら、女同士の友情にも納得がいくわ」
そう言ったのは白花綾香だった。園上ヒナがそれに同意する。
「うん。それなら想像できるわ。男の悪口で盛り上がっちゃったり」
この展開は予想していたが、これでこのまま男を悪者にしてしまっては、私の目論見は失敗に終わる。それでこう言った。
「私はそうとばかりも言えないと思う。一人の優秀な男を、女達が共有するって事はあったのじゃないかな?」
それに園上ヒナは妙な表情を浮かべる。
「独占欲はないっていうの?」
「もちろん、独占欲が全面に出るケースもあるだろうけど、でも、その文化では、ハーレムが当たり前なのよ? なら、いがみ合ってばかりいたら、社会が保てるように私には思えないの」
それを聞いて白花綾香は軽く頷いた。
「そう言われてみればそうかもね。考えてみれば、今だって一夫多妻制の社会って多い訳だし、もし女同士での了解が不可能なら、社会が存続できないわ。
文化が違えば、それも当たり前として受け止められるのかもしれない」
私はそれに頷く。
「ええ。もちろん、一夫多妻制の社会をじっくり観察した事例を私は知らないから、なんとも言えないけど、少なくともそれが存在しているのは事実だわ」
もっとも、一夫多妻制を認めている社会は多いが、実情を観ればほとんどが一夫一妻制なのだという。一夫多妻制は一部の富裕層でしか観られないらしい。もちろん、私はそれを言わなかったが。
園上ヒナはそれを聞き終えた後でも、まだ少し納得いかなそうにしていたが、それでもそういう文化、考え方があるのだとは分かってくれたようだった。
それからも私は、変に思われないよう気を付けながら、定期的にハーレムが人間社会に広く観られる現象である事を説明していった。二人が仲良くいられるようにも努力して。そして、その私の働きかけの影響を受けてか、白花綾香と園上ヒナの態度は、少しずつ変わっていったのだった。
星はじめといる時の、以前のような奇妙な空気が消えている。一見は穏やかな裏に、複雑な心理がいくつも隠れているような何かを私は感じていたのだが、それが徐々に薄れていっているように思えたのだ。
或いは、星はじめはこの二人と上手くいっているのかもしれない。
それで私はそう思った。
ハーレムの主という印象は彼にはやはりないが、それでも優しい彼なら、彼女達を分け隔てなく愛せるだろう。そう思う。そして、女を支配するという発想が微塵もない彼を中心にそれが実現したのなら、その要因は女性達側にあるのだろうと判断できる。
それが明確に観察できたのなら、私の実験は成功という事になる。もちろん、それはわずかな標本調査の結果に過ぎないから、それを安易に全体に適応させてはいけない。ただし、それでも実例の一つではあるだろう。後は、一夫多妻制の社会を、女性を中心に観察した資料がないか、文化人類学などの書籍を当たり、同時に次の事例を探す。そうした事を繰り返していけば、私の研究は価値あるものとなり、人間理解に役立つはずだ。
私はそれを喜ぶべきだとそう思っていた。少なくとも、今回については順調に成果が出つつある。
だが、何故か私は憂鬱だった。
とても憂鬱だ。
仲睦まじい様子の白花綾香と園上ヒナと星はじめの様子を見ていると、とても憂鬱な気分になってしまう。私は飽くまで、彼らの事を観察するだけ。研究の為に。あの輪に、私は入る訳にはいかない。否、そもそも入る事ができないのか。
明確に、彼女達からハーレム認める行動を確認できたなら、このサークルを辞めよう。
いつの頃からかは忘れてしまったが、私はそんな思いを抱くようになった。目的さえ果たせれば、サークルに在籍している理由もなくなるから、それは当然なのだが、それが理由ではない気がした。何故なら私は、今でも逃げてしまいたかったからだ。しかし同時に逃げたくもなかった。それは研究結果が出ていないからなどといった理由ではなく……。
ある日、私にとって信じられない事件が起こった。
「園上さんが、別のサークルの男性と付き合い始めたの?」
白花綾香から、その情報は入って来た。自分の実験が上手くいっていたと半ば確信しかけていた私は、それを俄かには受け入れられなかった。
「どうして?」
それでそう呟いた。
それに白花綾香は、不思議そうな表情を浮かべる。
それは、大学の中庭にある公園のベンチに座って、二人でお菓子などを食べながら雑談をしていた時の事だった。
「どうしてって?」
白花綾香がそう尋ねて来た。私はこう返す。
「だって、星君が……」
それを聞いて白花綾香は「ふーん。やっぱり、知っていたんだ」とそう言った。私はそれを受けて黙る。だが、その沈黙は彼女の言葉を肯定していた。
「確かにね。園上は星君のことが好きだった。あなたと会ったばかりの頃は、それで少しばかりわたしとの仲も険悪になっていたのよ。
もっとも、表面上は取り繕っていたけどね」
それに驚いて、私は「あの……」と、そう言いかける。
「わたしが星君を好きだったって事も知っていたのでしょう? 誤魔化しても無駄よ。あなた、とても分かり易かったから」
――好きだった?
それじゃ、今は?
私はその彼女の言葉に戸惑った。そして、何故か彼女が少し怒っているようにも私は感じていたのだった。
どうして、怒っているの?
その私の表情を見たからか、それから白花綾香は大きくため息を漏らすとこう告げた。怒りをほどき、穏やかな顔に変えながら。
「あなたにはまるで自覚がないようだから教えてあげるけど、園上が星君を諦めたのは、あなたの所為よ」
私の?
その言葉で私は明確に混乱した。何がどうなれば私の所為で、園上ヒナが星君を諦めるというのだろう?
「何が、」
……あったのか。そう私が続けようとするのを白花綾香は制してこう言った。
「あなたがわたし達に近づいて来た時、正直、わたしは嫌だったわ。邪魔な奴が入って来たと思ったの。理由は分かる?」
私は首を横に振る。ショックを受けていたが、それよりも混乱の方が大きかった。
「また、ライバルが増えたと思ったのよ。星君を狙う」
私はその言葉に目を大きくした。
「私はそんなつもりは」
それに白花綾香は可笑しそうに笑った。
「そうでしょうね。あなた、とても不器用なみたいだから。他の人に対しても、自分自身に対しても。そして、その無自覚さがとってもずるいのよ」
それから一呼吸の間の後で、白花綾香はこう言った。
「わたし、途中からあなたに声をかけるようになったでしょう? どうしてなのかは分かる?」
私は首を横に振った。
「星君が、あなたを心配して、あなたに声をかけちゃうからよ。つまり、あなたと星君をくっつけないようにする為に、わたしはあなたに声をかけるようになったの」
私はその彼女からの告白にまた驚いた。白花綾香は続ける。
「でも、仕方なく声をかけるようにしたのに、あなたは本心から喜んでいるみたいで、罪悪感を覚えちゃったのよね。しかも、あなたは星君に自分から積極的にアプローチするような事もしなかった」
そこで一度切ると、白花綾香は私の顔を覗き込むようにして眺めた。そして言う。
「菊池さん。自分が星君を好きだって気が付いていないでしょう?」
私はそれを聞くと慌てて否定した。
「気付くも何も、私は別に星君の事を……」
しかし、そう言った後で、私は自分の顔が熱を帯びている事に気が付いた。そんな私を、薄目で見つめると、白花綾香は少しだけ悲しそうに言う。
「そう。そういうところが、とてもずるい」
それから目を瞑る。
「あなたが一夫多妻制の話を必死にするのを聞いて、それでも女の友情が成立するんだと必死に訴える姿を見て、わたしと園上はなんだか居た堪れなくなったわ。わたし達は、水面下ではいがみ合っていたから。
そして、そんな中で、菊池さんは星君とわたし達を見てとても辛そうにしている。本当は星君が好きなくせに、自分の気持ちに気付かないで苦しんでいるんだって、我慢しているんだってよく分かった。そんなあなたを観察するうちにね、わたしと園上の星君に対する気持ちは徐々に覚めていったの。
それで、最も星君に相応しいのは、あなたなんじゃないかって思うようにすらなった」
そこまで聞けば、流石に私にも園上ヒナが他のサークルの男性と付き合い始めた理由が分かった。
つまり、彼女は身を引いた…… という事になるのだろうか?
「いや、だって、私…」
……そんなつもりじゃ。そう言おうとした。これは研究の為で。そうだ、これでは研究はどうなるのだろう? 否、違う。研究なんて関係がない。私は何て事をしてしまったのだろうか? 私は、私は彼女達の関係を破壊してしまったのだ。
私の混乱している頭に向けて、白花綾香はこう声を響かせた。
「そんな顔をしないで。あなたのお蔭で、わたし達は助かったと思っているんだから。あのままじゃ、関係が壊れちゃいそうだったのを、菊池さんは救ってくれた。わたしと園上はお蔭で喧嘩しないで済んだ。そして、星君も……」
その白花綾香の様子に、私は嫌な予感を覚えた。
まさか… 彼女も。
「わたしも星君を諦めようと思うの」
それから彼女はそう言った。私は目を丸くする。それは駄目。そう思う。だって私は。私には。
「それは止めて」
気が付くと私はそう言っていた。
私には、そんな資格なんてないから。
「私があなた達と一緒にいたのは、あなたが想像しているような理由じゃないの。私は研究の為に近付いただけで……」
その言葉に白花綾香は不思議そうな表情を浮かべる。
「研究?」
それから私は、彼女に自分の研究とその実験方法について説明をした。つまり、白花綾香、園上ヒナ、星はじめの三人を利用していた事を。すると、それを聞き終えるなり、白花綾香は「ふぅ」と息を吐き出す。笑う。
「菊池さんが、わたし達の仲が上手くいくようにがんばってたのは気が付いていたけど、まさかそんな理由だったとはね」
「怒らないの?」
「理由がわたしの理解を遥かに超えていたから、怒りすら覚えないわ。それに、理由がどうであれもうあまり意味がないの」
私は首を傾げる。
「どうして?」
「さっきも言ったでしょう? 星君に対する気持ちがどんどん覚めていったって……。諦めるっていうのは嘘で、本当を言えば、気持ちがどっかにいっちゃったのよね」
それから私を見ると、白花綾香は続けた。
「星君もね、あなたの事が好きよ」
私はその言葉に驚く。
「どうして、そんな事が……」
「彼とはずっと一緒にいるもの。反応を観ていれば嫌でも分かる。菊池さんの目的が研究だかなんだか知らないけど、星君を好きだっていうのは変わらないでしょう。
私がそれに気付いてから、どんな気持ちであなた達を観察していたか分かる?
わたし達へ少しでも罪悪感を感じているのなら、あなたは責任を取って彼と付き合うべきだとも思う。断っておくけど、もうわたし達の関係は以前のようにはならないわ。あなたが変えてしまったのよ」
そう言い終えると、白花綾香はベンチを立った。
「さて。もうわたしは行くわ」
そこから去っていく彼女を、私はどうする事もできなかった。そして一人残された私の許へ、それからしばらくが過ぎて、星はじめが現れたのだ。
タイミングが良すぎる。
或いは、白花綾香が何か仕組んでいたのかもしれない。
「菊池さん。一人なの?」
私はそれに頷く。彼はゆっくりと笑った。
「ならさ。これから買い物に付き合ってくれない? 一人じゃ寂しくて」
「いいけど」
私は気付くと、そう答えていた。
“あなたは責任を取って彼と付き合うべきだとも思う”
それは、或いは、白花綾香の言っていたその言葉が呪文のように私を縛っていたからなのかもしれない。
否、それは卑怯な言い訳だ。
私は彼と一緒に出掛けたかった。恐らくは、ただそれだけだろう。
それから、私と星はじめ…… 星君はよく一緒に出掛けるようになった。恐らく、これは付き合っているという状態なのだろう。そして変わらずに白花綾香や園上ヒナ達との交友関係も続いている。
そこにどんな心理があるのかは分からないが、或いはこれは私が観察したかった人間の女性の心理に近いのかもしれない。
時々、白花綾香が憂鬱そうに私達を観る視線を感じる事がある。それに気付かないでいる振りをしている私を、果たして彼女は許してくれるだろうか。
主な参考文献:「やわらかな遺伝子 著者:マット・リドレー」
星君がモテ過ぎてて、どういう事なのか?って感じですね。ああ、羨ましい。




